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世界  作者:
-2nd- / カエデの邂逅
108/175

第107話 決着

妖怪って単純に力強いイメージがあるから武器なくても戦えそうなイメージがある。

それって僕だけなのかな?僕も卯月みたいに戦えるかな?腰の刀を見ながらそう思った。




☆☆☆




名前なんだっけ。あぁ酉時だ。目の前に倒れている敵は狸の妖怪だった。

それでも幻術は解除されなかった。なんでだろうか。

酉時だけなら倒れた時にフィールド幻術は解除されるはず。

僕は頭を傾げる。もう1人倒すべき妖怪がいるのか。

それともイヌガミとかいう妖怪が直々に幻術をかけているのかな?

後者だった場合完全に詰みだ。卯月も妖怪センサーできるなら

同種と見られる僕もできなくはないのではないか。

僕は目を瞑って周りの気配を、妖力を探る。

しばらくして、電柱の上になんか大きな気配を感じた。

上を見、電柱を指さしそこにいるなにかに向かって僕は言った、言ってやったんだ!

「そこにだれかいるな!」と

「え?」

「妾には感じ取れなかったのじゃ。」

卯月が吃驚している、桜は僕が指さした電柱の上を見ている。

空間の景色が揺らぐ、星空が揺らぐ。空間が弾ける。

「バレちゃったんだワン。」

電柱の上に座っていたのは犬耳をした少女だった。

「お主、隠神刑部陣営の者なのじゃ?」

卯月が電柱の上にいる犬耳少女に上を見あげ問いかけた。

犬耳少女は指を鳴らす。犬耳少女の体が幻術を解除するようにはじけた。

そこに立っていたのは黄緑色の狸耳狸尻尾を持った少女だった。

狸…?、イヌガミの陣営の妖怪かな?

少女は電柱の上から気絶した酉時の辺りに降りてきた。

僕達は警戒し電柱の上から降りてきた少女から距離をとる。

以外にも少女が最初にしたことは自己紹介だった。

「私は戌時、隠神刑部頭領の僕、干衆に1人だワン、私を見破った月衆の妖怪の子、私と勝負するんだワン!」

礼儀正しいけど敵なのが惜しい妖怪だった。名前が犬なのかワン語尾。

その妖怪は僕に勝負を挑んできた。どうするか。




☆☆☆




「どうする?うづき。」

「お姉ちゃん、私には聞かないの!?」

桜が会話にログインしました。

「どうするも何もご指名だし戦えばいいのじゃ」

卯月に2回戦わせるのもなんか申し訳ない気分になるし。

僕が戦うことにしよう。


僕は日本刀のような刀を抜刀すると犬耳の少女に構えた。

先程集中したせいか僕の変身は解けていて夜風に水色の髪の毛がなびいている。

「わたしはみなづきにゃ。かかってくるのにゃ。」

相手に名前を教えないのは基礎である。桜は吃驚している。櫟も吃驚している。

「なんで水無月と名乗ったのじゃ?」

「だってなまえばれるとめんどうなんだにゃ。」

「いや、何度も争ってるから互いに情報知っておるのじゃ」

どうやら何年も続く戦争のせいで互いに互いの情報を覚えてしまっているらしい。

つまり両方共に人数や能力は把握しているってことだよね。

「水無月といえば月衆の1人なんだワン、いざ勝負だワン。」

戌時と名乗った少女は僕に向かって地面をけると長い爪で襲いかかってきた。

そういえばそうだ水無月は旧暦の6月を意味する名前だ。

僕は刀を横にして爪を受け止める。

「うづき、はなしはあとにするにゃ。」

「わかったのじゃ」

僕は刀を振るおうとしたが相手の力が強すぎて振れない。

なので構えたまま後ろに下がった。

あの両手の長爪は厄介である。刃物みたいに鋭くなっていて危ない。

そういえば妖怪は殺してもいいが傷付けるのはいいのかな?

