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世界  作者:
-2nd- / カエデの邂逅
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第108話 対談

涼しい風にゆられながらもなんとか商店街にたどり着いた。

目の前に広がるのはテレビでしか見たことのないような

桜並木道と、幻想的な風景だった。

幻術でやっているとはいえここまで綺麗にするのはすごいと思う。

もはや変わり果てて別の場所に変化した商店街に

僕も櫟もそして桜も唖然するしかなかった。


「〜のじゃ。」

しばらくして卯月の会話を聴き逃して再起動を果たした。

「うづき、ききとれなかった、もっかいいってくれる?」

「かえではもふもふしているのじゃ」

僕がもふもふしている?卯月はなにを言っているのだろう

空には蜂蜜色に輝く綺麗な満月が…


はっ、僕は自分の手に目を向けてみる。

あの時の夜のようにふさふさした青い毛並みが僕の腕に生え揃っていた。


「かえでも獣に近付いてきたのじゃ。妾もなのじゃ」

妖怪、神獣というものは満月を見ると獣になってくる習性でもあるのだろうか。

水着の中は毛で覆われていてもう1枚服を纏っているように感じる。

事実、毛皮という名前の服を纏っているのかも知れないけれども。


卯月は狐のような金色の毛並みに覆われていた。僕より綺麗だ。

狐妖怪らしく狐妖怪みたいな色だ。

「楓兄、その姿は!?」

櫟が珍しく狼狽している。僕も狼狽したい気分だよ。

でも狼狽したところでどうにもならない。

「櫟お兄ちゃん、お姉ちゃんは妖怪なんだよ?」

桜、僕は妖怪じゃなくて神獣だよ。って修正しようと思ったけどやっぱやめた。


「楓兄が妖怪?今更だな。分かってたさそんなこと」

最初の頃櫟は現実逃避しようとしてたもんね。

あの時、1番状況理解出来てたのは櫟だったんだと僕は思うよ。


しばらく歩く、そんなに変わり映えしないけども雰囲気は別世界のような商店街を

服屋とかデパート店とかには誰もいなかった。これじゃ盗まれるんじゃないの?

けども妖怪は幻術で食べ物とか出せるんならいらないよね。

そう思えてくる。

本来ならば緑色に生い茂っている木々も桜色に染まり。

お祭りをやるための準備として提灯はぶら下がったままになっている。

「そういえばお祭り何時だっけ。櫟お兄ちゃん。」

「8月2日だ。去年も行っただろ、あれ?去年か?」

毎年ここの商店街で真夏に開催されている大規模な祭りだ

僕が知る中でも代表的な祭りだと思う。去年は個別で行ったような気がする。

櫟も友達連れて行ってたからそこら辺曖昧なのかな?

