第77話 夜中と草原
「おやすみなさい。」
僕ら3人はそれぞれ目を瞑って一緒に寝た。
☆☆☆
夜にいきなりたたき起こされた。
今何時なんだろう、部屋は真っ暗で桜の端末の画面から光が出ている。
僕は見えない手で目を擦る。あっ、指が入った…
「お姉ちゃん、おはよ。今は3時だよ」
3時?お菓子の時間かな?
僕は再び寝ようとした。
「ふぎゃっ」
なんか僕の下から悲鳴が聞こえたような気がする。
「なんなのじゃー」
「お姉ちゃん、なちゅやるよ。」
えー、こんな夜中にー?
「なちゅ?なんなのじゃ?それは…」
卯月は多分痛みで目が覚めたのだろう。
桜の方に駆け寄っていってしまった。
「卯月ちゃん、だっけ。」
「そうなのじゃ!」
「なちゅはね、VRMMOっていうゲームだよ!」
「げーむってなんなのじゃ?」
卯月は妖怪の世界の住民だもんね、ゲームなんてあるわけがないよね…
「ゲームっていうのは…なんだっけ。ま、とりあえず楽しいことだよ!」
「そうなのじゃ!?」
この子(卯月)騙されやすいんじゃないかな…
僕は桜の言う通りなちゅにログインした。
細長い僕の腕に巻いているVR端子を起動させ眼を瞑った。
再び目を開けるとそこは白い空間だった。
「こんな時間に何の用ですか…、眠いのですよ、こっちは」
僕も眠いよ、そして特殊会話かな?
「ろぐいんしにきた。」
「あぁ、ログインですね。キャラクターをお選びください。」
そのウィンドウが消えると新たにウィンドウが現れた。
「キャラクター1『来睦』を使用しますか?、新しくキャラクター2を作りますか?」
僕は何時も通りキャラクター1を小さな指で押し目を瞑った。
☆☆☆
目を開くとそこは草原だった。確か夕方にログアウトした場所だった気がする。
僕は浮遊魔法を使い宙に浮こうとジャンプしてみる。
すると薄蒼の淡い光エフェクトと共に僕の体は宙に浮かんだ。
浮いていると隣に眩しい光が現れた。
僕は目を瞑る。僕がこんな体になった時みたいな光だった。
何かに抱き抱えられる感覚がした。
「お姉ちゃん、こんばんは。」
桜の声がした。目を開けてみる。上を向くと桜と目が合った。
「お姉ちゃん、それ浮遊スキルだよね?」
確か"浮遊"というスキルだったのを覚えていた。
「うん。」
僕は桜の言葉に頷く。
「それじゃお姉ちゃん、水の島に行こうか」
桜は僕を下ろして僕の小さな手を握りながら草原を歩いた。
このゲームは時間帯も連動しているようで
空を見てみると綺麗な星空と三日月型の月が上っていた。
「お姉ちゃん、今夜は三日月だね。」
「うん…」
金色に輝く綺麗な三日月が僕の目に見える。
「ってことは…今夜はあれか…」
今夜はあれ?どういう意味なんだろうか…
僕は桜の言葉に首を傾げる。
「あ、お姉ちゃん、月の形で変わるボスがいるんだよ。」
月の形で変わるボス?日替わりみたいな?
「ひがわり?」
「うーん、日替わりとはちょっと違うかなあ?」
日替わりじゃないの?
「実質あのボスは元は同じ姿だから多分違うと思う。」
フォルムチェンジとかいうやつかな?難しいボスもいるんだね。
しばらく歩いているとスライムに出会った。
ぴょんぴょんしていて可愛い。
「お姉ちゃん、スライムだね。」
うん。スライム。
手の中にいる小さなスライムはどこが顔かわからないけど
手の上でぴょんぴょんはねている。
大体1cm程度だ。僕の手に持てるくらいちいさい。
「このこつれてっていい?」
「お姉ちゃん、テイムしたいの?スキル必要だから無理だと思うよ?」
「そっか、またね。」
僕はスライムを手から草原に下ろすと再び歩き始めた。




