第44話 浮遊
僕は秘策を思い付いた。今からそれをやってみる。
☆☆☆
僕の魔法は多分教えてもらわなくても使えるようになっている。
階段の燭台に火を灯す魔法もきっとそうだったし。
だから僕は魔力で剣を浮かせてみようと思った。
ゆっくりと剣を受け取ると僕はその場に突き立てるように指示した。
アルティマさんが突き立ててくれた。
「来睦ちゃん、何をするの?」
僕は剣を見ながら浮け、浮けと念じてみる。
僕の魔力が少し減った感覚と剣はゆっくりと抜け始めた。
「!?」
「お姉ちゃん?」
アルティマさんは吃驚している。
「来睦ちゃん、魔法はね、教えられなきゃできないはず。」
僕は火球は見様見真似でやったら出来た。
今回は想像だけで浮かせてしまった。
「それにね、浮遊魔法ってものは竜以外で発見されてないのよ。」
竜以外空飛べないのかな?この世界。
「あい、あるてぃましぇんしぇー」
「なあに?来睦ちゃん。」
「しまからしまにいどうするにはどうするんですか!」
「それは飛行船使うか、飛行アイテム、装備使うのよ。」
会話してる間に剣が結構浮いていて矢を弾き返していた。
周囲に落ちたたくさんの矢が桜の光魔法にあたって煌めいている。
「そーび?ひこうあいてむ?」
「そうよ、来睦ちゃん、不正はしていないのよね?」
「ふせいってなあに?」
「プレイヤーの生命で遊ぶ様なこと。不正してたらアカウント消されるわ。」
「これはしょうごうによるこうかだけど…」
「おかしいわね、この世界に称号も存在しないはずなのだけれども」
「え。」
称号が存在しない…?
じゃあ、称号"永久なる神秘幼女"は一体…
「しゃくら、しょうごうがそんざいしないってほんと?」
「お姉ちゃん、称号ってなあに?」
こっちはそこからだった。
「あるてぃましゃん、しゃくら、しゃしんおくるね。」
☆☆☆
僕はアルティマさんと桜にステータス画面の写真を送った。
「本当に称号があるわね。来睦ちゃん、内緒にするのよ。」
それは結構厳しいと思う。
「お姉ちゃん、人間やめちゃったんだね。」
僕今こんな姿なのだからわかるでしょ!?
人間に獣耳尻尾は付いてないよ!
「それにしても最初に出会ったのが私でよかったわね。」
それはどういう意味なのか。
「にゃ?」
「来睦ちゃん、私実は最古参プレイヤーなのよ。この称号あの3人に知れたら不味いことになるわね。」
「しゃんにん…?」
「ええ、具体的には怖い人って覚えておけばいいわ。」
「禁忌と死神と殺戮。」
2つ名からして危なそうなのだけども。
「わかった?来睦ちゃん、隠れてなさいね。」
子供に言い聞かせるように言われて僕は頷くしかなかった。
☆☆☆
「あるてぃましゃん、すけるとんどうしましゅか」
「来睦ちゃん、炎を作ることはできる?」
僕は片手で炎球を作り出した。炎で周りが明るく照らされる。
壁際にスケルトンが16体いるのが見えた。
「来睦ちゃん、早くなったわね。」
なでなでわしゃわしゃ、僕はまた撫でられた。
「その火球を分裂させてみましょう。」
僕は火球をちぎるようなイメージをした。
手の上の火球はどんどんとちぎっていくようにバラけていく。
そして32個の火球が浮いていた。
「来睦ちゃん、周囲に放つのよ。」
僕は手を地面に当てると火球を広がるように周囲にはなった。
スケルトンが燃えていく。溶けていく
骨は熱に弱い。火球はきっと痛いのだろう。
薄暗い部屋の中には剣の周りに落ちた矢だけがたくさん残っていた。
スケルトンが打った矢だった。
僕は手に取ろうとして触れた。
「あちっ」
火球を当てたからか地面に落ちていた矢は結構熱かった。
「お姉ちゃん、大丈夫?」
「うん。」
「来睦ちゃん、矢はとるの?」
「いちおう」
「水魔法使うわね。」
じゅわわわわわわ。
アルティマさんが水をかけると矢から煙が立ち上がった。




