第42話 金眼
とりあえず、ダンジョンが暗いのはよくあることらしい。
僕達は桜の後に続いて地下に降りていった。
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地下1階の内部は薄暗く部屋の奥まで見えなかった。
電気でもあればいいのに。
カシャンカシャン薄く音が聞こえてくる。
奥にスケルトンでもいるのかな。
「このだんじょん、いっかい、とらっぷ、しゅじく。」
「そうだったわね。全部の部屋巡ってないからわからないけれども、」
オプションを開いてマップを見てみる。
マップは全く埋まっていなかった。このダンジョン大規模型?
地下3階まである様だった。
これは面倒な方式だ。全部の部屋に行かないと
情報が得られないのだから
「お姉ちゃん、左の目が光ってるよ。」
「来睦ちゃん、お姉さんはそれはちょっと早いと思うなあ」
左の目が光ってる?僕にはちょっとよくわかんない。
確か左の目は金色の方だっけ。魔眼だったね。
それって多分厨二病のことだよね。
僕のこれは称号の影響であって中二病じゃないから。
混乱した僕の口から出た言葉は
意外にも「ちょっとかがにかして」だった。
「お姉ちゃん、鏡はないよ!」
「来睦ちゃん、これでいいかしら。」
アルティマさんが銀色に縁どられた丸い手鏡を渡してきた。
桜がライトを近付ける。僕は鏡を覗き込んでみた。
確かに左目が青く光っている。これはこれで怖い。
マップを見てみる。
自然にも"全部の敵、宝箱、地図が薄く見えるように"なっていた。
え、これ僕が持っていていいの?
僕は驚愕したまま立ち竦み、動けなくなった。
☆☆☆
くらくらする。
「来睦ちゃん、どうしたの?」
「お姉ちゃん?」
「ちず…みえる…」
「ん?」「お姉ちゃん…?」
この魔眼はこのゲームの法則に亀裂を与える。
この時の僕はこの能力
まだ片鱗でしかないのだと気付いていなかった。
「さくら、あるてぃましゃん…まっぷがぜんぶみえる。」
「え?」
「お姉ちゃん、中二病みたいだよ。」
マップが全部見えるということは答えを見ていると同意義で
僕はその能力を切った。
地図は元に戻った。
手鏡で見ると青く光っていた僕の目は元に戻っていた。
僕はその場に意識が消えるように倒れた。
しばらくして起き上がった。何分経ったのかな…
「さて、たんしゃくをつづけよお!」
「ちょっと来睦ちゃん大丈夫!?」
僕は見なかったことにした。
倒れたこともなかったことにした。
自分だけ地図がわかるのは卑怯だと思ったから。
僕は前に歩く。暗くて怖いけども歩いてみる。
「うっひゃああああああああああああああああ」
僕の叫び声がダンジョン内に響く。
冷たい何かが顔に当たった。尻尾の毛が逆立った。
触ってみる、若干ゴムっぽくて氷の様に冷たい。
前を見る。釣り糸が見える。何かが吊り下げられている。
「しゃくら、こっちきて。」
「お姉ちゃん、何かのトラップにでもかかった?」
桜がこっちに来て光で照らす。
照らされたものは釣り糸で浮いている四角い約1mくらいのスライムキューブだった。
大体僕の今の身長くらいだ。
隣にいる桜を見て桜基準で考えると体に当たるように作られているのだろう。
「なんていうか、お化け屋敷によくありそうなトラップだわね。」
「アルティマさん、お化け屋敷はこんにゃくです。」
「スライムキューブって割と簡単に作れるのよ?」
どうやら簡単に作れるらしい。
「つくりかたは?」
「スライム10体倒して核集めて煮詰めて溶かして四角の型に液体入れて氷魔法で冷やすだけ。」
何そのチョコレートみたいな作り方。
「あるてぃましゃん、すらいむってたべれる?」
「スライムは一応食べれるけどもゴムみたいな味しかしないわよ?」
「お姉ちゃん、ゼリーみたいなの期待してたの?」
期待していて悪かったなー、そんな感情を桜にぶつける。
「お姉ちゃん、可愛いねー」
何故か涙目上目づかいになってたようで撫でられた。
「来睦ちゃん、この世界、中心島街行けばお菓子はたくさんあるわよ?」
何故かアルティマさんも僕の獣耳を撫で始めた。
僕はしばらく2人に撫でられていたままだった。




