第123話 玉藻ファーストバトル
青と薄青と…透明?なスライムで溢れかえっていた。どうやら湧き場所だったみたいだ。
☆☆☆
これどうするか。濃青スライムは属性的に考えると薄水色が氷だった辺り水ではないかと推測できる。
1番の問題は未知数である透明なスライムだ。
オブジェのように積み上がってる上にそもそも敵なのかわからない。
透明と言っても僕の装備の光を受けて輝いてるし
真ん中には核がふよふよと浮いている。あれはスライムの核だ。
周囲にいる濃青スライムや氷スライムの核と比べても何ら変わりのない。周囲の透明な立方体はガラスのように見える気がする。
あれはあれでなんか怖い。というか不気味な感じなのを覚える。
生命と言えるけど生命と言えないような気がして。
「お姉ちゃん、逃げるよ!」
桜が撤退を宣言した。なんか危ない敵がいたのかな。
一瞬、桜の指先から光が走った。上のたまちゃんと桜と僕を囲うように薄桃色の球体型の結界がはられていた。
上からさっきまで戦っていた、たまちゃんが落ちてきて僕を抱き抱えた。
傘に張り付いた氷スライムに受けた氷が溶けて水になっていく。
僕も同調して結界をはる。薄緑色の結界が内側に重なるようにはらさった。
桜は薄緑色の結界を見ると指をパチンと鳴らし薄桃色の結界を消した。
「お姉ちゃん、結界貼ってると動けなくなるからお姉ちゃんに任せるね。」
そんな状態になるの!?、僕は何事もなく動けてるんだけど。
そのまま抱えられて僕は曲がり道のところに戻された。
曲がり道の先には道が続いている。真っ黒で光がなくて異空間みたいでとても怖い。
スライム達は沸き場の範囲があるのか追ってこなかった。
桜が呟く。
「厄介だったのはグラススライム、攻撃耐久性の高いダンジョン用のガラスをドロップするスライム。」
グラススライム?グラスって日本語に訳せば確か硝子を意味した様な
上に行く曲がり道の先にある階段のようなガラスを落とすのだろうか。
あれのどこが危ないんだろう。むしろ善良的なスライムに見えるけど。
僕は首を傾げる頭にあった帽子が耳の方に傾いた気がする。
「攻撃はプレイヤーを5分硝子の檻に閉じ込める。油断してモンスターハウスされた人は数多くいる。」
前言撤回、単純だけど厄介なスライムだったのは理解した。
閉じ込められた場合5分だとはいえ置き去りにされる。
5分というアドバンテージは短いようで長い。
中の人は暇だろうけれども
このゲームは"時間は打ち込まなきゃ反応しない"のと"脱出したらモンスターに囲まれている。"
それはそれでとても厄介で嫌なスライムだった。
そもそもスライムじゃなくてグラスのような気がする。
それともあの透明な立方体、ねんどみたいになってるのかな。
それはそれで想像しがたいけれども。
「あるじ、このゲーム怖いのじゃ。」
妖怪にすら恐怖を抱かせるゲームとは一体。それにここ最序盤だし。
「さくら、あのこいあおいろのすらいむは?」
「お姉ちゃん、あれはアクアスライム。水属性のスライムだよ。」
やっぱり水属性に間違いはないようだった。
☆☆☆
「このダンジョンにいる以上、あのスライムは何処かで必ず出てくる。」
パリンパリンという何かが割れる音がずっと響いてるしおそらく近くにもスライムは湧いている。
「あるじ、次はどこに行くのじゃ?」
たまちゃんが問いかけてきた、とりあえず幼児のような抱き方してないでおろしてほしい。
「つぎは…まっすぐすすむしかないとおもう。」
上は階段だし下はスライム地獄だ。まっすぐ進む他に道なんてないと思う。
たまちゃんは僕を抱き抱えたまま、桜は先導案内するように先の道を進んでいく。
道は僕の明かりに照らされてしっかりと見えている。
今歩いている道の途中に敵が湧くこともないから気をつけなければいけない。
あの1層のペンギンのように。
