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一話:出会い

夢の中で青年は何故か少年の姿になっていた。まったく身に覚えのない出来事だが現実味のある夢だった。

そこにいる人間の言葉は全てフィルターが掛かったように聞こえない、そしていつも通り目の前の血だらけの男から渡される自分がいつも身につけている腕輪、そして男が最後に口にする言葉だけはしっかりと聞こえている・・・だがそれもこの夢が終わると忘れてしまう・・・。その言葉が終わるとこの夢は終わる・・・。これは・・・悪夢だ。




目が覚めるとそこは見慣れた自分の部屋であり・・・ベットの上だった。

全身汗で濡れている青年は時計を見るAM4:30・・・まだ殆どの人が夢の中にいる時間だった。

もう一眠りしようかと考える青年だったが汗で濡れたベットで寝るのも気が引けたのでシャワーを浴びることにした。

心地よい熱湯を頭から浴び汗とともに先ほどの悪夢が流れていく、浴び終わった青年は体を拭くとティーシャツを一枚着た。

そしてそのまま髪を乾かす・・・両親とは違う栗色の髪と琥珀色の瞳を青年は見つめながら思う。

―――朝食は何だろ?―――

浴室の音に気付いた両親が起きてきた。

「おはよう、親父、お袋」

青年の挨拶に両親は笑顔で答えた。

母親の方は挨拶を済ませると台所へ行った。父親の方は青年を連れ出し離れにある道場へ行った。

ここで簡単な説明をしよう。

初めに出て来た青年の名前は黒須くろす成二せいじこの黒須家の跡取で父親であるげんが師範を務めている、黒須流の継承者でもある。

黒須流は数百年の歴史を持つ武術で一対一であれ一対多であれ応用の効く技が多く存在している。

そして弦の最愛の妻である沙希さきもこの黒須流を少しかじっていたりする。

要するに武術一家なのだ。しかし息子である成二の戦闘のセンスは目に見張るものがあり十七歳の若さで父親の弦と並ぶほどの実力を持っている。

ついでに言うと成二は高校二年であり、ここ港町近くの北港高校に通っていたりする。

そんな経歴の成二の朝の日課が父親との鍛錬だった。

そして今まさに二人によって模擬戦が行われようとしていた。

体を温め終わった二人が白い胴着を着て向かい合っていた。

「親父・・・手加減はしないぜ」

「成二に負けるような鍛錬はしておらん」

張り詰めた緊張の中先に動いたのは成二だった。

左足に力を込めて一瞬にして弦の脇に潜り込み足払いをする。

「良い踏み込みだが・・・ハッ!!」

弦は払われる対象になった足に力を込める・・・すると当たる瞬間弦の足が一瞬まるで鉄のように固くなった。

当然のことながら成二は足を払うことに失敗した。

金剛こんごうか足が痛いぜ」

金剛・・・一瞬だけ己の体を鉄のように凄くなると金剛石つまりダイヤモンドぐらいの固さまで固めさせることが出来る技である。

だが技の効果が一瞬のみなのでタイミングを取ることが至難の技だったりする。

足を擦りながら成二は間合いを取った、だが今度は弦が攻めて来た。

「見極めよっ!!」

弦は成二に向かって叫ぶと拳を固く握り拳を突き出してきた。

成二は拳を受けるのではなく流した。何故なら受けてしまうとその一瞬弦は金剛を使うので手の骨が砕けてしまうからだ。

一発でも受けたらよくて骨一本悪くて病院で寝たきり生活という攻撃が続き傍から見たら一方的な展開に見えていた。戦闘が急に終わりを告げた。それも弦のうめき声をきっかけに

飄々と立つ成二に腕を抑えて苦しむ弦腕には紫の痣が出来ていた。

金剛攻手こんごうこうしゅを破るとはな・・・。」

金剛攻手とは金剛を派生した技で手を金剛で固くし攻撃すること技のことを言う、似たような技に足技の金剛攻足こんごうこうそくがある。

「まあね・・・固くなってない腕の部分を俺の得意の神威しんいで攻撃したのさ」

神威とは、攻守を兼ね揃えた黒須流の奥義の一つで独特な受け流し方により受け流された手足はダメージを溜めていき攻撃している方は初めは痛みを感じない、だがダメージが限界を超えるとその部分を焼けるような痛みが襲う技である。

