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世界  作者:
-2nd- / カエデの邂逅
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第121話 チェイス

桜はもう飛び移ったようで僕達に手を振っている。そういえばこうなってしまったなら

敵とかどうなっているんだろう。全く湧いていないけども。




☆☆☆




全く湧いてこない訳では無い。よく見たら浮いているのもある。

氷スライムとか浮いている。

足場にできそうな気がする反面、沈んでしまいそうだ。

なんか怖く感じる。

「お姉ちゃん、こっちだよー」

桜の声が聞こえたので桜の方を向いてみる。

さくらが僕に向かって手を振っている。確かにそっちかもしれない

マップ見れば一発だけど僕は魔眼機能は使いたくない。

ゲームによっては卑怯じゃないかもしれないけど

短い残橋の上を僕は走って向こうの足場に飛び移った。

足り幅跳びの容量でやると結構やりやすい。

さっきよりもやりやすくなったけど落ちそうで少し怖さが増した。

「あるじ、わっちもそっちにいくのじゃ。」

「こないで」

「なんでじゃ?」

「おちそうだから。」

たまちゃんが来たらきっと僕は水の中に落ちると思う。

いや落ちたって泳げるけれども。


タトン、トン、トンと幅跳びをしながら僕も桜を追っていく。

しばらくすると桜が立ち止まった。

僕も立ち止まった。後ろから抱きかかえられたような気がした。

後ろを見てみる。

「なんじゃ?あるじよ。」

たまちゃんだった。追い付くの早いなあ。僕より早く渡れるんじゃないだろうか。

そんなことを考えていると桜から声をかけられた。

「お姉ちゃん、どっちの道に行く?左か上か。」

桜は下を見ている。と言うよりも水の中を見ているように見える。

水の中に何かあるのかな?なんかあったらあったで怖いんだけど。


僕はとりあえず水の中を覗くためにたまちゃんにおろしてもらう

「たまちゃん、おろして」

「はいな、あるじ」

たまちゃんは僕を残橋の足場の上に下ろした。

僕はしゃがんで水の中を見てみる。

水の中は案外綺麗で割と鮮明に中の景色が見えた。

砕けた橋の名残と氷スライムとペンギンが。

散らばったポーション瓶のようなものも見える。

ポーション瓶の数が多い、そのまま言ってたと思うとゾッとする。

何故か向こう側は橋も砕けておらず綺麗に残っていた。

なんかあっちの柱の木材の質が新しいような気がする。

湧いてこないと思ったら水の中にいたんだ。


桜の居る位置を見てみると確かに左か上かで別れている。

さっき直線に行ったからあえて曲がってみるのも手だと思う。道は続いていたし。

「さくら、ひだりに。」

「お姉ちゃん、わかったー。」

桜は左に飛んで小さい足場に上手く着地した。




☆☆☆




タン、タン、タン、

僕も桜に足場を幅跳びして少しずつ近付く。時々落ちそうになるのが怖い。

桜がさっき立ち止まった足場に付いた。結構大きくてマークにはなると思う。

「お姉ちゃんもアスレチック上手になったねー。けどこれ初級だよ。」

さくらがのんびりしたような口調で問いかけてきた。

確かに隣にある水の塔に比べれば初級といえるかもしれない。

水の塔は上下で攻めてきたし。そもそも離れすぎて飛べそうにない場所もあった。

「わかってるよ。がんばるよ、つよくなるために」

とりあえず、意思表示だけはしておいた。色々とこの難しい世界である。

頑張らなければ生きていけない、強くなれない。

強くなる必要があるのかはわからないけれども。誰かの役には立ちたい。

「そっか、お姉ちゃん、頑張ってね。」

物凄く心強い応援をもらった気がするよ。


「あるじ。」

「なあに?たまちゃん。」

何時の間にか追い付いていた、たまちゃんが後ろから話しかけてきた。

たまちゃんも慣れてきたのかな?妖怪の身体能力は比べちゃいけない。

桜のこの世界での身体能力も異常な気がするけども

「あるじはわたしがまもるのじゃ。つよくならなくていいのじゃ。」

「たまちゃん、ぼくもうつよいかもしれないけども」

「わかっておるのじゃ」

たまちゃんは僕を帽子の上から撫でる。なんか撫でられるのは気持ちがいい。

たまちゃんが撫でるの上手だからかな?