としたら僕は傷付けられる可能性がある。


VRの技できるかな?ふと頭に思い浮かんだのはあのペンギンの冷凍ビームである。

できるとしたら私はかなり有利だと思うんだ。




☆☆☆




僕は戌時から離れると意識する。手の中に冷気を集めるように。

その間逃げ回らなければいけない。

相手は地面をえぐりながら刃物のような爪持って追いかけてくる。

何このホラー、怖いんだけど。

そんなことはお構い無しに僕に向かって爪を振り下ろしてくる。

私は刀を構えると爪を受け止める。火花が散った。

「なかなかやるんだワン。」

「こわいなあ。」

相手の少女は爪を受け止められたまま会話をふっかけてきた。

「よく見ると水無月じゃないワン、髪の色も薄いしオッドアイだし色々違うワン。」

至近距離で顔を観察して相手は僕が水無月じゃないということを見破った。

「本当の名前を名乗るワン。」

見破られている以上、偽名を名乗るのも出来ない。いや教えなければいいのかな?

「いやだ」

「それは残念だワン。」

そう言うと相手の妖怪少女は後ろに下がり距離をとった。僕も距離をとる。

「必殺技で仕留めてあげるワン。」

必殺技?、妖怪世界でも殺生はダメなんじゃなかったっけ。この子本気だよね。

本気の目してるもん。相手を仕留めんばかりの目をしてるもん。

何する気?凄く嫌な予感しかしないんだけども。卯月助けて。




☆☆☆




戌時はその場で爪を広げて回り始めた。同時に周りに風が起き始める。

田んぼの水が舞っていく、妖怪の力だからなせる技なのかな。

とてつもない強風が吹き荒れた。僕は地面に刀をさして強風に耐える。

卯月は桜を構いながらも必死に強風に耐えている。

しばらくすると地面がえぐれてきた。

私は戌時を黙らせるために意識を集中させる。

刀の持ち手でいい。冷気を集めるように集中させる。

水色の光が集まってきた。

強風は未だに吹き荒れていて僕の着ている水着や肌を切り裂いていく。

カマイタチ現象かこれ危ないような気がする。

僕は水色の光を手に取ると回っている戌時の方に向けた。

周りを夏とは思えない冷気が包み込む。

戌時の方に水色の光線を。一瞬目の前が水色に染まると風は収まっていた。

目の前を見る。戌時が爪を広げたまま凍り付いていた。

自分の体を見る、水着だけ切り裂かれていて体に傷は見えなかった。

「何やったのじゃ?」

「げーむにおけるぺんぎんのれいとうびーむできるかなって」

「お姉ちゃんって本当にチートだよね。」

桜それはどういう意味かな。チートって不正って意味なんだよ?

お兄ちゃんは悲しいよ。妹に存在を不正って言われて。

僕は泣くふりをする。卯月が頭を撫でてきた。

なんか暖かい。田んぼは凍り付いているし1面雪降っているのに。

そんな感じで見ていると弾けるように降った雪も凍った敵も消えてなくなって

酉時と戌時が田んぼの水の中に倒れているだけだった。

なんか可哀想に見えてきてしまった。

「幻術が解除されたのじゃ?」

どうやら詰みではないようでとても安心した。


「さて、次はどこに行くのじゃ?」

再び卯月は半透明になって櫟の隣で宙に浮く。僕はそのまま桜に肩車してもらった。

「ん?」

「目的地はとりあえず商店街かなー?」

確かに商店街行った方がいい。ニュースでやっていたし、ここからしばらく遠いけども

「にゅーすでやってたもんね」

「え?、なにをやってたの?」

「そっか、桜は上にいて見てないもんな、商店街着いてからってことで。」

その時桜は上にいたもんね。

とりあえず、商店街に行くべきだと思う。


田んぼの真ん中を自転車で走る。櫟が走らせる。

涼しい風が吹いてくる。夜だから昼ほど暑くはなくこれくらいが丁度いい。

しばらく田んぼを眺めていた。代わり映えしないながらも綺麗だった。

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