「親父今日はこれくらいにしとかないか?」

成二の申し出を弦が断ろうとした時に道場の扉が開かれ沙希が現れた。

「朝食が出来たから二人とも早く来なさいね」

二人は構えを解き沙希の後について行った。

朝食のご飯と鮭の塩焼きと味噌汁を食べ終わると成二は学校に向かって行った。

北港高校は成二の家からは比較的近いところに在り遅刻はした事が無かった。

今日もギリギリではあるが問題ないはずだった。

だがいつの世にも非常なこととは起きるのであった。

それは通っている道の近くの公園でのことだった。

いつもの平和な公園に女の子を囲むように四人の男が迫っている。

その様子を見た瞬間考えるよりも先に体が動いていた。

手に持っている教科書の入った重いエナメルバックを男一人に向かって投げたのだ。

エナメルバックは鈍い音を立てて男にぶち当たり男は悶絶していた。

そして女の子と男達との間に体を割り込ませ女の子を背後へ隠れさせた。

「てめぇ〜何晒すんじゃボケェッ!!」

怒った声で悶絶していた男が生き返り叫んだ。

「いやぁ〜猥褻わいせつ行為を黙ってみていられなくてね」

と頭を掻く成二だったが次の瞬間目の色が変わる。

先ほど四人組みがそれぞれナイフを持っていたのだ。

「おいお前等・・・獲物を持つって事は殺し合いをするって言うことなんだな」

ドスの聞いた声に驚いた四人組みだったが一人の男の「死に晒せっ!!」という声によって成二に向かって行った。

突っ込んでくる四人は次の瞬間目標を・・・成二を見失った、

「あらら・・・綺麗に横一列に並んでくれちゃって」

声のした背後を振り返った四人は懐に潜り込んでいる成二に見事に足払いをされる、と一緒に持っていたナイフを四人とも離してしまう。

離した四本のナイフの腹の部分を成二は蹴り上げる、そして起き上がろうとする四人に忠告する。

「おーっと動いたら危ないぜ」

次の瞬間四人の顔のあった部分の地面にナイフが深々と刺さっていた。

「間違えた、動かないと死ぬぜか」

その言葉に心底恐怖した四人は逃げるように公園から出て行った。

「んと・・・大丈夫?」

女の子に話し掛けた時に成二は気付いた。

「その制服・・・君って北港高校なんだ、あれ?でも君は見たことないな・・・一年生?」

容姿的にはかなり可愛い部類に入る黒髪のショートの女の子だったので同じ学校なら噂ぐらい聞いたことあるはずなのにと疑問を持って問い掛ける成二に首を横に振って答える女の子

「そういえば君の名前は?」

女の子が答えようとした時だった、背後から殺気を感じて成二は飛び退いた。

先ほどまで成二がいたところには竹刀が深々と刺さっていた。

詩歌しいかに触るなぁッッッ!!」

怒号とともに現れたのは黒髪の長い髪を一まとめにしたポニーテールの女の子だった。

「不意打ちは卑怯だろ」

と苦笑気味で現れた女の子に目を向ける成二

「だまれっ!!詩歌に触ることはこの私、佐山さやま五月さつきが許さないっ!!」

そう言って五月は地面に刺さった竹刀を抜いて成二に切りかかった。

「効く耳持たずかよ・・・。」

紙一重で五月の攻撃を受け流す成二、五月も相当な腕前のようで竹刀を巧みに扱っている。

「五月だっけ?なかなかやるな」

「そういうお前こそ私の剣を避けるなんて一対何者だ?」

そして不意に成二が動きを止める、もらったとばかりに五月は剣を振り上げる。

無謀にも振り下ろされてくる竹刀に成二が取った行動は人差し指一本を竹刀に向けるだけだった。

「血迷ったかっ!!馬鹿者が」

渾身の一撃が当たろうとした時に成二が返答をする

「いや、全然」

すると指に当たった竹刀が根元からバキッと折れたのだった。

理由は簡単だった、成二は竹刀に向けて神威を使っていたのだった。

ダメージの許容範囲を超えた竹刀は人差し指一本にも勝てず折れてしまったのだ。

「少しは考えることだな」

「お前の名前は何だ!!」

「ん?俺の名前?あぁ俺の名前は」

答えようとした時に学校のチャイムが

『キーンコーンカーンコーン』

となった。

「やべぇ・・・遅刻だっ!!」

すでに答えることを忘れた成二は学校へ向かって走っていった。

「ちょ、待てっ!!」

五月の叫び声はもはや誰にも届かなかった。

「ねぇ五月早く学校に行かないとまずくない?」

「そうだね・・・行こう詩歌」

そして二人も学校に向かって走っていった。

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