今年は僕はこんな姿だしきっと目立つから行けないと思うけれども

「去年は多分行ってないよ。」

桜は行かなかったんだっけ。僕は坂城くんと瀧崎くんを連れていった。

と言うよりもあっちから誘ってきたような記憶がある。

「お姉ちゃん、今年も私と行く?」

「お祭りなのじゃ?妾も興味があるのじゃ!」

卯月は祭りに興味があるらしい。妖怪の世界ってどうなってるのかな。

京都みたいになってそうなイメージがあるのだけども。




☆☆☆




僕達は歩いていると急に壁にぶつかった。

壁じゃない、見上げてみると街中には存在するはずのない大きな塔だった。

「頭領のいる場所なのじゃ」

卯月に案内されてセンサー式自動ドアから中に入る。

どっちかといえば博物館みたいなドアだった。

ガラスが貼られていて自動で開くドア。子供たちがよく遊んでいるような

僕達も仕組みを探るために遊んだことがあるだからセンサー式と知っている。

靴を脱ぐ、ここからは裸足で歩かなければいけないようだった。

僕の履いてきた靴は桜が幼い頃に使っていたビーチサンダルだ。

そのためか靴下なんて履いてないしさっきの雪も結構冷たかった。

塔の中身は階段と畳だった。畳でできた階段だった。

なにこれ。本当にミスマッチな風景を覚える。

「お姉ちゃん、畳でできた階段なんて始めてみたよ?」

「どこかおかしいのじゃ?」

「ぼくもだよ、さくら。」

「俺もだ、なんだこれって思った。」

畳は部屋にあるのが普通で階段に使用するものではない。

おそらく妖怪さんはまだこの国の建物の法則をわかっていないのだろう。

そう思いながら卯月を追いかけて畳で出来た階段を上がろうとしたが登れなかった。

家の階段と同じくらい怖い現象が起きた。

「さくら、たすけて」

「お姉ちゃん…ああ、階段ね。」

桜は僕を抱き上げると階段を裸足でトントンと登って行った。


2階に着くと桜は僕を下ろした。

上の階は4つの部屋があるようだった。そのうち3つの部屋の襖は空いていない

この塔はなんなのかな、妖怪達の拠点なのかな?

「早く来るのじゃー」

卯月が曲がり角で手を振っている。僕は卯月の方に歩いていった。




☆☆☆




卯月は僕らが来たことを確認すると曲がり角の奥に歩いていってしまった。

僕もそれを追いかける。

この道は襖が多くて大体4部屋くらいあるのかな?

道なりから見て3番目の扉に卯月は襖を開けて入った。

僕も卯月の入った部屋に入る。襖は開けておく。

「ただいまなのじゃ」

「おかえりなのにゃ」

「ただいまなのにゃ」

「くちょうをまねしないのにゃ」

そこに居たのは何時か見た青色の狐っ子、水無月だった。

水無月も蜂蜜色の月の魔力を浴びたのかもふもふになっていた。

「失礼します。」

「ちょっと失礼。」

しばらくすると櫟と桜も入ってきた。襖は櫟が閉めた。

「なんでここによんだの?」

僕は卯月にここに案内された理由を問いかける。

「失礼します。水無月様、お茶を持ってまいりました。」

「ご苦労さまにゃ」

黒髪で卯月くらいの大きさのメイド服を着た狐っ子が麦茶を持ってきた。

ガラスのコップに入っている。何処で買ったんだろう。

もしくは商品見て見様見真似で作ったとかありえる。

「で?なんでここによんだの?」

僕は気を取り直して卯月にここに案内された理由を問いかける。

「頭領様にあって欲しいのじゃ。」

「とうりょうさまって、たまものまえ?だっけ。」

「そうなのじゃ」

「たまもさまなのにゃ」

どうやら卯月は僕達に玉藻の前にあってほしいらしい。

卯月は目をつぶると、何やら集中し始めた。

きっと頭領様という妖怪を念話で呼んでいるのかな?

上からドタドタと足音が聞こえる。何が起こってるのだろう。

しばらくして襖を開けた人物は卯月によく似た金色の毛並と髪色をした後ろで九つの尾を揺らす。凄まじい妖力を放っている妖怪だった。

綺麗な黒生地と桜色の浴衣を着ていてとても良くにあっている。片手には和傘だろうか折りたたんである。

その妖艶美人な金色の妖怪は僕を指さすなり

「神獣様、とても可愛らしいです。持ち帰ってもいいですか?」

と問いかけてきた。一瞬何を言われたのかわからなかった。

僕も、櫟も、桜もフリーズした。


なんで僕に様を付ける必要があるの?敬語で話す必要があるの?、僕は首を傾げる。

「かえでちゃんがフリーズしておるのじゃ。」

「もしかして神獣様、まだお目覚めになられてないのですか?」

頭領と呼ばれている妖怪、玉藻さんは首を傾げる。

僕に何かまだあることを示唆する表現?何を言っている…んだ…

お目覚めとは一体なんだろうか…手が震えている…なにかに怯えている。

「お姉ちゃん、大丈夫だよ。」

さくらが何かを察したのか僕を膝の上に抱き上げて撫でてくる。

「かえでちゃんが怖がってるのじゃ、頭領様、やめてあげるのじゃ」

「ごめんなさいです、私のことはたまちゃんでいいですよ。これからよろしくおねがいします。主様。」

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