第32話 魔法
アルティマさんは戸惑った返事をすると
しばらく釣りの方に没頭した様だった。
☆☆☆
しばらくして僕は落ち着こうと思った。
ゆっくりと深呼吸をして…
青い空を見て、なんだか落ち着けた。
これをするだけで数分たった。
「どう?落ち着いた?」
それでもまだ心配そうに
声をかけてくれるアルティマさん。
釣り用のバケツを見ると
名前のわからない小魚が7匹くらい泳いでいた
「うん。」
「何があったの?」
「ごめん、いえない。」
「そう。その見た目に関することなのね。」
ごめんなさい、本当にこれは言えないんです。
それでも見抜かれている。そう思えてしまう。
だって、推測が間違ってないんだもの。
「私はあなたを保護する理由ができたわ。可愛い子、綺麗な目、獣耳、私に甘えてきなさい。」
「ふあ?」
僕は急な態度の変化に吃驚した。
「あらあら、そんな面食らった顔しなくていいのよ?」
アルティマさんは僕の頭を撫でてくる。
撫ですぎではないだろうか。気のせいかな。
それに精神は幼児ではないのだから
お姉さん…アルティマさんに甘えることは出来ない。
幼児化の影響も受けてそうだけれども。
「それにしてもこの獣耳欲しいわねえ。可愛いわ、それに目もきらきらしていて綺麗だし、」
可愛いのは認めるが獣耳撫でられると擽ったい。
「あるてぃましゃん」
「なあに?」
そう言って抱き着いてきた。
「あるてぃましゃん、ぼくにおしえてくだしゃい。」
「ふふ、ついておいで。」
アルティマさんはそのまま
僕を抱き上げて草原の方に向かっていった。
☆☆☆
ついたのは草原だった。
VRMMOもスライムを相手にするのが最初の敵か。
青薄くて四角いスライムが跳ねている。
「おじょうちゃん…名前聞いてなかったわね。お名前は?」
「くりむ、です。」
「くりむちゃんというの、可愛らしい名前だわね。」
なでなでなでなで。また撫でられた。
「くりむちゃん、私の剣を貸すから、手を出しなさい。」
しばらくすると僕の手の上に1本の鞘に包まれた剣が現れた。
「それじゃ、戦闘練習始めるわよ。危なくなったら守ってあげる。」
守ってくれるなら安心かな。
僕はゆっくりと浮いている剣を鞘から抜いた。
僕の力では鞘からその剣が抜けることは無かった。
アルティマさんが駆け寄ってきて鞘から剣を抜いてもらった。
綺麗な青銀色に輝く薄刃をしている。
僕はその綺麗な剣を持ってみた。地面に刃先が付いている。
僕はその剣を振ってみた。
☆☆☆
重すぎて振れなかった。
「んにゅ…くぅぅ…」
精一杯振ってみようと頑張るが振れなかった。
「可愛いわねえ、見ていたいわ。」
サディストの気でもあるんじゃないだろうか。
「んぐぐ…」
数分たっても僕は剣を振れないでいた。
幸いなのはスライムが襲ってこないことか。
アルティマさんは考えている。
「うーん、そうだ、魔法にしましょう。」
唐突にこんなことを言い出した。
魔法、それなら僕にも使えるかもしれない
「とりあえず、スライムは…雷属性が弱点だったわね。打ってみるわ。」
アルティマさんは向こうのスライムに手を向けた
《ライトニングショック》
アルティマさんの手から放たれた雷は
スライムに直撃してスライムの身を焦がした。
スライムからは煙が出ている。
「うーん?ちょっと威力が強すぎたかしら。」
この人、上級者なんじゃないだろうか。
☆☆☆
「さて、魔法はああやるのよ?、力がなくても魔法は誰でも使えるから。唱えてみなさい。」
アルティマさんはしゃがんで僕の手に手を添えた。
恥ずかしい、今の僕は赤面しているのだろう。
「らいとにんぐ、しょっく」
たどたどしい口調で僕はスキル名を告げた。
小さな僕の手から青白く光る雷が走った。
「防御魔法、プラズマティックゾーン」
アルティマさんは何故か防御魔法を貼った。
スライムに攻撃は当たったが、周りの地面ごと
クレーターのように焼け付いていた。
スライムはもちろん、跡形もなく消滅していた。
「ごめんにゃしゃい。」
「この子、魔法の才能は私以上かもしれないわね。」
才能じゃなくて称号のせいなんです。ごめんなさい。




