第111話 ログイン
再び目を開けると桜と共に桜の部屋にいた。卯月はいない。その代わりに金色の美女が桜のVR端子を弄りまくってた。
☆☆☆
「これはなんなのかな?、不思議な形をしておる。」
上から、下から、横からくるくる回しながらVR端子を見ている。
「たまちゃ…たまもさん。」
僕はそんなことをしている玉藻様に説明をする。
「たまちゃんでいいのよ?」
玉藻様は笑顔でそう言うと僕の頭を撫でながら再びVR端子を観察していた。
「たまちゃん、それはぶいあーるたんしだよ。さくらの」
「玉藻さんもなちゅの世界に入ってみますか?」
「なんと、私も言っていいのか!」
玉藻様は目をキラキラさせながら問いかけてきた。かわいい。
「ええ、いいですよ。」
桜は玉藻に黄緑色のVR端子を渡した。何時買ってきた。
櫟は青、僕のは白、桜のは桃。とひと目でわかる色になっている。
さらに黄緑が増えた。また別系統のわかりやすい色である。
「うわーい、やったー」
喜んでる喜んでる。美女でも子どもっぽく喜ぶと可愛らしくなるんだ。
「あ、それ腕に付けるんですよ?」
桜が直々に玉藻様にVR端子をつけてあげている。
とてもほんわかする雰囲気だ。
「そうなのか、ありがとなのじゃ。」
「どういたしましてです。」
僕は先に入っていようと思う。玉藻様が来るのだから
2島から移動しなければいけない。
「たまちゃん」
「なんじゃ?」
「ぼくはさきにいってるから、さーばーごばんのそうげんついたらうごかないでまってて」
「わかったのじゃ」
「お姉ちゃん先に行ってるんだ、あ、移動しなければいけないね。」
桜も思い出したようだった。そうだ、水の塔にいたはずだから。
僕はVR端子を起動させると目を瞑った。
再び白い空間にたっていた。いつも通りのリストが表示されている。
「キャラクター1『来睦』を使用しますか?、新しくキャラクター2を作りますか?」
キャラクター1『来睦』を爪の鋭くなった左指で押した。
いつものことである。もはや慣れた。
『おかえり、VRの世界へ、来睦様』
そんな言葉と共に考えている僕の視界は暗転した。
今頃たまちゃんはキャラクターメイクでもしてるんだろうなあ。
目を再び開く。足元には冷たい水の感覚がする。
後ろを見てみるとショートパンツから靡く青色の尻尾と
大きな水の流れている塔が僕の目に写った。
前回飛び降りたのは降りる位置を計算し折り返しを中断するためだったのか!
桜って頭いい。というか他のプレイヤーがやってるの真似た説もある。
ネットゲームというのは何が起こるかわからない。
桜来ないかなー。そんな感じで僕は座れるところを探す。
地面は全部水に覆われていて塔の反対側にあるモノリスみたいなものを見つけた
端にあったし桜でもきっとわかるだろう。
僕は萌え袖になった装備でモノリスに登ると足をブラブラさせて座りながら桜を待った。
☆☆☆
ふと思い出したことがある。たまちゃんって妖怪だよね?
ってことはケモ耳尻尾は健在と言えるべきなのか?
