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はるの月物語_1



「よーーし。聞かせてもらおうか陽」


俺と蒼兄の部屋に入ると、ニヤニヤと口角を上げた蒼兄が部屋のドアを閉めて言った。さっきまでダイニングテーブルで突っ伏して寝ていたとは思えないくらいに生き生きした顔だ。俺もリビングで寝てたけど。


俺と蒼兄の部屋は二階の同じ部屋で、それぞれにベッドと机、タンスと本棚がある。泉は同じ二階の隣の部屋。


しょー先輩(翔季)は、蒼兄は俺のベッドに寝転がり、横向きに肘を立てて頭を支えながら聞く態勢に入っている。

俺はしょー先輩にベッドを取られ、代わりに蒼兄のベッドに腰かける。蒼兄は自分のベッドを背凭れに床に座った。


「えっと、前はどこまで言ったっけ。」


俺が今からこの二人に話すこと。だいたい感づいた方もいるだろう。

それはつまり……恋話(コイバナ)


「あれだろ。好きな子が出来て、修学旅行の班決めで同じ班になって。係も同じになって、今隣の席で「これって運命の赤いなんちゃらだよね」って言ってた」

「俺の言ったことまで言わなくていーよ! 」


その話を細かく振り返った蒼兄の背中を掌で叩く。前に蒼兄達にこの話をした時は、こういう泊まってる時ではなくて、春休みくらいに遊んでた時だ。


「でー? 告白するわけ? 」


直球に言われ俺は沸騰したみたいに顔を赤くした。言ったのは向かいの俺のベッドに寝転がるしょー先輩。蒼兄みたいにニヤニヤ顔で、歳上の余裕とやらなのか、と思った。


「……いや、まだちゃんと話したことないし。」


俺の片想いの相手。同じクラス、隣の席の三坂さん。


「じゃあ話しかければいいだろー? 学校が無理でも、連絡先とか知らないのか? 」


部屋にある小型テレビの電源を入れようと、リモコンへ手を伸ばしていた蒼兄が目を瞬きさせた。


「LINEなら。」


「あー、そーいう時代だもんなー。便利になったよなー。」


いちいち語尾が伸びているのはわざとなのか。少し棒読み君に同じトーンで言っているのに少しイラッとする。でも、俺のこういう話は聞いてはくれているけど、蒼兄の話は聞いたことがない。


蒼兄に好きな人や彼女がいたことがあるのか。聞いたこともないけど、蒼兄が言ったこともない。というか俺の場合は「ふわふわしてる」とかでバレるらしい。(しょー先輩曰く)

蒼兄はそんな雰囲気も出さないから全然読めない。


泉は……恋愛系な話はしないだろうし。というか好きな人自体いたことがあるのかが怪しいところ。俺と蒼兄みたいな男兄弟に挟まれてるから女要素があまりないのか。まあ、家事が上手いことだけが救いだよな。


「あ、そーだ。陽の携帯見せて」


何も疑わずに、言われてすぐズボンのポケットの中に入れてたiPhoneを蒼兄に手渡す。

すると蒼兄は、俺のiPhoneの電源を入れて立ち上がり、しょー先輩の隣へと移動した。俺のベッドで横になっているしょー先輩の隣に横になった蒼兄が、ニコッと笑みを浮かべてこう言った。


「よし。その子に俺からLINEするよ」

本編の一章の4話に出てきた「陽の話したいこと」についてです。

本編では主に泉の話なので、こういうページで陽とか他の兄弟のことも詳しく書けたらと思います(^^)

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