第129話 クエスチョン
「私は酷い目に会いたくないのじゃ。」
しばらく迷って渋々、桜は緑色の機械を作動させに行った。
☆☆☆
「お姉ちゃん、それじゃ押すね。」
桜はそう言って緑色の機械のところに走っていくと画面を押した。
『このゲームにおいてポーションとはとても重要なものである。』
「うんそうだね。かいふくってどうせはだいたいぽーしょんなんでしょ?」
「お姉ちゃん、うん。ぽーしょんいがいにもかいふくできるのはあるけどね。」
あれ?桜から返事が返ってきた。まさか桜は僕の心を…
「あとお姉ちゃん口に出てたよ。」
『ポーションの種類を10種類答えなさい。』
あれ…まあいいや?、で問題はポーションの種類だっけ。
回復ポーションってそんなにないんじゃないの?
「さくら」
僕はさくらに問いかける。
「なあに?」
「このもんだい、たまちゃんにもぼくにもふりなもんだいだよね。」
だってぼくはポーションなんて2種類くらいしか知らないから。
「適当に言ってれば当たるよ。」
何その回答、適当ってダメじゃないの?
そう思いながらも、ぼくは適当にポーションらしいものを挙げていく。
「ひょうけつ」
「氷結ポーションね。うん。さっきのトラップであったね。」
まずは氷結ポーション。さっきのトラップだ。対象を凍らせる効果があると思う。
「かやく」
「かやくはニトログリセリンだね。ポーションに入るからあってるよ」
いや、ニトログリセリンって爆薬の方じゃない?そんな危ないポーションあるの?
僕は首を傾げる。
「お姉ちゃん、ガンパウダー種の敵から素材が落ちて作れる。」
ガンパウダーってそのまま直訳すると火薬だよね。トラップとかに使われてそうな気がする。
僕は考えていた。
「3個目答えてよ。」
あ、答えなきゃいけないんだっけ。うーん。
「みず」
「水のポーションだね!制作する上で基礎のアイテムだよ。」
どうやら水は基礎らしい。ポーションって液状だもんね。
「みずからつくるんだ。」
「あ、でも簡易なのはスライムの粘液からでも作れるよ。」
スライムの粘液…?
そんなんでいいの?ってことは僕もポーション作れる可能性があるってこと?
「あれ?いまなんこめだっけ。」
「氷結、火薬、水、で3種類目だね。」
あと7回も答えなきゃいけないのかー。
氷結ポーションがあるなら氷溶かすためのポーションもあるのでは?と思った。
「こおりとかすぽーしょんってある?」
「4種類目、解凍ポーションのことだね。あるよ。」
やっぱあるんだ。あれ?本当に適当言っておけば当たるんじゃないかな?
あの凍結ポーション、解凍なくてとかせなかったら永遠に凍ったままなのかな?それともリスポーン?
あれ?ってことは桜が躱してくれなければ結構僕は危なかった…?
「しょうゆ?」
「5種類目、醤油ね、料理用のポーションだよ。」
醤油ですらポーションに認められるの!?ないと思ったのに!
「ないとおもってた。」
「私も醤油がポーションだと知った時は凄く吃驚した。」
桜ですらびっくりしたらしい、僕もびっくりだよ。
あともう思い付かなくなってきた。
「うーん…」
思い付かない。しばらく悩んでいる。
悩んでいると桜がヒントをくれた。
桜は僕の耳を撫でながら目を合わせて呟いた。
「お姉ちゃんにヒント、私はできない、たまちゃんやお姉ちゃんはできること。」
うーん?桜にはできなくて僕にはできること?
たまちゃんもできる?
「なんじゃ?私にもできてあるじにも出来ることなのじゃ?」
「うん。お姉ちゃんは私の目の前でやったから、あとはたまちゃんは推測だけどできそう。」
「うーん…?」
「うーん…種族の違い?なのじゃ?」
種族の違い…?、たまちゃんも出来て僕にも出来る?妖術?ならできなくもないけれども…
「うん。種族固有のものだよ。たまちゃんが得意なのは?」
桜から返答が帰ってきた。種族固有って…妖怪ができることをさしてるのかな?
