水晶
僕達は転移門の場所にたどり着いた。
ティーナさんは僕を抱えたのにも関わらず疲れた様子は一切見られない。
「おもくなかった?」
僕はティーナさんに問いかける。僕を持ち上げて走ってたら流石に重いはずだ、疲れずはずだ。
それとも桜やたまちゃんと同類なのかな…
「ううん。来睦ちゃんはもっと成長した方がいいよ?」
頭を撫でられそう返されてしまった。
「あるじー、何やってるのじゃ?」
たまちゃんが向こう側の蓮の道から走ってきた。
僕の予想通りだった。転移門が見えたから割と確証はあったけれども
「やっぱりつながってたんだね…」
「来睦ちゃん的には繋がってない方が良かった?」
確かに繋がってない方が階段に近付けたかもしれない。
どの方角に階段があるのか真っ白な壁のせいで未だに検討は付かないけれどもきっと何処かにあるはずだから。
じゃなきゃ上の階には登れないし鎖の謎もわからない。
たまちゃんが転移門に入っていったので僕は玉ちゃんを指さす。
ティーナさんは僕の意図を読み取ったのか再び転移門に入った。
転移門に入って戻ってきた向こう側には四角を渦巻いたような模様が施された扉があった。
これ入口の扉だ。
つまり僕達は入口に戻ってきたことになる。ここまで予想通りだった。
「来睦ちゃん、次どこいくの?」
どこいくかは決まってないけどまっすぐもんの方を指さす。
「おろして」
僕はティーナさんの手を軽く叩き降ろしてもらおうとする。
「嫌だ。来睦ちゃん暖かいもん。」
ティーナさんは抱っこしたままだった。異性に抱き上げられると言うのは何時もなれない。
慣れなくていい経験だ。僕が戻った時に支障が出る可能性も無くはないから。
入口の門から3方向の道に分かれている。
全部同じ色の蓮の道でさっきのような偽物が混じってる気配はない。
真ん中の道は蛙がいてさっき行った道だ。除外。
残るは右か左か。どっちに行くか迷っているとたまちゃんが何か見付けたのかやや斜め右の道を指さした。
僕は首を傾げる。
「あっちに光る水晶らしきものが見えたのじゃ。」
水晶…?水晶ってなんだろう。なんかのスイッチの可能性もある。
「みぎでいい?」
僕はたまちゃんに問いかける。たまちゃんは頷く。
「行く方向は決まった?」
「みぎ。」
「そっか、1回来睦ちゃん降ろすね、もふもふが名残惜しいけどもしばらくの我慢だね。」
本人に言わないでください。
同性とはいえ元は異性同士な上、外見が異性だったら警告してると思う。
こんな姿になってしまった僕も僕で悪いけども
たまちゃんは急に弓を上向きに構える。
何やってるんだろうろと思いながら僕はたまちゃんの弓が狙ってる方向…上を見た
なんか変なものが浮いてるけど名称も体力もわからない。
桜が名称表示されない限りは双方ともに攻撃しても意味ないと言っていた気がする。
「たまちゃん、ねらわなくていいよ」
「何故じゃ?」
「てきがひょうじされなければこっちもあいてにされないから」
「そうなんだ。初めて知った。」
え?ティーナさんもこの情報知ってるんじゃないの?僕は桜から知ったけど。
☆☆☆
たまちゃんは弓矢を仕舞うと右の蓮の道を歩いていく。
ティーナさんと僕もたまちゃんの後を付いていく
「来睦ちゃん、なんか警戒してるの?」
確かになんか嫌な予感がするし警戒しているのかもしれない。
上から凄まじい威圧?重圧?を感じるんだ。
それはこの階ではなくまだ上だから警戒しなくてもいいのかもしれないけれども。
歩いていると急にたまちゃんが立ち止まった。
僕もたまちゃんに釣られて立ち止まる。
「あるじ、偽物の蓮があるのじゃ。」
たまちゃんの目の先に偽物の蓮と向こう側には光ってない青色の水晶があった。
あれどうやって浮いてるんだろうと思ったけど
