第94話 光線と防御
ペンギンは僕の方を向く、小さなペンギンも大きなキングペンギンの方を向く。
しばらく僕は動けなかった。相手のペンギンも動かなかった。
☆☆☆
きゅいぃぃぃぃんという音がバトルフィールド用の結界内に響く。
大きなペンギンは僕の腕に抱き付かれているペンギンには目もくれず
嘴を開くと再び青い球体を形成し始めた。
僕はペンギンを見たまま頭に小さなペンギンを載せると
片手に持っている傘を振るった。
綺麗な光の粒が軌跡を描き周囲に飛び散っては消えていく。
僕は傘を"使うけれども攻撃する訳じゃない"
攻撃してしまったらペンギンの毛並みの中にいる桜も死んでしまう。
僕は大きなペンギンに向けて傘を開く。これで準備が整った。
大きなペンギンは青い華を開かせ僕に向けて光線を発射してきた。
僕は桜の張った結界を見様見真似で張る。
僕の傘以外に周りに4重くらいの薄水色の層が出来上がった。
「きゅいきゅいー」
頭の上では小さなペンギンが暴れている。
爪が耳に刺さって結構痛いが今はそれどころじゃない。
涙を堪えて、ペンギンの冷凍ビームを傘に受けた。
その瞬間、目の前は一瞬水色に染まり
周囲の水は沸騰したかのように飛び散って。
僕の体には凄まじい衝撃が襲ってきた
「うぐっ」
僕は変わってしまった小さな足で傘を持ちながら踏ん張る。
それでも足は結構痛く痛覚設定を
半分にしてなかったら相当厳しかったと思うくらいに痛かった。
10秒くらいの攻防が続き僕は強風に吹き飛ばされた。
再び目を開けると僕は結界の端にいて小さなペンギンは降りていた。
結界の周りは氷の結晶が幾つも地面に突き刺さっていた。
あの冷凍ビームこんな威力あったんだ。
硝子のように透明で向こう側が透けて見えていた。
傘を見る。結界を見る。どちらとも全く傷が付いていなかった。
透けている結晶に手を伸ばす。
冷たくてツルツルしたそれはもう素晴らしく氷だった。
☆☆☆
大きなペンギンは僕に獲物を捉えるような鋭い目を向ける。
僕もとても大きなペンギンと上を向いて目を合わす。
その瞬間、ペンギンのお腹当たりの毛が飛び散った。破裂したように見えた。
「あ、お姉ちゃん。」
ペンギンの毛の中から桜が出てきた。桜と目が合った。
「皮膚は物凄く固くて剣が通らなかった。」
どうやら皮膚は硬いらしい。剣士とかどうするんだろう。
「でも結構気持ちよかったよ。お姉ちゃんには劣るけどね。」
別にそこは劣って欲しくないのだけれども。
「そういえば凄い衝撃来てたね。なにやったの?」
「れいとうびーむふせいだ」
あのビームの正式な名前なんて言うのかわからないけども
「ほほう、お姉ちゃん、3回目の冷凍ビーム食らったんだ。」
桜はさも他人事のように僕の頭を撫でながら呟いた。
「けっこうつらかったよ」
辛かったのは事実だ。10秒で止んでくれたけれども
ペンギンの方を見てみる。
疲れたのかこっちを見たまま動いていない。
「お姉ちゃん、今チャンスだよ。」
確かにチャンスかもしれない。けど僕が魔法…使えないんじゃ…
あっ…ここは転移フィールドだ。魔法使える!
でもあまり強くやりすぎると結界壊れるんじゃなかったっけ。
まあそんなことはいいや。
「よくないよ!」
桜にツッコミを入れられた。まさか心の中を読まれていた?
「さくらってどくしんじゅつつかえるの?」
「読心術?読唇術?」
「こころをよむほうの」
「使えないけどいきなりどうしたの?」
「なんでもない。」
使えないらしい。というか使えたら使えたでチートも大概だ。
魔法インフレしまくっている僕が言えないけど




