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世界  作者:
-2nd- / カエデの邂逅
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第106話 戦闘

どうやらたぬきの妖怪なのかもしれない。敵勢力なのかもしれない。

それにしてもなぜ変身してるのに神獣だってわかったの?




☆☆☆




「隠神勢力の妖怪め、覚悟するのじゃ!」

「そちらの、玉藻勢力の…妖怪さんなの。私は玉藻勢力は幻術に閉じ込めておけと言われてるの。」

どうやら頭領に幻術に閉じ込めておけと言われたらしい。

確かに完封できるし傷付く心配もない。頭のいい戦略だ。

『幻術というものは相手を気絶させることで解除することが出来るのじゃ。』

気絶で解除できるんだ。意外、というかあっさりしているなあ。

まあ、効果が強力な分簡単?に解除できるものなんだろう。

その方が後でとりかえしのない事態を招くのは少ないだろうし。

「そこの、貴方なの。可愛いの。」

「私のことですか?」

さっきまで黙っていた桜が反応を返した。桜は可愛い、妖怪も共通なんだね。

「そうなの、あなた人間なの。何故人間がいるの。」

狸の妖怪はさも人間がいるのが不思議な言い方をする。

確かにこんな擬似の夜に人は出歩いていない。言われてみれば不思議かもしれない。

「この子の妹ですから。」

桜は僕の頭を撫でながら狸の妖怪の問いに答えた。撫でると言うよりもケモ耳を触っている手がいやらしく感じる。

「そうなの。」

「そうだ、俺の可愛らしい妹たちだ。返してもらうぞ。」

櫟が帰ってきた。若干足元が泥で汚れてる気がする、あれだと靴の中濡れてるんじゃないだろうか。

それ以外は大体なんともなかったように見える。

そして僕は妹ではなく姉だと思うのだけれども。まあいいや、見た目はこんなんだし。

「道見えなくて1回田んぼに落ちかけた。」

せめてスマホは持って言った方が良かったんじゃないかと思う。

なんでライトもなしに夜道を走らせたのか気になる。

「貴方も人間なの。」

「ん?」

櫟は狸の妖怪の存在に気が付いたようだった。櫟の目付きが怖い。

「うわすっげえ、まじもんの妖怪かよ、卯月以外の妖怪だ、そっちの世界興味あるから今度連れて行ってくんね?」

櫟は妖怪に感心している。目がキラキラと輝いているように見える。

よくもまあ恐れずに感心できるねって思う。卯月の時も怖がってなかったなあ。

そして感心しているところ悪いけどその子敵なんだよ櫟。




☆☆☆




「せっしょうはいけないんだぞ。」

「で?どうするのじゃ?」

殺生はいけない。妖怪の世界でも人類の世界でも同等の規律である。

ならば気絶させるか睡眠薬盛るか程度しか方法がない。

睡眠薬は持っていないしそもそも目の前数メートルの狸妖怪が持っているとは限らない。

「壇公の三十六策、走ぐるは是れ上計なり」

「何言ってるの?」

狸の妖怪さんにはおそらく意味が伝わっていないのだろう。

僕も櫟が何を言ってるのかわからない。なんかの策なのだろうか。

櫟は再び自転車に乗り始める。

「桜も楓兄も自転車に乗れよ。」

?、逃げるの?、そう思いながら僕は再び桜に肩車してもらい自転車に乗る。

「逃げるが勝ちってな。」

この場合、逃げちゃいけないと思う。櫟考えてることがめちゃくちゃだよ。

櫟は自転車を走らせる。午時との距離が遠くなっていく。

「なんで逃げたのじゃ?」

「俺ら人類が妖怪に適うと思ってるか?楓兄や卯月なら勝てると思うけど俺らは勝てない。」

人間は妖怪に勝てない。櫟の理由は正論だった。

「まだわからないのじゃ。」

確かに卯月の言う通り戦ってみないと勝利を手にするのはわからない。

「とりあえず、俺は怪我はしたくない。楓兄の戦闘も避けたい。」