なんか僕って幼児化に伴って子供っぽくなってるような気がする。

否定したいけど桜やたまちゃんに世話されてる以上否定出来ない。

こんな僕を桜はどう思っているのかな。

「お姉ちゃん、はやくいくよー」

桜も結構子供っぽい気がするけど、気のせいだよね?

桜はそう言うと道の先に行ってしまった。

ちゃんと道にはなっているような気がしなくもない。


再び幅跳びを使って残橋を渡る。なんか疲れてきた。足の痛みを感じる。

具体的には足首あたりに痛みを感じる。オプション弄って痛覚半減にしているはずなのに

疲労には効果がないのかな。効果があるようにしてほしい。

「はぁ…」

ため息が出てしまう。

ため息が出ると幸福が逃げるらしい。僕はもうこんな姿にされたし結構逃げられている。

その場に座り込む。足に冷たい感触を感じた。水に接触しているようだった。

「あるじ、だいじょうぶなのじゃ?」

たまちゃんが心配して声をかけてきてくれた。心配してくれるのは嬉しい。けども疲れただけだよ。

「つかれた。」

「あるじはちいちゃいからむりしちゃだめなのじゃ。」

小さいのは自覚している。嫌でも自分の体が目に入るから

小さいから無理はダメって間違ってるような気もするし間違ってないような気もする。

たまちゃんは再び僕の頭を撫でる。

「お姉ちゃん。大丈夫?、だっこする?」

声のした方向を見ると桜が心配そうな顔で見ていた。




☆☆☆




しばらくしてさくらは足場を軽々と渡ってこっちに戻ってきた。

「お姉ちゃんって体力も落ちたよね。」

自分でもわかってる、以前よりも物凄く体力が落ちたことなんて

急に眠くなるし僕はまだ、この体に慣れていない。

早く慣れなきゃいけないと何度も思っているけども全く慣れないし

何時襲ってくるかわからない睡魔の恐怖に怯えている。

桜から見ても体力落ちてたのかな。急に寝ちゃったりしてごめんね。

「だっこははずかしい。」

僕はさくらの提案を否定する。なんか負けた気になりそうだった。

「お姉ちゃん、アルティマさんに肩車してもらったし集落まで私が送って行ったし今更だと思うんだ。それにここには玉藻さんとお姉ちゃんと私以外誰もいないよ?」

本当に誰もいない、というか入ってこれないんじゃなかったっけ。

そもそも洞窟外部でパーティして入った時はこうなるのだろうけども

洞窟内部で単独で入ってパーティした場合どうなるのだろうか。

そういえば今更だ。僕ってこんな恥ずかしいことしてたんだ。

急に顔が赤くなるのを感じた。

もう負けていた。幼児の衝動に既に僕は負けていた。

両手で顔を隠して蹲る。

「お姉ちゃん、大丈夫だよ、みんな癒されてるから。」

癒されてるってなんだよ。癒されていても僕が恥ずかしいと思えば凄く恥ずかしい。

慣れてないしこんな体でも中身は男子の上に桜よりも長く生きている年齢なのだから。

妹に甘えたくはないけど甘える他ならない。

「あるじ、わたしのしっぽのなかはいるかえ?」

たまちゃんの尻尾の中に入ったらそれはそれで眠っちゃいそうな気がする。

もはや睡眠薬ともいえるかもしれない。

人はもふもふに抗えない。人はお布団に抗えない。

僕はたまちゃんの金色に輝く綺麗な毛並みの中に入っていった。

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