第90話 塔外と浮遊
アクションスキルが重要になってきそうな気がする。
桜が落ちそうになったら僕が引き上げればいいのかもしれないけども
☆☆☆
道に空いた隙間から下を見てみる。
真っ黒い深淵とそこに向かって落ちていく滝のような水が見えた。
桜を見てみる。肩まである艶やかな黒髪が靡いている。
さほど強風でもないけれどそよ風程度の風は吹いている様だった。
上を見てみる、空は曇っている。
それに塔のてっぺんにはなんか変なものが見えた。
おそらくモンスターの一部だろうか。
白と青の色をした触覚みたいなものが…
「お姉ちゃん、雨降ったらやばいよ。滑るもん。」
どうやらこのゲーム、天候が左右するらしい。
雨振らなくても足場水で濡れてる気がするけど。
桜はアスレチックを慎重に進んでいく。
僕は飛べないし飛んでも距離が届かないので浮いたままだ。
「お姉ちゃん、ずっと浮いてるね。」
「ういてるね。」
桜に言われて気が付いた、この浮遊、SP消費するのかな?
僕は首を傾げてみる。
「お姉ちゃん、どうしたの?」
「ん…すきるぽいんとしょうひしてるならなんでずっとういてられるんだろうって…」
「確かに浮遊はスキルか魔法の分類だよね?」
「うん。」
「それなら消費するしそんなに長くは浮けないのかも知れないね」
僕はリストを開きSPを確認した。
SP:XX
バグっているようにしか見えなかった。僕の目から見たら
「さくら、ひょうきがばぐってる…」
「ええ…?」
☆☆☆
桜は浮いている足場の上で動かなくなった。
僕も動けなかった。
水の落ちていくザザザーっという音だけが響く。
風もそれなりに吹いているが強風ではない。
問題は僕のSPが異常なことなのだ。わかっている。
しばらくして桜が口を開いた。
「お姉ちゃん、どういう風にばぐってるの?」
「すうちがおかしい、それにへってない。」
桜が問いかけてきたので僕は素直に答えた。
「数値が?」
「うん。ひょうじなし…?」
「表記なし…?」
僕は頷く、桜は再び首を傾げた。
表記なしというのは見た事がない。これじゃ多いのか少ないのかわからない。
しばらくして、再びギルドの勧誘が僕に届いた。
ギルド名は『スピカ』あの時の名前のままだった。
僕は承認を押した。
割と少ないギルドの様で桜含め3人くらいしかチャットにはいなかった。
「お姉ちゃん、やっと入ってくれたね。」
「うーん…いちおう…」
「一応でも嬉しいよ!よろしくね!」
桜は喜んでいるようだった。場所が悪いけど。
「攻略の続きでもしようか。」
桜はゆっくりとアスレチックを渡り始めた。
僕は浮いて桜を見ている。それなりに楽しそうだった。
桜は突然こっちを向くと僕に向かって言った。
「お姉ちゃんも攻略したい?」
確かに攻略したい、けども僕の体じゃ小さすぎて届かない。
僕は頷く、桜は慣れたようにこっちに戻ってきた。
そして僕の体を抱き上げると肩車した。
「こうすれば一緒に攻略できるよね。」
「うーん…あぶないよ…」
「お姉ちゃんは浮遊できるよね?落ちそうになったら助けてね。」
「いたくしないかぎりは…」
「引っ張ってるの痛かった?、設定で痛覚調整できるよ?」
痛覚調整?メニューを開いてオプションを選んでみる。
数値が100%になっていた。僕は一応50%まで下げた。
これで大丈夫なのかな?
「ほんとだ。こんなきのうあるんだ。」
「このゲーム、色々と…うん…」
桜が言い篭った。何を言いたかったのかは気にしないことにしよう。