とてもありがたいことだと思うけど戦わなければ異変は解決出来ないし

それに卯月もいるから多分大丈夫だと思うんだ。

「妾がいるから大丈夫なのじゃ」

多分、卯月は月の衆では若い方だと推測を建ててみる。


狸の妖怪さんは卯月と同じく空中に浮いて追いかけてきた。

櫟は田んぼを何回か通って逃げ回ると意味の無い行動と判断したのか

自転車を止めた。

「しょうがない。勝負だ。そこの卯月がお前の相手になってやる!」

櫟は何時からこんなめちゃくちゃな性格になったんだろうか。

お兄ちゃんは櫟が多重人格でも持ってるか不安になってくるよ。

「お兄ちゃん、さすがにそれはどうかと思う。」

「俺が戦っても勝てないの目に見えてんじゃん。」

櫟はあれかな?戦って勝てないものには逃げるような戦法とってるのかな?

「お兄ちゃんVRでは見境なく戦闘買うのに。」

櫟はVRでは戦闘狂らしい。イメージがかけ離れすぎて頭が痛くなってくる。

「VRMMOは死んでもまた戻れるから別にいいっしょ、そんくらい。なちゅはデスゲームではない。」

なちゅはログインもログアウトもできるしちゃんとリスポーンもできるゲームだ

デスゲームなんて言うゲーム会社の都合で人の命を預かるゲームではない。

そもそもデスゲームだったら僕はなちゅやってないし桜も櫟もやってなかったと思う。




☆☆☆




「って妾が戦闘するのじゃ?」

卯月が櫟に問いかける。

「卯月、俺らを守ってくれ。」

櫟は何をやっているのか、卯月に向かって手を合わせている。

「…。」

卯月は黙って懐から小刀を取り出すと目の前にいる午時に目を向けた。

「私的にはそこの、神獣ちゃんとの、戦いがしたいの。」

「やだ。」

僕は午時との戦闘を断った。

ここはVRじゃないから負傷する。痛いの嫌だから僕は戦闘しない。

相手の午時も刀を取り出した。一般的に見る日本刀にありそうな綺麗な刀だ。

「いざ尋常に、始めッ!」

桜、その掛け声どこかで聞いたことある気がするんだけど気のせいだよね。

掛け声が上がった瞬間。

卯月と午時は互いに刃を交えていた。刃の間からは火花が散っている。

「まずは挨拶なのじゃ。」

「一撃目なの。」

一撃目は刀と刀を合わせる定理でもあるのだろうか。

卯月は後ろに宙返りして距離をとる。相手の午時はその場から動かない。

突然卯月が走り出した。

卯月の腰にはいつの間にか出現した刀の鞘がある。

もう一本の刀を卯月は引き、互いに牛時と卯月はすれ違った。

再び勢いよく卯月の刀は相手の刀に打ち付けられた。卯月の刀は後ろで当てているように見える。

火花が飛ぶ、刀を中心に田んぼの水が荒れる。

「やるじゃないの」

「そっちこそなのじゃ」

再び互いに離れると違いに走り出していき、刀を持ってすれ違った。

「安心せい、峰打ちなのじゃ。」

「私の負けなの」

午時の体が重心を失い前に倒れる。カチャンという刀を鞘に入れる音が聞こえた。

卯月は2本も刀の鞘を腰にさしていた。さっきまではなかったはずなのに。

もう一本の刀は透けるように透明な薄赤色の見た目をしていた。

なんか卯月格好いい。

卯月は刀を破裂させて消滅させるとこっちに戻ってきた。

「なんか時代劇みたいな戦闘だよね。」

「幻術使わない場合はこんな感じなのじゃ」

いや幻術使ってたよね。刀という武器を出す名目で幻術使ってたよね?

「俺の目によれば幻術使ってたような気がするのだが。」

櫟が僕の思ってたことを言ってくれた。

「武器を出すのは幻術に入らないのじゃ。」

妖怪って単純に力強いイメージがあるから武器なくても戦えそうなイメージがある。

それって僕だけなのかな?僕も卯月みたいに戦えるかな?腰の刀を見ながらそう思った。

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