第74話 通知と涙腺
桜が守っていてもそんなに強いなら何時かは桜も死んじゃう可能性があるし
僕も死んじゃう可能性があるからとても不安しかないけれども。
☆☆☆
桜はあの話のあと1階に降りていってしまったし
何もすることがないから僕は空をぼーっと眺めていた。
空はもう既に暗かった。多分夕方だからだろう。
ふと空を眺めていると
"ぴろろろん"という音が響いた。
この端末の通知音だ。誰かが僕の端末になにか送っているのだろう。
端末を開いて見てみる。
えっと…番号は…っとこれであっていたはずだ。
どうやら通知音はSNSからなっているようだった。
学生がよく使うSNSだ。
噂によれば僕が高校に入学する年にサービス開始されたらしい。
僕も1年の夏から使っている。
坂城くんに連絡するように言われて使い始めたんだ。
そんなことは置いといて
通知の主は瀧崎くんだった。漢字を覚えるのが一苦労である。
こういう難しい名前してる人って
どうやって名前覚えてるのかなとよく疑問に思う。
本人によると何処かの地名らしい。
とはいえ滝崎くんはゲーマーだ。ゲームに詳しいのだ。
オンラインゲームとかやってるのかな…?
VRとかやりこんでそうなイメージがあったりする。
そんなことを思いながら通知の文章を目で読んでみる。
瀧崎:楓、生きてる?
楓:僕は勝手に殺されてしまった!?、そして瀧崎くんも坂城くんと同じ反応だね。
瀧崎:あれ?被った?
楓:被ってるよ。
瀧崎:被ったのはさておき、楓、無理するなよ?
楓:風邪は治ったから大丈夫だよ。
瀧崎:もう夏休み入ってるしな
瀧崎:それはそうとNFCやんね?
楓:NFC?
瀧崎:Natural and Float Continent
楓:自然…どういうゲームなの?
瀧崎:俺に進めた人によれば超鬼畜VRMMOらしいぜ!
楓:鬼畜系…瀧崎くんにぴったりのゲームだね!、でも僕は遠慮しておくよ。
瀧崎:なんでだよー、難しい方が面白いじゃんか!
楓:ゲームに燃えるのはわかるけど、僕はあまりゲームしたことないから…
瀧崎:そうか、必要だったら俺が教えるぞ。
楓:やりたくなったら教えるよ。ごめんね。
瀧崎:俺は何時でも楽しみに待ってるからな!
ごめんね、瀧崎くん。僕はもう既になちゅにいるんだ。
そして僕は君を頼ることは出来ない。
何故ならばこんな体だからだ。
きっと桜とそばにいる時も僕は腰あたりしかなかったし
桜よりも大きな瀧崎くんや坂城くんにあっても
目と目を合わせて、前の様には会話出来ないと思うんだ。
自然と端末に水滴がこぼれ落ちていた。
よく見るとちっちゃな手も水滴に濡らされている。
僕は泣いているの?弱くなったなあ。
子供になったから?…それとも女の子になったから?…
涙腺が脆くなった気がするんだ。
画面に2、3滴落ちた端末を床において僕は声を殺して泣いた。
☆☆☆
何時間泣いていたのだろう。
気が付けば頭を誰かに撫でられていた。上を向く。
「お姉ちゃん?大丈夫?」
桜だった。
「うー…うん…」
「お姉ちゃん、なんか元気ないよ。どうしたの?」
僕の頭を撫でる桜の手は止まない。なでなでなでなでなでなでなでなで
「なんでもない…」
僕はまた桜に嘘を付いた。心が針で刺されたような痛みを感じた。
僕は嘘ついてばかりだ…なんでこんなにも弱いのだろう…
人に会うのが怖いの…?、変わった自分を見せるのが怖いの…?
自分の感情に問いかけてみる。
「お姉ちゃん…無理しないで、私も辛くなるから…」
その問いかけた質問は帰ってこなかった。
「さくら…ごめんね…」
僕は再び声を殺して静かに泣いた。こんなに弱かったらお姉ちゃん失格だね。
「お姉ちゃん…大丈夫…大丈夫…」
桜に甘えてばかりの自分を何とかしたいと思った。




