五話:運命は突然に
「おいおい、ホントに神社じゃん。」
呆れたような驚いたような声で目の前に広がる広い神社を目にしながら健司はボソッと呟いた。
「そこの捕虜ぼさっとしてないでついて来なさい」
幸子にそう言われた健司は「俺は捕虜あつかいっすか」と悲しくなりながらも渋々幸子の後をついていった。その後ろには今だムスっとした五月とおぼつかない足取りで崩壊閃を持ちながら歩く詩歌の姿があった。
「しっかり聞かせてもらうからな、あなたの正体もさっき言いかけてた成二の話もな」
右手を腰に当て左手の人差し指を健司を向けたポーズで五月は言ったのだが、そのポーズが某アニメ悪役の登場シーンのポーズと被って見え健司は思わず吹いてしまった。
「言うか言わないかは俺が決めることだ、まあ一晩付き合ってくれるなら・・・口が滑っちゃうかもしれないけどな」
健司の言葉に五月の顔は真っ赤になり、無言で反応する間も与えず殴り飛ばした。
「ほらほら五月ゴミを増やすんじゃない」
幸子の言葉に五月は「すまない」と言い健司は「捕虜からゴミに格下げっすか」となにやらうめいていた。
そして大した抵抗もしないまま健司は神社の中まで連行された、幸子はそこら辺に健司を座らせると左右に五月と詩歌を座らせると口を開いた。
「さて・・・確か八神健司だったわね?この二人と知り合いみたいだけど関係は?」
「恋びっ・・・のあっ!!」
恋人と言おうとした健司を五月の拳が襲った。
「幸子さん、こいつはただの学校の知り合いです」
と五月は沈黙した健司の代わりに答えた。
「へぇ・・・じゃあ成二って子も同じ学校なの?」
幸子の問いに五月は小さく「はい」と答えた。
その後も簡単な質問が続いたが、好きな女の子のタイプや好きな料理など意味の無いことに対しては積極的に答えるが出身地や両親の話になるとノーコメントを通した。
「それじゃあ後三つだけ質問、崩壊閃は何処で手に入れたの?教えられたって言ってたけど誰に?そして成二って子が神々の剣と関係あるってチラッと聞いたけどどういう意味?」
「全部ノーコメントって言いたいけど、少しだけ迷惑かけたみたいだしヒントぐらいなら教えてやるよ、崩壊閃は生まれた頃から近くにあった、んで教えられたのはこっちの業界でも中々有名な俺の武術の師匠、そして成二のことだけど時が来れば自ずと分かる。」
そう言うと健司は軽く腕を動かす、すると手を縛っていた縄が粉々に弾けとんだ。驚く三人をよそに軽く踏み込み一瞬で三人の近くに寄ると崩壊閃を詩歌の手から取り握って肩に担いで「また明日学校で会おうな」と言って走っていった、呆然としていた三人だったが五月は我に返り健司を追いかけようとしたが幸子がそれを止めた。
「本当の実力もまだ見極められていない危険な相手よ、迂闊に追う事は無いわ。それにこちらに危害を加える気は無いようだし、まあ大丈夫でしょう。」
五月もそう思ったのか黙って従った。
「それにしても崩壊閃か・・・これに私たちの持っている二つの宝具と一つの神々の剣、あの組織が八つの宝具と三つの神々の剣を所持と・・・。後不明な十六宝具は五つ神々の剣が二つ、これに成二って子に関係ある神々の剣が一つだから神々の剣は後一つ、もし崩壊閃と成二って子に関係ある神々の剣がこっちの手に入ったらやつ等に対抗が出来るかもしれないわね」
と呟くと幸子は不適に笑った。
その日の夜五月は境内に一人立っていた。
「健司は完璧に崩壊閃を使いこなしていた・・・私はこれを使いこなせるのだろうか、否使いこなさなければ」
そう言って五月は紫色の光を放つ刀を取り出した。その光は綺麗だが気持ち悪く、神々しいが禍々しかった。
「反転狂月よ、私はお前を使いこなして見せるぞ」
そう言って五月はその刀を静かに抜いた。
次の日の学校で成二の様子がかなり変なのに五月と詩歌は驚いていた、よもや昨晩の事を健司が言ったのかと思い問いただしたが健司は「見てれば分かると」言って笑みを浮かべていた。
そして時間は過ぎ四時間目が後数分で終わると言う時だった、時間が経つにつれ成二の様子が悪化しているのに気付きただ事ではないと五月は目を光らせていた。そして四時間目の終わりのチャイムがなった時だった。挨拶が終わった瞬間を狙うかのように健司は教室を飛び出した、その様子は狙っていた獲物が隙を見せた時の狩人に酷似していた。
呆気に取られている二人を健司が何処かへ連れて行く、連れて行かれた場所は食堂だった。そして食堂のカウンターに大量のプリンを抱えた成二の姿があった。成二の周りにはプリンを奪おうとハイエナのように纏わりつく男子達がいたがその全てが成二の殺人的な眼光により奪うという行動を取ることが出来なった。
「な、なんなの!?」
「健司君、成二君は何を?」
詩歌の質問に健司は笑いながら説明を始めた。
「成二には大好物が三つあってね、激辛料理と寿司とプリンがそうなんだけど。この学校の食堂で一週間に一度作られる特製プリンが安いうえにかなり美味くて成二も大好きなんだ、しかも成二はこの学校に八割がたプリン目当てで入学したぐらいなんだ、要するに今日成二の様子が変だったのはプリンが楽しみだったからなんだよ。」
詩歌は変だった理由に思わず笑ってしまい五月は呆れてしまった。
そこへ最高の笑みで成二がやってきた、手には戦いの戦利品である大量のプリンが抱えられていた。
「あははっ!!このツヤツヤした輝き、絹のように滑らかな肌・・・俺はここに宣言するっ!!いつかプリン教を作ってプリンについて解明し尽くしてやるっ!!」
「成二、まあ頑張ってくれ」
と成二の肩に手を置いて健司が答えた。
そして四人の楽しい昼食が始まった、朝から警戒していた五月も健司が何のアクションも起こさないので気を張るのをやめていた。
「んで成二、お前そのプリンいつもより結構多いけど全部食べ切れるのか?」
「余裕だ」
そして宣言どうり成二は全て残さず食べきってしまった。
「やっぱり化け物だな・・・。」
と五月が呟いたのは当然というものだろう。
その時成二は腕の辺りが熱くなっているのに気付き咄嗟に押さえた。だが全く熱さはなくならず逆に激しくなる一方だった。頭の中に何かが浮かび上がり消えていく
―――いったいなんなんだ!!―――
周りの声も耳に入らなくなっていった、健司や五月や詩歌が口をパクパクさせているが耳には何も入ってこない、時間が進むのがゆっくりに感じた、そして押さえる力が強すぎたあまりに破けた腕の部分から銀色の大剣の細工のついた腕輪が見える、その時に弾かれたように映像が再生されある言葉が自然と口から出た。
「滅びを知らない神々の剣・・・。」
その言葉に五月や詩歌はもちろん健司さえも驚いた。
そして成二は気を失った。




