第5話 3兄妹
「とりあえず、ぼくはあまぎ かえでだ!」
僕は可愛らしく響くソプラノ声で宣言した。
とても可愛らしい声が辺りに響いた。
とても自分の声とは思えなくて泣きたくなってきた。
心が折れそう。
☆☆☆
「楓兄ちゃんと一旦仮定してビシッと決めるのはいいけどさ、楓兄ちゃん、それ隠したら?」
隠す?何を?
「ん?」
「頭に生えてる獣耳と腰のあたりで揺れている気持ちよさそうな尻尾が生えてる。」
櫟には僕が人外に見えるのか。
そんな萌え要素は付けた覚えがないんだけども。
「んん?」
頭に手をやってまさぐってみる。
なんか柔らかくてふさふさしたものが触れた
怖いけど触ってみる。
なんか猫みたいに尖った耳だ
視線を下に移してみる。
水色の髪と同じ色の太い尻尾がゆらゆらと揺れていた
なんじゃこりゃ。
僕はいつから人間をやめたんだ?
☆☆☆
「お兄ちゃんかっわいいいいい」
可愛いですね、こんな幼児に萌え要素生やすなんてとても現実を見たくない気分ですよ。
「ね。」
妹が唐突に抱き付いてきた
僕は回避しようとしたが尻尾を掴まれてしまった
強く掴まれてしまったせいでなんか変な感触が伝わってきた。
桜の手なんだろうけども。
「きゃうっ」
なんだその鳴き声は。
「かわいいよお、もふもふだあ」
妹は何時からケモミミストを発症させたのだろう...
僕はお兄ちゃんとしてこの子の未来が不安です。
とりあえず、尻尾から手を離してほしい。
「はなして」
威嚇する様に言ってみた。
「あ、ごめん。」
謝ってくれた、考えさえ直せばいい子である。
☆☆☆
「それで、けもみみもはえてしまったし、これじゃぞくせいかただよ!」
受け入れられないよ。どうやって生きていけば。
「楓兄ちゃん、そこじゃないよ。もっと重要なのは如何に他人の目をかい潜れるかだよ」
そこもだよ!何言ってるの櫟!?
VRやってるのにそっちの世界は無知なの!?
人の目につかないのも重要だけども
「たしかにみられたらやばい」
見られたらやばい、解体されかねない。
最悪原型止めなくなる。
「日本人どころか人間やめてしまったし、お兄ちゃん、どうやって生きていく?」
桜は僕を抱きながら僕に問う。
お兄ちゃんなのに妹にだかれるのは複雑な心境だ
幼児だから仕方ないけども
「うーん...」
悩ましい。妹弟に養ってもらうのもなんか…
「とりあえず、外出れないよね。」
「そうだね。」
この獣耳尻尾引っ込めたら普通に出られるけどね?
「楓兄ちゃん、問題山積みだよ」
「あたまがいたくなってきた」
元は高校生とはいえ
現幼児に頭痛突き付ける現実が忌々しい。