あの塔の通り塞ぎのペンギンみたいに。って僕ペンギンにしか会ってない。
しばらくして桜がまた止まった。どうしたんだろう。
「お姉ちゃん、また分かれ道。」
どうやら再び分かれ道に遭遇したようだ。今度も上と下だ。
「たまちゃん、おろして。」
「えー、もっとあるじをだいていたかったのじゃ」と言いながらもしょうがなさそうに下ろしてくれた
僕も桜が立ち止まっている場所に行き曲がり角を見てみる。
どっちも白い壁しか見えない。そもそもどっちに行ってもまともな結末は得られなさそうな気がする。
右の壁の裏側に透明な立方体と宙に浮く球体を捉えた。よく見なくてもそれは危険と桜に評されたグラススライムだった。
「たまちゃん、切り刻んで!」
僕がグラススライムを見た途端、反射的に後ろにいた、たまちゃんに指示を出す。
「あるじ、わかったのじゃ。」
たまちゃんはその場に飛び出すとグラススライムを誘導するためにこっちに戻ってきた。
どうやら2体いたようで。もう1体もたまちゃんに襲いかかろうとしている。
たまちゃんはそのまま誘導して透明な正方形のあいだに刀を突き刺しスライドするように上に切り上げた。
「お姉ちゃん、玉藻さんって以外に天才かもしれない。初心者でもスライム相手にこうはいかないよ。」
桜がそう呟く。じゃあ僕の雷拳はどうだったんだと突っ込みたくなる。
そもそもこれがたまちゃんの対敵としては初戦闘で優位に立ち回っている。
☆☆☆
しばらくしてたまちゃんは戻ってきた。スライムは既にいなかった。
僕の目の前に50cmくらいの4個の透明な立方体と2個のスライムの核を置いて。
「あるじ、うけとるのじゃ。」と呟いた。
僕は受け取れないし多分使う機会なんてそうそうないだろう。
防具にも使えなさそうだし。そもそも生産のスキルを入手してないのだから。
それとも生産って誰でも出来るのかな。
「いいよ、たまちゃんがたおしたんだし、そのあいてむはたまちゃんのだよ。」
「あるじ。わかったのじゃ。」
たまちゃんはアイテムを仕舞うと再び僕を抱きあげるとなでなでわしゃわしゃと頭を撫で始めた。
僕は桜の方を見る。桜はなんか微妙な顔をしていた。
しばらくしてなでなでわしゃわしゃの猛攻がおさまったあと桜は再び聞いてきた。
「お姉ちゃん、どっち行く?」
どっちも壁であって先なんて見えない。
しばらく苦悩したあと僕は下の通路を指さした。まだ行ってない下が正解だと思ったから。
上はグラススライムが見えた方だ、だから別の方の方が安全だと思った。
「お姉ちゃん、下に行くよ。」
しばらく歩く。照らされている場所以外は真っ暗闇で漆黒に塗り潰されていた。
怖い。僕は何時から暗がりに恐怖を覚えるようになったのだろう。
ただ暗いだけのはずなのに、ずっと見てると引きずり込まれそうになるんだ。
僕はたまちゃんの服に顔を埋める。
「あるじ、どうしたのじゃ?」
たまちゃんが不思議に思ったのか僕に問いかけてくる。
「こわい。」
「そうか、私や桜が一緒にいるから大丈夫なのじゃ」
「うん。」
たまちゃんは僕の小さくなった背中をさすってくれた。
何よりも感覚と温かさが現実を証明してくれて安心感を得られた。
「お姉ちゃん、1回休む?」
「ちょっとやすませて。」
このままじゃ僕は恐怖心でVR出来ないかもしれない。それはそれでとても嫌だ。
「わかった。」
桜の進む足音が止まった。どこかわからないけど休むことにしたらしい。
グラススライム
対象を超強固なガラスの檻に5分間閉じ込める。
ドロップは対象色の強固な硝子とスライムの核。
無理矢理壊せばガラスが刺さって
ダメージ(致命傷、リスポーン)を負う。
待っていればそれはそれでモンスターハウスになる。
スライムと思えないくらいには害悪な湧き。
この水の洞窟でペンギン以上に厄介になる。
単体〜3体なら問題ないが積み重なっている場合、撤退を推奨




