プロローグ
自然な栗色の髪に綺麗な琥珀色の瞳を持つ八才ほど少年の前に少年の父親が倒れていた。父親は一目見ただけで致命傷と分かる傷を負っていた。
二人の回りには傷を負わしたであろう数百人の兵士達と三人の騎士が囲んでいた。
少年は涙を浮かべていた、父親の方は倒れながらも回りの敵に殺気を放っていた。
その時父親の口が微かに動く、だが少年はそれを読み取ることが出来ない。
不意に少年を囲むように小さな青白い光のサークルが生まれる。
「我が最愛の息子■■■の記憶を封印し・・・戦いのない時代へ誘いたまえ・・・。」
その呪文を聞いた回りの兵士達と騎士は慌てて二人に攻撃を仕掛けようとする。
「■■■・・・お前には父親らしいことを・・・してやれなかったな・・・。だが・・・お守り代わりと言っては・・・なんだが・・・この腕輪を・・・」
そこまで言って父親は血を口から吐き出しながら立ち上がり懐から銀色の大剣の細工のついた腕輪を少年の手に無理やりはめ、耳元で囁いた。
「滅びを知らない神々の剣・・・これだけは覚えておきなさい」
その瞬間少年は意識を失う・・・。
惜しむように少年の頭を撫でる父親だったが兵士達が寸前の所まで迫っていたので光のサークルから出る。
「我が一族の秘宝を狙う馬鹿どもめ・・・この子が時代を流離するのを黙って見ているがいい」
叫ぶようにそう言うと少年を囲むように灰色の炎が生まれる。
「ふっ・・・流石に時代を渡らせる呪文を使うと白かった炎も罪によって灰色に穢れてしまうか・・・。」
一瞬悲しそうな顔を見せた少年の父親だったがすぐに普通の顔に戻った。
「もう少し・・・もう少しだけでいい・・・我が体よ持ってくれ」
願うように祈るように体に言い聞かせるように言葉を呟く少年の父親は、額に汗を滲ませながら兵士達を炎で牽制していた。
その時騎士の一人が炎の壁を突き抜け少年に攻撃をしようとレイピアを突き出した。
少年の父親は考えるよりも早く少年の前に躍り出した。
ザッという音とともに少年の父親の体にレイピアが突き刺さる。だが父親の顔は苦しさなど一切現れておらず逆に笑っていた。
「間に合ったようだな・・・。」
そう言って崩れ落ちる少年の父親の後ろで虹色の穴が生まれていた。穴はサークル内の草や土とともに少年を吸い込んだ。
その瞬間あたりを青白い光が包み込んだ、
光が収まるとそこに少年の姿は無かった。




