第75話 姉妹と恐怖
「お姉ちゃん…大丈夫…大丈夫…」
桜に甘えてばかりの自分を何とかしたいと思った。
☆☆☆
「お姉ちゃん、なんで泣いてたの?」
桜はそう問いかけてきた。
「ともだちにあうのがこわかったから?」
「そっか、変わった自分の姿を見られるのは怖いよね。」
「うん。」
「でも、私はお姉ちゃんは可愛いと思うよ。だからね。怖がる必要なんてないよ。」
なでなでなでなで。
桜は僕の頭を撫でていた。
自然と涙は収まっていたけれども恐怖感は消えない。
僕は泣きそうな目をしているのだろう。
既に視界が滲んでいる。
「でも…こわいのはこわいから…」
「お姉ちゃんはひとりぼっちにならないよ。大丈夫だよ。」
なでなでなでなでなでなでなでなで
恐怖という感情は何かを失う、何かの危機に遭うなどの精神的本能が危険を感じている時だと聞いたことがある。
恐怖感を沈めたい。寒さを感じる。
「さくら、さむい」
「ちょっと寒いよね。夜になったからかな?毛布でもかぶる?」
「うん…」
桜はもふもふした毛布を持ってくると僕の体に被せた。
僕は着るように体に纏う。
そういえば僕は水着のままだったんだ。それは寒いはずだ。
素肌に毛並みの感覚が直に感じる。
「お姉ちゃん、暖かい?」
「うん…」
桜は向かい合って目を合わせると再び僕の頭を撫でた。
5分くらいすると階段の壁を叩く音が聞こえた。
「楓、桜、晩飯。」
これは櫟の声かな?しばらく桜に甘えてると櫟が呼びに来た。
「お姉ちゃん、ご飯だってよ?食べに行く?」
「たべない…」
そっか、お姉ちゃんは大人しくしててね。
「うん…」
桜はトントンと階段を降りていく。
僕はそんなこと言われなくても多分大人しくしてるけどね。
桜も行ってしまった、誰もいない、異様に寂しく感じた。
☆☆☆
桜の部屋は窓は閉じていてガラス越しに見える夜空が綺麗で
僕は星を見ていた。
空は広いし大きい、それに綺麗だ。
宇宙って生物だとか複数あるとか唱える人が世の中にはいた。
けれども予想に反して宇宙は複数でありながら重なった存在だと最近、解明されたんだっけか。
僕はあまり世界のことは知らないけれどこの姿になる前にテレビでやってた気がする。
そんなことを考えながら空を見ていると
目の前をなんかケモ耳みたいなものが通り過ぎた。
ここは2階だ。何かがいるのがおかしい場所だ。
僕は布団をかぶると何も見なかったことにしようとした。
ドンドン、ドンドン、窓を叩く音が聞こえる。
「おーい、人の子、あけるのじゃー」
なんか声がした。聞き覚えのある声だった。
妖怪なんだから硝子通り過ぎてくればいいだろ。
そう考えてしまった。
しばらくすると聞き覚えのある声がした方からスゥッと音が聞こえた。
「やっとはいれたのじゃ。ここはどこじゃ?」
「…。」
「そこの毛布に隠れている人の子よ。妾の前に座るのじゃ。」
僕は毛布をかぶって震えている。
「人の子よー」
聞き覚えのあるのじゃ声さんは僕の纏っている布団を捲って中に入ってきた。
「くらいのじゃ、くらいのじゃ」
「ひあっ」
何かが腰付近に触れたような気がする。
「ん?おお、人の子じゃないのじゃ」
再開早々失礼なことを言い為さるこの聞き覚えのある声さんこと
見覚えのある狐耳がそこにはあった。
僕はその狐耳を掴んでみた。
「ひゃうっ、にゃにするのじゃ!」
狐耳さんは吃驚したっぽい。獣耳って敏感だよね。
僕のケモ耳もかなり敏感だから。
見覚えのある狐耳さんは僕に顔を近付けて目を合わせるとこういった。
「卯月なのじゃ、覚えてないのじゃ?」
会ってそんなにたってないような気がするけれども
そして覚えてたよ。というか声だけでわかったよ。その口調特徴的だもんね。