「私が得意なことなのじゃ?うーん。化けて驚かすことなのじゃ!」
たまちゃん化けたところ1度も見たことないけども…
そしてたしかに僕は桜の前で卯月と化けたね。
「…?じゅうか?」
「6種類目、お姉ちゃん、獣化ポーションもあるよ。アバター強制獣種化ポーション。」
あれ?あるなら僕のこれ誤魔化せるんじゃない?
そしてなんでもありなんだね。
「獣化ポーション…?そんなものもあるのじゃ?」
「お姉ちゃん誤魔化せると思ったんじゃない?」
思ったよ。誤魔化せたらいいなって何度思ったことか。
「ポーションは時間制だから無理、装飾なら誤魔化せなくはないけども…?」
装飾…ポーションは時間があるんだ。意外とシビアなんだね。
どこのゲームでも時間ってものはあるのかな?
「ということで続けるよ。」
何も無いように桜は切り替えた。意外と機敏なんだ。
うーん…氷結ポーションがあるなら火傷ポーションもあるんじゃないかな?
じゃないと状態異常的には釣り合わないだろうし…
「やけど」
「7種類目、火傷ポーションね、状態異常言っていけばこの問題クリア出来るんだけどね。」
火傷ポーションあるんだ。ってことは何時か火を見ることもあるってことなのかな?
この体は熱には過敏だから気を付けなければ。
「ぼくはおもいつかないや、あとはたまちゃんこたえてよ。」
ぼくはたまちゃんにこのクイズ丸投げした。
さくらに任せればすぐに終わるんだろうけれども今の桜は面白がって全く答えてくれなさそうだから
「あるじ?なんなのじゃ。私はにはわからないのじゃ。」
「たまもさん、適当にあげていけば当たるよ。」
桜もそう言っている。でも本当に適当にあげていけば当たりそうな気がしなくはない。
「うぐぐぐぐ…」
たまちゃんが唸っている。なんか考えてるのかな?
しばらくして思い付いた様にいった。
「うーん…浮遊ポーション?…ってあるのじゃ?」
浮遊…忘れてたよ、僕がやったのに僕のスキルなのに忘れるって結構ダメだと思う。
「お姉ちゃんがやってたね。あれは正規の方法じゃないよ。8種類目、浮遊ポーション。効果はLv.1で1分浮遊することが出来る。」
あれ?意外に効果時間長い気がする。結構重宝されてるのかな?
「でも貴重だから、お姉ちゃん、あれ知られたら群がられるよ。」
うわあ、人前では使わないようにしないと。群がられたくない。
そもそも僕はあまり人に会いたくないから。影のようにいたいな。
あれ?影のように…?影ポーションあるんじゃない?
「さくら」
僕は再び桜に問いかけた。
「なあに?」
「かげぽーしょん…?あるの?」
なんでもあるんならこのポーションもきっとあると思う。
「お姉ちゃん、影のように気配を消して隠れる方のポーション?それとも影そのものになるポーション?」
あれ?両方ヒットしたみたいだった。
「どっちでも」
どっちでもいい、だってこれで揃ったんだもの。
「これで10種類目だね。」
桜が書き込んでいく。僕も見上げて桜を待っていると後ろから誰かに抱き上げられた。
後ろを見てみるとたまちゃんだった。
「あるじ、いっしょにいるのじゃ」
たまちゃんはそう言うとまた僕を肩車した。なんかここ定位置になっている気がする。
本来なら定位置にしちゃダメな場所なのに。
定位置っていうのもおかしい気がするけども、気にしちゃダメだよね。
しばらくして桜が書き終えたようだった。
『正解です。』という音声と共に緑色の機械は地面に消えていった。
向こう側からカシャンと何かが開くような音が聞こえた。




