第72話 遭遇と会話
「うーん、村長さんの依頼をクリアすればそれで行けるけどちょっと面倒なんだよ…」
「めんどう?」
「初心者には結構厳しいかもね。」
☆☆☆
初心者には厳しい、どういう意味だろう。
僕は再びケモ耳のついている頭を傾げた。
その時前でスライム狩っていた少年と目が合った。
「おい?その獣耳どうやったらつけれるんだ?」
「うーん…ベータテストのアイテムだよ。」
桜は速攻で誤魔化しにかかった。
「ベータテスト?なんだそれは?」
僕も同じように首を傾げる。
「ベータテストって言うのはサービス開始時に抽選でプレイ出来るゲームのことだよ。ベータテスターはアイテム引き継げるんだよ。」
「そうなのか。知らなかったな。ありがとう。」
「いえいえ。」
「それにしても撫でたくなる衝動に駆られるな。ちょっと撫でていいか?」
僕は危機感を感じ取って桜に抱き付いた。
「お姉ちゃんが怯えてるから触っちゃダメ。」
「うぅ…」
「そっか、しかたないな、ならまた会おう。」
青年はそう言うと走って何処かに去っていった。
多分あっちは集落の方だ。
「お姉ちゃん、草原は危険だけど釣り池も多分危険だよ。」
今は…時間がわからないけど多分16時くらいじゃないかな。
「なんで?」
「それは、ログインする人が増え始める時間帯だから?」
「?」
「というか今夏休みだから特に多いと思うけど。」
夏休み…学校がない…ゲームする人が多い。
僕は頷いた。
「わかった?だから動かない方がいいかもしれない。」
確かに動かない方がいいかもしれないけど…それはそれでなんか…
「ごめんね、お姉ちゃん、今日は何も出来ない。」
桜は泣いていた。
☆☆☆
しばらくすると桜は泣き止んだ。
「ここで話し合っていよう。」
「なにをはなすの?」
「お姉ちゃんはこの世界に来たけど何がしたい?」
何がしたいか、目標を決めろというのかな?
確かに目標は大事だけど、まだ早いと思う。
「ぼくは…まだこのせかいがわかってない。」
「そっか、じゃあ、一緒に世界を知ろう。」
桜は二つ名持ちだし、知ってるんじゃないかな?
「私が案内してあげるよ。お姉ちゃん」
「あんない…?」
「そう、案内してあげる。この自然的な神秘的ななちゅを。」
「さくら、なかみかわった?」
「変わったのかもね。わからないけど。お姉ちゃんを見てると保護欲が沸いてくるんだよ、みんなそうかもしれないけども。」
僕は桜の言っていることがよくわからなかった。
☆☆☆
「まず、最初に行くのは水の島でいいよね?」
「うーん。他には?」
「他だと、森の島とか旱魃島とか鉱石島とかあるけど…?」
「うーん、水の島でいいや。」
僕は空を見上げた。
斜め西上の方に浮いている水が流れては霧になって消えていく。
僕は指さしながら桜に問いかけた。
「あのしま?」
「うん。あれ水の島だよ、名前は教えない。」
「およげるの?」
「お姉ちゃん、水中呼吸とかは気にしなくていいよ、着けばわかるから。」
「いきつくほうほうでなやんでるんだけどね。」
「うーん、クエスト受けてみる?」
「うーん…?」
僕達はしばらく悩んでいた。
しばらく悩んでいると桜が何かを閃いたようだった。
「お姉ちゃんそういや浮遊魔法使えたよね。」
「あれみられるとやばいんじゃ…」
「だよね…、お姉ちゃんが安全に冒険できる方法を探さないと…」
「やっぱりあしたにさきおくり?」
「うーん…そうするしかないか。お姉ちゃん、ログアウトするよ。」
「うん…」
「明日の朝に再びログインしよう。あまりいなさそうだから。」
「あさおきれるかな?」
「私が一緒に寝るから大丈夫だよ」
桜は一緒に寝るらしい。とりあえず僕はログアウトした。




