入学式:一発の銃声
すっかり仲良くなった(かどうかは良く分からない)4人がアドレス交換などを済ませた時には、並べてあったパイプ椅子が全て埋まっている状態だった。時計を見ると、ちょうど入学式が始まる時間だ。
ステージは無い。代わりに台が並べられ、その上に教壇とマイクが置いてある。
今のところ教師らしき人物は1人もおらず、代わりにこの体育館のような部屋の中には340人の入学生たちがパイプ椅子に座っていた。
「てか、教師がいないとか不気味だな。ドッキリでもやんのか?」
佐久磨は冗談交じりにそう言ったが、克人は正面を見据えると、いきなり衝撃発言をした。
「これ、ドッキリだな」
「「「え?」」」
他の3人が聞き返した、その瞬間だった。
パァン!!という音が室内に響き渡る。2031年現在、この音を聞いたことが無いという人間はおそらくほとんどいないだろう。
銃声。この音が聞こえた瞬間に取る人の行動は、バリエーションが豊かだ。
克人は懐にある拳銃のグリップに手を添え、次の一撃に備える。
亜里沙は咄嗟にしゃがみ、銃撃を回避しようとする。
佐久磨は真横にいた沙織を庇うように仁王立ちし、沙織はその場で蹲る。
それ以外の生徒も、銃を抜いて敵を迎撃しようとする奴もいれば、その場で硬直する奴もいる。
ただ、悲鳴を上げるような馬鹿は1人もいなかった。悲鳴を上げるということは、今の日本では殺して下さいと言ってるようなものだ。この学校に入る生徒は、銃声くらいで取り乱さない精神が求められる。
「全員その場から動くな」
大きな声が、部屋中に届いた。
入り口の上、柵で覆われた舞台のような場所に、1人の男が拳銃を持って立っていた。
「只今より入学式を始める。入り口で装備一式と説明書を配布するからそれを良く見とけ。その後は各自行動開始だ。以上」
教師と思われるその男は、後ろにあった扉の向こうへと消えていった。
そして、先ほど克人たちが入ってきた部屋の出入り口の扉が開くと、そこでは武装した人間が立ち並んでいた。




