詩「マリオネット人生」
目を開けた。
ついに、歩いていく。
「貴女は黄色が似合うわ」
「俺、この女優、好き」
「彼女、センス良いよね」
「あいつ、無いわ」
他人の口から伸びる糸で操られていく。
「これが良い」
「あれが良い」
「これが正解」
「こっちが正解」
いつの間にか、糸のせいで、地に足も着けずに
歩くフリになる。
足は空を切って、前に進んでいるのか、戻っているのか。
私には分からない。
そんな私を君はそれでいいと言う。
足が浮いてるから、両手を取って、
ぶーん、ぶーんと
回る。
くるくる、くるくる回る。
君を中心にして、くるくる回って、私に伸びる糸は絡まって何が何やら。
細い糸はプツプツと離れていく。
残った糸をみて、こんなことに、振り回されていたんだなと思う。
「でも、糸の先を君は好きだったんだよ」
「繋ぐ糸をきっと、君は自分で選んで付けたんだ」
「そして出来上がった君は、やっぱり君以外の何物でもないのさ」
彼の身にも私の口から伸びる糸が付いている。
「人はどうして、そうやって、生きていくのさ」
end