第76話 狐耳と姉妹
会ってそんなにたってないような気がするけれども
そして覚えてたよ。というか声だけでわかったよ。その口調特徴的だもんね。
☆☆☆
「えっと人の子じゃない子よ、名はなんなのじゃ?」
「かえで」
「かえでというのじゃ、その綺麗な青色とは正反対なのじゃ」
確かに楓は秋の植物だ、秋といえば紅葉、文字通り綺麗な赤い葉が特徴的な季節だ。
対して僕の色は青系色だ、季節でいえば冬に該当するかもしれない。
「うるさい、わかってる。」
「でも綺麗なのじゃ、卯月もそんな色欲しいのじゃ…」
確か僕の髪の色は何処かの喫茶店の孫娘の髪色と良く似ているような気がする。
アニメではよく見る色なのにね。
「うづきのきんいろにかがやくかみもきれいなのじゃ」
「照れるのじゃ…」
階段をトントンと上がってくる音が響く。
「そういえば誰の部屋なのじゃ?」
「さくらのへや」
「桜って…」
卯月が僕に問いかけようとした瞬間、重なるように声が飛んできた。
「お姉ちゃん?誰かいるの?」
「おおう、やばいのじゃ、人の子に気付かれるのじゃ。」
「お姉ちゃん?、じゃないね。今の声は、お姉ちゃん、開けるよ?」
「ええい、もういいのじゃ!」
桜はもう既に気付いているようだった。
ガチャという音が鳴り響く。
トントンとこっちに歩み寄ってくる音が聞こえる。
「のじゃーさんはのじゃーなのじゃ」
僕の隣にいる卯月は精神を整えようと変な呪文を唱えている。
バサッと毛布がめくられる音が響いた。
「お姉ちゃん、その狐耳、お姉ちゃんの同族?」
同族っちゃ同族なのかもしれないけど
厳密に言えば神秘と妖怪は違うと思うんだ。
☆☆☆
「お姉ちゃん、座って。」
僕は桜に言われた通り毛布をまとって絨毯の敷いてある床に座る。
「えっと、お姉ちゃん、この子誰?」
「うづき」
「その頭から生えてる耳と尻尾も見えるね。人間じゃないのは確かだよね。」
卯月は人間じゃなくて狐の妖怪だった気がする。
当の卯月は僕を盾にして後ろに隠れている。
人の子が怖いのかな?妖怪さんでもそんなことあるんだ。
「ほら、うづき、あいさつしなよ。」
僕は卯月に言い聞かせる。
卯月は僕の後ろに隠れたままだけれども名前を名乗った。
「はじめまして、人の子よ、卯月は卯月なのじゃ。」
「こちらこそはじめまして、楓の妹の桜です。」
僕を間に桜と卯月の2人は自己紹介している。
僕は毛布をかぶり直したら眠くなってきた。
僕は小さな手で目を擦る。
目が痒くなってきた。
「卯月ちゃんは泊まってくの?」
「うーん、時間もあるし止まってもいいのじゃ。」
「そっか、お姉ちゃんをよろしくね。」
その言葉を最後に僕の意識は途切れた。
しばらくして目を覚ました。
「お姉ちゃん、おはよ。今は10時ちょっとすぎだよ」
「おはよう?なのじゃ」
何時も見慣れた桜の顔と起きる前に見た黄色いケモ耳が瞳に写った。
僕は小さな手で目を擦る。
「お姉ちゃん、そんな目擦ったら赤くなっちゃうよ」
目の中がピリピリする痛みを感じる。
桜は机から目薬を取り出した。
まさかこれを僕の目に垂らすんじゃないよね?
僕は小さくなった手足を動かして桜から逃げようとした。
すると後から掴まれて抱き上げられた。
「お姉ちゃん、眠い?」
そういえば目が凄く痒いけど我慢して座った。
「お姉ちゃん、先に寝ててもいいよ。」
僕は眼を瞑った、浮遊感が襲ってきた。多分桜だろうか。
僕はベッドに運ばれていく、どうやら桜も寝るようだった。
「お姉ちゃん、おやすみなさい。」
卯月も布団に入ってきた。寒かったのかな?
「楓、桜、おやすみなのじゃ。」
「おやすみなさい。」
僕ら3人はそれぞれ目を瞑って一緒に寝た。




