第117話 ロード
「お姉ちゃん、たまちゃんもきっとお姉ちゃんと同類だよ。」
桜が呟く。僕も流石にトラップ受け止めるとは思ってなかった。
☆☆☆
「なんじゃこれは?」
たまちゃんは手に持ったポーションの瓶を持って呟く。
中には僕の髪の色みたいな薄水色の液体が入っている。
氷結のポーションだ。
そもそもポーションってなんなんだろう。
聞いたことはあるけど僕も用途は回復薬程度しか知らないし
本来の意味がわからない。
「たまもさん、それは氷結ポーションだよ?」
「氷結ポーション?」
「対象に当たらせるまたは投げることで対象を凍らせることが出来る。」
桜の説明が物騒だと思うけど事実そうなのだから仕方がない。
さっき降ってきたのを避けたのにも納得が行くし。
「なんと、そんな危険なものなのか。」
たまちゃんは水色の液体の入った瓶を右手に持つと下の水の中に投げた。
「ねえ、さくら。」
僕はその行動を見て疑問に思った。
「なあに?お姉ちゃん。」
「たまちゃんがなげたぽーしょんはみずをこおらせるの?」
僕が思ったことといえばそれである。対象を凍らせることが出来るなら
水も物質に含まれる。対象だ。
あの方向に投げて便が割れた場合。水は凍るのかと思ったんだ。
「お姉ちゃん、中身少ないから多分凍らない。」
どうやら凍らないらしい。
「あのびんのなかみがおおかったばあいは?」
「凍る。」
ってことは壁とかに投げても壁も凍るってことだよね。
さっき岩が一瞬凍って氷解したように。
この世界って不思議だなー。
「はやくいくのじゃ」
たまちゃんが声をかけてきた。そういえばそうだね!
「お姉ちゃん、行くよー!」
桜は僕を抱き上げながら危なっかしく橋の上を走った。
危なくて怖かった。
きゅいきゅい、ぱたぱた
何処かでそんな声がする。そんな鳴き方する敵なんて該当するのは1種類。
僕はまだ始めたばかりでそんなに敵を見ていないし
まだ水の島含めて2島だけだから、すぐにわかったけれども
まっすぐ行ってたら行き止まりにぶち当たった。戻って違う道を探そうとする。
すると目に飛び込んできた。
小さなスライムが飛んでいる。水色のスライムだった。
「氷スライム。」
桜が呟いた。僕は首を傾げる。氷スライム?聞いたこともないし
スライム液体だから凍るんじゃないの?
この世界のスライムは正方形で固定されているの?
「お姉ちゃん、氷スライムだよ、結構便利なもの落とすから動かないで待ってて」
桜は僕をその場に置くと剣を抜刀し飛び跳ねている30cmくらいの氷スライムに突き刺した。
なんかいきなり攻撃されるのは可哀想だ。敵だとしても
氷スライムはポリゴン状になって消えていくと橋の上に何かを落とした。
ポリゴンみたいな正方形の物質だった。
桜はこれを1回アイテムに閉まってもう一度出すと僕に問いかけてきた。
「お姉ちゃん、これがなんだからわかる?」
わからない。そもそも氷スライムなんて始めてみるし、そんな物質も水色の正方形にしか見えない。
僕は首を傾げた。だってわからないんだもん。
「お姉ちゃん。これは氷だよ。」
氷…?、氷にしては随分と綺麗に切り取られているような気がする。
そもそも氷っていうものはものを冷やすためにある水の個体化した物質だ。
スライムから落ちるのは不思議だった。
そもそも氷スライムなんてものがいるのが不思議だけれども。
「お姉ちゃん。たまもさん、戻るよ。」
行き止まりだもんね。最初のところに戻るかそれとも罠の場所に戻るかの2択
桜はどっちに行くんだろう、僕は期待しながら先の道を見据えた。
しばらくして桜が問いかけてきた。
「お姉ちゃん、右の道行く?左の道行く?」
下にずれているけれどちゃんと両方の道が存在した。
そもそもどっちも変わらず橋がボロボロでアスレチックステージみたいになっていた。
どっちにしろ敵は湧くしここはダンジョンだ。どっちを選んでもそんな変わりないんじゃないだろうか。
「お姉ちゃんが決めないなら私が決める。」
桜はたまちゃんに剣をあずけるとその場で回転した。
一応橋の上だし危ないと思っていたらさくらはすぐに止まった。
指さしている方向は右だった。
「お姉ちゃん。こっちに行くよ。」
桜は僕を抱えると岩のところまで走っていった。
2回目もポーションが降ってくる。桜が回避すると岩が一瞬凍った。
「お姉ちゃん、今のようにダンジョンはトラップの殆どが何回でも発動するから気をつけてね。」
本当に抜け目のない世界だよ。何回も発動って。
たまちゃんを待った。
しばらくするとたまちゃんも追い付いた。2回目もポーションを掴んで海に投げていた。
曲がってすぐの場所で曲がり角を発見した。
「めいきゅうみたいなだんじょんだよね」
「このゲームのダンジョン、だいたい迷宮だし罠凄く多いから。」
1回死ぬのは免れられないってことですね。わかります。
本当に滝崎くんにこのゲームはぴったりの難易度だと思うよ。
☆☆☆
「曲がり角なのじゃ。」
道が三方向に伸びている。曲がり角である。この中で正解の道はたったひとつだけなのだろう。
とりあえずまっすぐ行ってみる。僕はアスレチック出来ないのでさくらに抱えられたままだけども
「きゅいきゅい」
さっき鳴いていたペンギンはここのペンギンだったようだ。
ペンギンは口を開くと青い光を纏ってこっちに突進してきた。
桜は回避する。僕を抱きながら。
「さくら、つらかったらぼくをおいていってもいいよ。」
「攻略するための主要人物が何言ってるの!?それにお姉ちゃんは剣よりも軽いよ。」
それでもそれなりに重さはあるってことだよね。足でまといじゃないか。
僕は弱いしなんも出来ない。
強いてできることを言うならば技を真似るくらいだ。
それにここで超威力やったら橋が壊れる。今でさえ壊れそうなのに。とても危ないし揺れている。
「きゅいきゅい」
バシバシ、そんな音を立てながら小さなペンギンが桜の足を叩いている。
桜は痛くないのかな。僕だったらきっと瀕死の状態になるから危ないんだけれども。
桜は1回僕をおろすとペンギンを抱き寄せた。ペンギンは僕の半分くらいの大きさだった。
子ペンギンで僕の胸あたりまでって…
なんか自分の小ささを今になって実感したような気がする。
「お姉ちゃん、この子もふもふするよ。」
「私のもふもふよりそっちの方がいいと言うのか。」
たまちゃんのもふもふの方が僕はいいと思うんだけれども、それにその子は塔で抱いたから。
もふもふ度合は既に知っているんだよ。
というか桜もその子、塔の中で抱いてなかったっけ?抱いていたような気がする。
桜がペンギンを抱いて上に持ち上げる。
ペンギンの口からは水色の光が溢れ出ている。こういう時はだいたい冷凍ビームやってくる。
冷凍ビームは小さいのでもそこはかとない威力を持っている。
ここでやられたら足場が落ちる。
僕は桜の足を軽く叩く
桜は青い光に気付いたのかすぐに手放して海の中に突き落とした。
ペンギンは海の中に後ろ向きに落ちていく。
「お姉ちゃん、気付かせてくれてありがと。」
桜は僕の頭を撫でた。ペンギンには可哀想なことをしたけれど無傷なのは良かったと思うし。
きっとペンギンもすぐに蘇って出てくる。