ならば草原で騒ぎにならないだろうか。僕はふと考える。
って言うか初めて僕がスポーンした場所集落じゃん。
集落に人がいなければいいが…
「お姉ちゃん、何考えてるの?」
桜の声がした。前を見る。VR世界版の桜と目が合った。
モノリスもどきに座っていても桜はちゃんと僕を見付けてくれたようだった。
「うーん。えっと。たまちゃんってけもみみあるよね」
「うん。そうだね、九尾の狐だもの。はっ…」
桜は納得したようだった。そもそも間違えて草原って言ってしまった挙句
たまちゃんがその場を動いていないとは限らない。
「でも大丈夫じゃないかな、このゲーム、人ならざるものいっぱいいるし」
「ひとならざるもの?」
プレイヤー以外ならモンスターも含めるとしてかず限りないけど
プレイヤーは現時点で僕とたまちゃんくらいだよね。
あとはよくわからない真っ黒で空洞な禁忌とかいう存在。
「うーん。ゲーム進めていけばわかるよ。いずれ会うよ。お姉ちゃんにはあって欲しくないけど。」
どうやら桜的には僕にあって欲しくない存在らしい。ならば会わないのが得策とも言えるのではないだろうか。
桜と僕は並ぶ。水の塔島の崖に並んだ。足元には絶えず水が流れ出している。
「お姉ちゃん、水の塔島から降りて草原に向かうよ。」
下を見ると初期島の草原が見えた。水が霧になって降り注いでいるのも見える。
水の塔島は初期島の真上に重なっている。だから飛び降りるだけで初期島に行けるという寸法だ。
「とびおりるの?」
「お姉ちゃん、飛び降りるよ!」
桜はそう言うと水の塔島の崖から飛び降りた。
あれ?でも落下ダメージ入るなら僕は飛び降りず浮いて行った方がいいのでは?
僕は浮遊魔法を発動させると桜のあとを追いその崖から飛び降りた。
ふわふわふわふわ、ぼくはゆっくりとおちていく。
アルパインとかいう名前の服の袖がはためいている。手に持った三角の旗もはためいている。
浮遊魔法でダメージが入らないか不安になるけども多分入らないだろう。
桜を引きとめればよかったかな。
まあ、下の草原で会うんだ。きっとなにかしていると思うよ。
『お姉ちゃん、早くおいでよ。あと落下ダメージ入って体力一気に3/4削れた。』
『ぼくはふゆうまほうつかってるよ』
『お姉ちゃん頭いい、降りてきたら撫で撫でしてあげる。』
ゆっくりと僕は降りていく。滝になって消えていく水の塔島の水は綺麗だと思った。
僕は手に触れてみる。手じゃなくて裾だけども、
綺麗でさらさらと水滴が流れていく。防水性能付きの服なのかな?
しばらく降りていると桜が見えてきた。草原にたって手を振っている。
桜の周りにはスライムがはねている。
「おねえちゃーん」
なんかうっすらとそう聞こえたような気がした。
僕はゆっくりと降りる、ふわふわふわふわ。そうしているうちに桜に抱き抱えられた。
「お姉ちゃん、頭いいねえ。」
なでなでなでなでわしゃわしゃ。桜が僕の頭を撫でる。
僕は大して頭はよくないと思うんだけどな。何方かと言えば櫟の方が…
☆☆☆
「お姉ちゃん、どうする?」
桜が首を傾げながら可愛らしく問いかけてきた。
「とりあえずしゅうらくまで」
桜はしゃがむ。
「お姉ちゃん、のって。」
えぇ、ここでおんぶされろと?まあ、乗ってやるか仕方がない。
なんか恥ずかしいけどもここでは誰もいないので乗ってやることにした。
僕は桜におんぶされた。
はっ、このおんぶはしゅうらくいき。きっと誰かいる。
うわあああああああああああああああ
なんか子供みたいだ。というか実質僕は子供でしかない。幼稚園児くらいの幼女なのだから。
「さくら、おもくない?」
「お姉ちゃんって私の持ってる剣よりも軽いんだね。」
武器よりも軽いって言われた!どういうことだよ。それ!
私の持ってる剣って桜の腰にかけてある鞘に刺さっているこの西洋みたいな剣のことかな
桜は草原を駆け抜ける。結構怖い。強風がこっちに来ている。
僕の水色の髪が風になびく、きっと旗もなびいている。
いつもスライムが湧いていた。スライムの沸き範囲広すぎじゃない?
僕はそう思った。きっとさくらもそう思っているはずだ。
それともプレイヤーによる慣れなのかな。




