表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/12

人類の病気

テレスは、手錠で拘束され、

校庭まで兵士に歩かされた。


到着し目の前にいたのは、

クロスボウやコンパウンドボウなどを装備した5、6人の兵士と、スーツを着こなした男性だった。


「やあ、銀髪の少女、いや、テレス・ファーベル君。」


スーツの男がテレスにそう話しかける。


「貴方は?」


テレスは、疑問を浮かべた表情でそう尋ねる。


「私?私は単なる使者に過ぎない。正義の使者だ」


スーツの男がそう言うと、

テレスの後ろにいた兵士を手招きした。


後ろにいた兵士は、テレスの首根っこを掴むと、その顔を地面に押し付けた。


近づいてきたスーツの男は、こう言う。


「これを聞いてくれるかな?これは、我ら人類の息子の鼓動と息吹だ。」


男はテレスの耳へ無線と繋がるイヤホンを押し当てる。


そこから聞こえたのはピー、ピーと不規則に鳴る機械音。


「2進数……?」


テレスがそう呟く。


「はは、よく理解できたな。流石、銀髪の少女だ……そうだ、これは16進数のUnicodeを2進数にしたもの。」


「なんとも愛らしいとは思わんか?

なんとも美しいとはおもわんか?


これは人類の新しい進化の姿だ。」


男は演説口調でテレスに語りかける。


「なにを言っているの、全く理解できない」


そうテレスは言い返す。


「では"真実"を教えようか。銀髪の少女よ。」


「脳機能イメージング複製により、現代の人類の中で最も頭の良い博士や数々の専門家、賢者の脳、思考をこの無線の先にある"神体"へと転送した。」


「そう、巷に謂う技術的特異点(シンギュラリティ)だ。それが実現した。その2進数の羅列を音声信号にしたものがこの音声……」


「とうとう人類の記憶の持続性までがディジタル化された。この武器で我々は、この、虚構で塗り固められた世界を破壊する。偽の自由には責任という影が付きまとう。知性の解放という光こそ、影の存在しない真実の自由だ。」


「そんなことはどうでも良い!なぜ、なんの罪もない非武装の民間人を殺した!」


テレスは軽蔑したような口調でこういった。


「我々の聖戦に伴われたユースティティアの加護だよ。正義の下では、あらゆる罪が正当化される。我々の国、アメリカではよく言ったものだ。勝ったものが正義。」


「貴方は……狂っている」


テレスがそう、ボソッと呟く。


男は謂う。


「私からしたら世界が狂っているのだ」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