願うのは、ただ一つ。
なんかふとこんなの書きたくなった。
好きな人に会いたいと願うのは当たり前の感情だと思う。
一年前、この樹の下で。そう、この桜の樹の下で私は貴方と出会ったのだ。
あのとき、私はただアテもなく歩いてこの樹にたどり着いた。
そしたら貴方が樹の下で座っていたのだ。
「どうしたんだい?」
なんて声を掛けられて。
私は
「貴方に会いに来た」
なんて言ってしまったのはちょっと恥ずかしかったけど
私からすれば貴方こそどうしたんだと聞きたいくらいだった
何をするでもなくただ座っているだけ
そんな貴方を好きになってしまった。
時間があれば貴方に会いに来た。
「暇なのかい?」
なんて笑いながら言われたけどまったく気にしてない。
けどいつからか貴方は居なくなった。
私も少しずつ行けなくなってきて、でも今日は貴方と出会って一年の日。
今日は居るかも、なんて期待してみたけどやっぱり居なかった。
貴方がしてたみたいに樹の下で座ってみる。
…風が気持ちいい。
貴方はいつもこの風を感じていたのかな。
少し眠くなってきた。
この場所ならいい夢を見れそう。
…どうしたんだい?
「…え」
どうしたんだい?
「貴方に会いたいと、願っていたの」
そうか、それなら僕も思っていたよ。
「そう…。嬉しい」
これは夢だけど貴方に会えるならなんだっていい。
君は、暇なのかい?
「暇じゃないわ、貴方に会うために時間をつくったのよ」
返事は返ってこない。
私は目を開けた。
既に暗くなりはじめている。
きっと返事がなかったのは私の思い出だったから
思い出、か…。
そんなのじゃ満足出来ないよ。
「貴方に、会いたい…」
瞬間、風が吹く。
少し強くて、思わず目を閉じる。
次に目を開けたとき、私は理解した。
貴方はずっとそこに居たこと。
「やっと見つけた…」
思わず涙が流れる。
「また、会いに来ます」
私は、家へと歩き出した。
淡く光る、桜の樹に背を向けて。
待ってる。
そんな声が聞こえた気がした。
いつも思うが、桜が自分の小説に使いすぎでは?
自重、かな。