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世界  作者:
-1st- / 夏の始まり
57/175

第56話 早朝

昨日22時30分にログアウトして即寝して翌日。

眠気の残る朝だった。

携帯を見てみると8時30分だった。

10時間ちょうどだ、けどもまだ凄く眠い。

薄い布団を除けて体を見てみる。昨日と変わらず尻尾は揺れていて

ちっちゃな手足と胴体だった。幼児だった。

"夢だったらいいのに"なんて考えがよぎってしまう。

「お姉ちゃん!朝だ」

「にゃあに…うるしゃいにゃあ…」

僕は部屋に入ってきた桜に目を擦りながら答える。

「お姉ちゃん起きるの早いね。」

変化前はちゃんと6時になってたら起きてました。

むしろ遅くなった気がするんだけど。

こんな状況も子供の…幼児の体のせいかな。

「お姉ちゃん、階段降りれる?」

確か昨日は抱っこしてもらったんだっけ…

僕はそれでも恥ずかしかったので

「自分で降りれるよ。」と返した。

「お姉ちゃん、降りれなかったら携帯で呼んでね!」

この家で携帯持ってないのは櫟のみである。

桜は机に置いていた

可愛い猫のキーホルダー付きのピンク色のスマートフォンを

片手に持つと階段を降りていった。




☆☆☆




通知音がなっている、普通の何の個性もない通知だった。

携帯を開いて見てみる。暗証番号を解除する。

通知は高校の友人の坂城くんからのものだった。


坂城:なあ、楓。生きてるか?

楓:生きてるけど?

坂城:返事遅いな。何してた?

楓:桜とちょっと会話を。そっちは何してる?

坂城:ん?いや図書館で受験勉強だけど?

楓:受験勉強か、頑張って。

坂城:ありがと、それで、今度一緒に遊ばないか?

楓:今度って何時?

坂城:何時でもいいが?、夏休みは何処か行きたいだろ?

楓:海に行きたいかな。

坂城:そういえば聞きたいことがあるんだけど。

楓:何?

坂城:悠がよ、楓の家行っただろ?

楓:終業式休んだ話?

坂城:そうだ、楓は初めて休んだよな?

楓:え?初めてだっけ?

坂城:初めてじゃないのか?初めてな気がするが。まあいい。

悠がさ、楓の家で幼女の声を聞いたって言ってたんだよな。

楓:何も?

坂城:そうか、何も知らないか。なんでもない。

楓:桜に呼ばれたからまたね。

坂城:おう、またな。楓に何もなければいいが…


坂城くんは僕にとってもこないだきた悠にとっても

兄貴分にあたる友人として頼れる人だ。

僕はその相手に嘘を付いた、幼女の声は僕だというのに

本当のことを言っても信じてくれなさそうだけども

そして違和感のこと言ったの?

なんで言ったのさ、人のせいにしたって何も変わらない。

僕はどうやって外に出ればいいんだ。怖くなってきた。

自分に起きていることなのに自分がわからなくなるんだ。




☆☆☆




「お姉ちゃん、朝食…どうしたの?」

僕は毛布の中で頭を抱えて蹲っていた。

なんでなのか分からない、どうすればいいのかわからない。

桜は心配そうに声をかけてくれた。

「お姉ちゃん…大丈夫?」

「ひとめがこわい…」

「お姉ちゃんこんな姿だもんね…怖いよね。」

「しばらく外に出たくない…」

「お姉ちゃん…朝食はちゃんと食べないとだめだよ…そのことについては後で考えよ?」

確かに1日3食は大事だ。この体が食べ切れるかどうかわからないけども

桜に毛布ごと抱き抱えられた僕はそのまま持ち上げられると

1階に連れていかれた。

なにも毛布ごと持っていかなくてもいいのに…

桜が階段を降りて1階の廊下でふと毛布から顔を出すと櫟と目が合った。

櫟は心配そうに首を傾げながら僕に聞いた。

「楓…大丈夫か?」

「うん…」

「なんか凄く怯えてるように見えるんだが…」

櫟の言った通り僕は怯えている。色々なものに怯えている。

僕はこの体になってから急激に弱くなったと思うんだ。

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