表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/12

大佐

 「アロー……?カーネル、とある用事があって電話をかけました」

スマートフォンの向こうから、割れた声が聞こえる。おそらくボイスチェンジャーで話す誰かだろう。


 「ふん……その話し方、訛り、ピッチ……読んだぞ。おそらくソ連のСтановой(スタノヴォイ)を本拠地とし世界を股にかけるマフィア、規律ある狼、Волк в законе(ヴォルク)の団長……人種はテュルク系か?本名は……ア」


この初老、カーネルが割れた声の持ち主の名前を言おうと口にかけた瞬間、それをとざすように割れた声の持ち主が大声をあげる。


「やめてください!!盗聴されていたらどうするのですか。カーネル、なぜ声だけで組織の本拠地や俺の人種までわかったのですか……!?」


「ふん、君は私の諜報組織の力を甘く見ているようだな。聞くところそちらでは高級品か?だがな、諜報(ヒューミント)の世界ではそんな物ゴミも同然……。フフ。私もナメられたものだよ。規律(ザコーニェ)は有れど所詮は狼、野蛮だ。この会話がもしも世に広まったらどうする?君は我が国の国民全員を敵に回すことになる。それがどういうことか……考えてくれたまえよ」


「す、すみませんカーネル」


「まあ良い、団長直々に電話をかけてきたんだ。相当な用事だろう?要件を言え」


「はい。この間の我が部隊へのチェストワプログラムの導入、ありがとうございました。その時は私の部下に依頼させたので、貴方とは初めて話ますが、声だけで私がわかるとはやはり恐ろしいお方だ……。」


「本題に入ります。最近例のCP、チェストワプログラムが遂に実用化、という所で非常に大きな欠陥が発見されました。その"計画第四段階目の欠陥"による事故で我が部隊の57名が感電により死亡、272人が巻き添えにあい、火傷で負傷を負いました。主導して計画を行った技術者は我がヴォルクの部隊でも1、2を争う実力の持ち主であり、説明書通りに計画を行ったと証言しております。本当に謎なのです。なぜ、うまく行かなかったのか……その原因解明に、そちらの技術者をソ連に派遣して貰いたく、お電話をおかけさせていただきました」


「そうか……チェストワプログラムはまだ陸軍でも計画段階、原因不明の事故も我が国の軍ではよくあることだ。わかった、技術者を2名送る。」


「ありがとうございます!」


その部屋の格子の外からはいつも、

雷鳴と共に雨音が聞こえていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