第84話 技能と恐怖
さしずめ水の猫というところだろうか。名前直球で可哀想だと思った。
それはそうと桜はLv.55でも本当に余裕で倒せるのかな。
☆☆☆
桜は猫に交渉しようと思ったのか突然猫に近ずき呟いた。
「うにゃにゃ、にゃーんにゃにゃんにゃん」
可愛らしく桜が猫の手をして猫の真似をして鳴いた。
ペシッ。そう音が響く。
どうやら桜は猫に肉球で叩かれたらしい。
それでもそれほどダメージを受けているようには見えない。
「もう、酷いなあ、少しくらいノってくれたっていいじゃん」
確かに猫なのににゃんの一言も返さない。
そもそも敵って鳴くのかな?
「猫じゃないのかな?」
桜は首を傾げている。猫だと思うけど。
名前はウォーターキャットだったし猫だと思うんだ。
「にゃんにゃんにゃん」
桜が猫に話しかける。
ベシッ、ベシッ、ベシッ、ベシッ
猫が桜を大きな手で叩く音が部屋に響く。
「お姉ちゃん、猫の攻撃弱いね。」
「えっ」
桜が猫に叩かれながら突然こんなことを言い出した。確かに痛くなさそうだけど
「だってあんまり喰らわないよ。」
それは桜のつけている防具が原因なのでは?
なんか硬そうな青を主張とした鎧みたいな装備だし。
その装備銃弾も防げるんじゃないの?
そう思うくらいに硬くそして頑丈に見えた。
「ぼうぐのせい?」
「防具かあ、確かにこの装備、物理攻撃力高いもん。」
やっぱり防御力が高いらしい。
桜は剣を構えると猫の方に向かって飛ぶ斬撃を放った。
猫はそれを黒い鋭い爪で受け止める。
桜の剣による攻撃は防がれてしまった。
「やっぱり直接当てないとダメかあ。」
桜は考え込んでいる。しばらくすると桜が動いた。
「スキル発動 -瞬月酔花-」
桜が淡く白いオーラに包まれていた。
その瞬間、桜の体が掻き消えた。猫は切り刻まれていく。
桜の体は見えないのに猫だけ切り刻まれていく
猫の体からは青いポリゴンが吹き出している。
見るに堪えないので途中で目を瞑ってしまった。
☆☆☆
僕が再び目を開けた時には僕を抱き寄せる桜と
ところどころ分離されて青いポリゴンになって消えていく猫の姿だった。
「お姉ちゃん、ごめんね。怖かったよね。」
桜は僕の頭を撫でる。なでなでなでなでなでなでなでなで。
自然と涙が零れ落ちてくる。
「うぅ…」
「お姉ちゃん、大丈夫、大丈夫。」
僕はしばらく桜の胸に顔を埋め泣き始めた。
本当は泣くはずじゃなかったのに
「うわぁーん」
なでなでなでなでなでなでなでなで
桜は僕の頭を撫でていた。
「お姉ちゃんって可愛いよね。」
僕が泣き出してから突然そんなことを桜が呟いた。
涙の虹んだ目で桜を見る。
「以前よりも子供っぽさが増したというか。妹っぽいよね。」
なでなでなでなで、桜は僕の頭撫でながら呟く。
確かに見た目だけだと妹と間違われてもおかしくはない。
今の僕はちっちゃい幼女の姿だから
「ほら、ちっちゃいしすぐ泣くし。保護欲が湧いてくるんだよ。」
確かに僕はちっちゃい、そして以前よりも泣きやすくなった気がする。
こんなんでVRが出来るのか。僕はわからない。
少し体が震える。
「お姉ちゃん、大丈夫だよ、私が守ってあげる。」
桜は可愛くて格好いい。何故だか桜が勇敢に見えた。
「お姉ちゃん、泣き止んだね。上の階行こう?」
涙は自然に止まっていた。
しばらく休憩をして、桜は次の階に足を進めた。
トントンと階段を上がっていく。
次の階もどうせ戦闘なのだろう。
さっきと変わらず。そしてさっきと同じような敵で
魔法陣から出てきた敵との戦闘なのだろう。
僕のその予想は当たっていて裏切られることになる。




