第142話 セットエネミー
失敗したら多分とんでもないことが起こりそうな気がする。
なので「やだ」と答えた。
☆☆☆
じゃんけんをした結果、桜が負けて桜がとくことになった。
そんな重要なことをじゃんけんで決めていいのかな。
桜が機械に接触すると上画面が緑色に光った。
『あなたに問題を出します。』
機械が光った。透明な部屋を緑色の光が支配する。
何をしたんだろう。
吃驚して目を閉じてしまったけど何も来なかった。それはそれでいい。
『ここから斜め右上のダンジョンを答えなさい。』
地図知らないから僕だったら答えられなかった。
桜はどうするのか。
桜の方を見上げると何かを書き込んでいた。そんで数秒。
『正解です。』という音声を僕の耳が聞き取った。
機械がガラスの中に沈んでいく。一体何が怒ろうとしているんだ。地響きが聞こえる。地面じゃないけど。
しばらくしてギギギギギギギという音と共に床の下から宝箱らしきものが出てきた。
桜はその宝箱に近付いてぺたぺたと軽く叩いた。
宝箱は微動だにしなかった。
桜は宝箱の蓋の隙間に剣を突き刺すとそのまま上に持ち上げてあけて蓋を開けた。
中身を探っていた。したからじゃよく見えないけど何かアイテムがあるようだ。
しばらくして桜が戻ってきた。片手にはなんか瓶みたいなものを持っている。透明の液体が見える。おそらくポーションか何かだろう。
もう片方には葉っぱみたいなものを5枚持っている。1回は見たことがある蓮の葉っぱだった。
「お姉ちゃん。はい」
さくらがこっちに来て僕に葉っぱ2枚と瓶を渡す。僕は1回葉っぱと瓶をアイテムボックスに仕舞うと再び取り出した。
☆麻酔
種別:ポーション
感覚を消し去る作用のある液体。主に医療用として使われるものである。打ち込んだ部位が動かなくなるため戦闘用で使われることも多い。
本当にポーションは何でもありなんだね。このゲームに及ばず、全てのゲームでこんなんなのかな?
麻酔って…治療用の薬剤でしょう?なんでこんなところにあるの?
桜は僕の手から瓶を持って少し振ると僕の手に戻した。
「お姉ちゃんにあげるよ。」
いや、麻酔なんてもらってもどうするの?ポーションのままじゃ使えないでしょうよ。そしてさっき振った意味はなんだったの?
僕はもうよくわからないよ。
「お姉ちゃん、次の部屋いくよ」と桜がいいながら向こうの道に向かって歩いていく。
ガラスの壁には水滴がついていて、道はなんだか濡れていて湿度が凄まじく感じた。冷たい風が吹いている。
「あるじー私を置いていくでないのじゃ」
部屋の向こう側にいたたまちゃんが僕を抱き上げると桜のあとを走って追っていった。
道は長く直線状で向こうには水滴が付着したガラスの壁が見えているし向こう側の部屋も少しだけ見えた。
具体的には変な機械らしきものが見えた。また機械かよ。クイズとかだったら嫌だなあ
☆☆☆
たまちゃんに抱き上げられて透明な足場を渡っている途中に上の方からずささささという濁流が落下するような土砂が崩れるような凄まじい音がした。
隣を見てみる。さっきと変わらず激流?滝みたいに流れて下の方に落下している。
下を見ても海だった。いや、水面という方が正しいのかもしれない。
どうなってるんだろうこの洞窟。そして入る前に見たあれはここの洞窟の3層ではなかった…?
「お姉ちゃん、着いたよ。」
桜が部屋の壁のところで待機している。たまちゃんと僕も、僕は抱かれてだけども一緒に部屋の中を見る。
さっき見た機械は三脚のような足に上のシャワーノズルみたいなものをくるくると回っていて上にカメラみたいなものがついていた。
なんだこれ。敵かトラップなのかとてもじゃないけどわかりにくい。
「たまちゃん、おろして」
僕がたまちゃんに指示を出すとたまちゃんは抱っこした手を離してくれた。
僕は意を決して部屋の中に入って見る。
一瞬入っただけでシャワーノズルみたいなエネミーは回転して僕を狙って水滴を打ち込んできた。
僕は戻った。幸い僕の目の前で水滴は消えた。桜やたまちゃんなら行けるんだろうけど今の僕じゃとても行けそうにない。
せいぜい、狙い撃ちされてリスポーン行きが目に見えているのだから。
「お姉ちゃん、ここは走って逃げるよ。」
どうやら桜は僕のさっきやった事の一部始終を見ていたようで対策を練っていたらしい。
がその対策も強行突破。僕も思った。強行突破しなきゃいけないような気がする。
さっき見た限りでは一撃で仕留めるのかと思うくらいにレベルが高かったし。きっと"倒すためのエネミー"ではない。
桜は部屋の中に首だけ入れて1周見渡すと右の方を指さした。
「お姉ちゃん、こっちに道があったよ。」
どうやら道を見つけたらしい。桜は罠部屋の時に使ったような淡く青いオーラを身に纏うようなモーションをさせて剣で打ち返すような構えを取ると、その瞬間、その場から掻き消えた。
桜のモーションを真似して僕も目を瞑って想像してやってみる。
剣は持ってないけど剣を打ち返すような構えをして…
目を開けたけど全くと言っていいほど動いていなかった。剣が必要なのかな。だとしたら僕は、筋力が足りなくて剣を持てないからできないと思うんだ。
こんな自分でも触っていて細い枝切れのようなぷにぷに肌の腕だと悲しくなってくるよ。以前の僕もそんなに筋力はなかったけどここまでではなかった。
☆☆☆
『お姉ちゃん、たまちゃん、早く来てよ。』
桜からチャットが届いた。桜はもう既に向こう側に行っているらしい。
たまちゃんはチャットを見て僕を抱き上げた。
「あるじ、しっかり捕まっておるのじゃ。」
その瞬間、凄まじい風が吹き荒れた。周囲の水弾も一瞬放たれただけで何が起こったのかわからない。途中から目をつぶった。怖かったんだ物仕方ないじゃん。
気が付いたら桜の目の前にいた。そしてたまちゃんは僕を腕から下ろした。
後ろを見てみる。もふもふの尻尾と綺麗な浴衣を纏った美人しか映らなかった。
「たまちゃん、そこどいて」
僕はさっき起こった超常現象?不思議な現象?についてたまちゃんの後ろ側を知りたかった。後ろ側を知れば何が起こったのかわかるかもしれないから。
「いやなのじゃ」
たまちゃんはそこをどいてくれなかった。しょうがないので諦めることにした。
「お姉ちゃん、凄まじい音がしたしとても怖かったんだけど」
やめて桜そんな目で見ないで、超常現象起こしたのは僕じゃなくてたまちゃんだから。
「まあいいや、お姉ちゃん、たまちゃん、次の部屋いくよ。」
そういうと桜は再び真っ直ぐに歩き出した。気が付けば慣れていた気がする。
少し歩いたところで桜が立ち止まった。桜のいる向こう側を見てみると滝が割れたように流れていてさっきと同じ水しぶきが跳ね返っていた。
つまりは両側にガラスの存在しない道だった。




