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世界  作者:
-1st- / 夏の始まり
36/175

第35話 焼き魚

『おかえりなさいませ、VRの世界へ、来睦様』

そんな言葉と共に視界は暗転した。




☆☆☆




僕はまた釣り堀にたっていた。

「おかえり、来睦ちゃん。」

アルティマさんは串に指した魚を焼いていた。

よく見るとフナのような見た目をしている。

よく焼けていて美味しそうだ。

「あ、来睦ちゃんも食べる?」

「うにゃ?」

「この魚はね、スプレッドフィッシュっていうのよ。この池でよく釣れるわね。」

この池は釣り池なのに割と水は澄んでいる。

僕はその魚を貰って食べた。

少し水々しくて美味しかった。

焼けているのに身が水々しいのは不思議だ。

隣を見るとアルティマさんは

魚を焼いてるのではなく切っていた。

「アルティマさん、刺身…」

「大丈夫よ、一応焼いてから切ってるから。」

そうなのかな。

VRだからといって油断はできない。

「そういえば、来睦ちゃん、お昼御飯何食べてきたの?」

「そうめん。」

「そうめんかあ、いいわねえ、今の季節に丁度いいじゃない。」

確かに今は真夏を迎えようとっしている時期だ

そうめんは定番かもしれない。

しばらく池を眺めて魚を見て待ってると

人が増えてきた。

時間を見る、大体15時くらいだった。

この時間にもなると

早い人はみんな帰ってる時間だ。

ログイン数も増えるのかな。

そんなことを思いながら再びもらった

魚を食べて桜を待っていた。




☆☆☆




魚も食べ終わりしばらくして待ってると桜もログインしてきた。

「お姉ちゃん、またせたね。」

そう言いながら頭を撫でてくる。

しばらく桜は僕の頭を撫でている。

するとアルティマさんがこう言ってきた。

「来睦ちゃんのチュートリアルに初級ダンジョンを攻略しに行きましょう。」

「それいいね!」

「え?」

僕なんかにモンスター倒せるかな…

少し心に不安がよぎる。

「大丈夫よ、来睦ちゃん、危なくなったら私達も介入するから。」

「お姉ちゃんを見てると介入する必要なさそうだけどね。」

介入する必要なさそうなのかな…




☆☆☆




3人でしばらく草原を北の方向に歩く。

すれ違う人達は吃驚したり

写真を撮ったりする人がほとんどだった。

「来睦ちゃん、チュートリアルダンジョンはね。それほど難しくないいのよ。」

「うーにゅ?」

「とりあえず、討伐とか素材とか学ぶところだよ?」

ならば運営は何故そこに転移させないのか。

僕が首を傾げると何やら不思議そうに桜が覗き込んできた。

「お姉ちゃん、どうしたの?」

「うーん?」

「来睦ちゃん?」

「ここの運営はなんで最初にチュートリアル出さないのかなって」

思ったことを口に出してみた。

「うーん、多分、飽きられるからじゃない?」

「飽きられる?」

「説明書読まない人達は面倒だから読まないでしょう?」

確かに面倒だから読まないという人は

僕の友達にもいた。変化前の友達だけれども。

「そうなのかー」




☆☆☆




しばらくするとダンジョンについた。

ダンジョンの見た目は何やら古びた廃墟みたいだった。

これがダンジョンか。

「今回は私達がいるからいらないわね。剣姫ちゃんは回復魔法使える?」

「使えるよ!」

「なら問題は無いわね。」

「うーん…」

「お姉ちゃん、ダンジョンは、地下に繋がってるんだよ。」

「そうなの?」

「だから上が小さくても地下は広いんだよ?、それにこの世界は常識に囚われちゃダメだよ。」

常識に囚われちゃダメ…

この言葉は一体どういう意味なのだろうか。

僕はチュートリアルダンジョンの門の前に立った。

扉が閉まっている。

「来睦ちゃん、扉を開けてみなさい。」

「お姉ちゃん、頑張って」

どこをどう頑張れと言うのだろう。

とりあえず、自分の身長の2倍もある大きな扉に

僕は手をかけて魔力を流した。

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