下を見たら浮いてるんじゃなく玉座に置いてあるものだった。
「どうするのじゃ?」
「どうしよう、私は近距離しか出来ないよ?」
ってことは僕の番かな…
僕は蛙を倒した時に使った火球を発現させ青色の水晶に飛ばした
しかし青色の水晶は焼けた様子もなければ輝く様子も見られなかった。
僕はトラップかと身構えるが青色の水晶は何も攻撃してこなかった。
青なら水属性が必要なんじゃないかなと思った。
指先に冷気を収束させ青色の水晶に向かって一気に放った。
水晶までの偽物の蓮がパキパキと音を立てて凍り付いていき毒水の中に沈んでいく。
水晶に冷凍光線が当たると認識したのか淡く輝き始めた
「おおお…」
「来睦ちゃん流石です。」
ティーナさんは僕の頭を撫でてきた。髪が揺らぎが擽ったく感じた。
☆☆☆
しばらく青色の水晶が点滅したあと何処からかバシャンという毒水に何かが叩きつけられるような音がした。
その音に僕の体がびくんと跳ねる。
「来睦ちゃん、大丈夫?」
「だいじょうぶだよ、なんでもない」
「あるじ、どこかが動いたようなのじゃ」
きっとこの先でわかる事だ。
僕はたまちゃんの横を通り過ぎて先に行こうとしたけどたまちゃんに止められた。
「あるじ、先に行くと危ないのじゃ」
確かにトラップがあるとも思えるよね。今まで出てきてないだけ十分に怪しい。
たまちゃんに連れられてしばらく歩くと曲がり角に当たった。
後ろからティーナさんもゆっくり歩いてきた。
「あるじ、どっちにいくのじゃ?」
前か右か。賭け事をするならば多分右の方が正解
慎重に行くならば多分前の方が正解だ。
「どっちにいく?」
「上でいいのじゃ」
たまちゃんは右を選んだようだった。
僕も右を選ぶ。多分その方がショートカット出来そうな直感があるから。
「私も右でいいよ?」
ティーナさんも右で2人の意見があったから右をまっすぐ進む
少し進むとまた曲がり角にぶち当たった。
とりあえず僕は左を指さす。
たまちゃんは僕をチラッと見ると左に進んだ。
蛙に遭遇した。もう何度も見るもはや見なれた蛙エネミーだった。
上にはさっきたまちゃんが狙った謎エネミーが飛んでいる。
未だに名前がわからないし狙われる可能性もないのでほおっておく。
たまちゃんは弓矢を構えると蛙目がけて矢を放った。
「そっちの狐耳さんは飛び道具なのね!」
ティーナさんの問いかけに対して僕は首を横に振る。
「え?」
「たまちゃんはなんでもできるよ?」
「なんでもって?」
本当にたまちゃんはなんでも出来るし僕以上に強い
戦闘慣れしているのかもしれない。
「きんきょりもえんきょりも」
「万能タイプ?」
僕は魔法タイプに分類されるとティーナさんが言っていたのでたまちゃんならばどちらもできるので万能タイプなのだろう。
羨ましい。
僕はティーナさんの問いに頷く。
「そのけん、たまちゃんにわたしてみるといいよ?」
「信用ならないから無理。」
だよね。僕もそんなに時間経ってない相手にアイテム渡すのは無理だよ
奪われそうで怖いもんね。よくわかる。
でもたまちゃんは多分そんなことはしないけど。
「そうだよね、でもぼくはけんつかえないんだ。」
「本当に?」
そう言いながらティーナさんは僕に剣を手渡してきた。
僕は剣を受け取らなかった。
受け取れなかった。
持ち上げれなかった。
おそらくたまちゃんが腰に差している青銀色の剣よりも重いんじゃないだろうか。
僕は蓮の上に件を落とした。
バサッと音を立ててティーナさんの剣が蓮の上に落ちる。
「本当に使えないんだ…」
ティーナさんは納得してるのかわからないけど蓮の上に落ちた剣を拾った。
「まほうしかつかえないよ。」
本当に魔法しか使えないよ。それも数種類程度のみ。
僕はたまちゃんやティーナさんと違って弱いから。




