第10話 月夜
満月か綺麗だなあ
体がなんか重い気がする。
僕は...一体...
「うーん...」
なんか月を見ていると狂わされるというか
血が滾るというか...
いつもよりも擽ったく感じる
「こんばんは、お姉ちゃん、もう夜だよ?」
星が綺麗だね、光がないとわからないくらいに
真っ暗な闇の夜には星が煌めいており
丸い月が堂々と浮かんでいる。
「よるだね。」
自分の手が毛に覆われていた。
「お姉ちゃんは自分の姿がわからないんだね。ぬいぐるみみたいで可愛いよ」
確かにこの手はぬいぐるみっぽいけれども
「ぬっ...ぬいぐるみ!?」
ぬいぐるみと言われるには違和感を感じる。
「うん。抱いて寝たいなあ。」
兄としての理性が耐えきれない。
ぬいぐるみって言われたから姿は変わっているのだろう
鋭い爪を持った毛に覆われた手を見ながら
「ちょっとかがみでみてくるね!」
服と皮膚の間に毛の感触を感じた。
「見てきてー」
僕には皮膚に毛なんて生えてなかったはずだ
☆☆☆
「おう?楓兄ちゃん?なのか…?」
櫟が吃驚したような表情で話しかけてくる
「??」
体毛が生えただけで疑われるのは悲しいなあ
「これじゃ、どっちかっていえばけものじゃないか…?」
獣っぽいといえば獣っぽいね。
なんか暑いよ
僕は服を脱ぎたいけれど我慢しながら
「とりあえず、おかえり、くぬぎ。」と返した。
「お、おう、ただいま。」
櫟は動揺しながらも挨拶を返してくれた。
洗面台に行こう。
☆☆☆
「なにこれ...」
洗面台に着いて鏡を見た僕は驚愕した。
昨日よりも獣っぽくなっている。
桜のぬいぐるみみたいという言葉も
櫟の混乱もわかる。
なんせ今の僕は
全身が青い体毛に覆われ
顔も獣っぽくなった
二足歩行する狐の様な姿だったのだから
あっちの分野でいえば
ケモロリのような姿だったのだから
どうしよう。
これじゃ解体されかねない。
☆☆☆
僕はまず考えた。
満月と言うのは妖怪の力を上昇させたり
人狼が狼になる月である
というのはゲームの設定でもよく見る。
つまり
僕は狼になってしまったのか?
狼は肉食だ
僕は人を食べるのか?
これからどうすればいいんだ。
「お姉ちゃん、かわいいよ」
不意打ちはやめて欲しい。
「かっ、かわいい!?、けっこうなやんでるんだよ」
結構じゃなくて本気で悩んでる。
「狼かあ、もふもふだね。」
僕はすごい暑いけどもね。
☆☆☆
「これからどうすればいいんだ...さくらやくぬぎをおそうかのうせいもなくはないし...じぶんがこわい...」
狼は人を襲わないとは限らない。
「お姉ちゃん...?」




