白髪の少女は
「コーヒー飲むか?」
そう男は白髪の少女に言う。
菖蒲「うん、ください。」
白髪の少女はそう返した。
男がマグカップを二つ持って席に戻る。
「じゃあお話しよう。」
菖蒲「よろしくね。」
・名前
「じゃあ名前から。」
菖蒲「ボクは柏森 菖蒲、まれびとさんの使い魔。」
「歳は言えるか?」
菖蒲「ボクがこうなってからは歳は数えてない。」
「外見は14歳くらいかな。」
菖蒲「大体そのくらいに死んだ。」
「生きてた時は何してたんだ?」
菖蒲「忍の卵っていうか。」
「なぜ死んだ?」
菖蒲「里を襲われた。」
・死因
「誰に襲われた?」
菖蒲「前田 勝家の軍勢に里を襲われた。」
「前田 勝家・・・。」
男はPCで検索する。
「検索トップには前田 利家って。」
菖蒲「あなたの住んでる世界とは微妙に違う世界だから。」
「そうか、死因は?」
菖蒲「足軽に槍で腹を刺された。」
「ふむ、辛いこと思い出させてごめんな。」
菖蒲「大丈夫。」
・住んでいた場所
「質問は変わって。菖蒲は生前から白虎の力を持っていたのか?」
菖蒲「ボクの里の忍は口寄せで有名だった。それでボクは幼い虎を従えてたの。」
「里の忍はNARUTOみたいにデカいガマガエルとか出すのか?」
菖蒲「違う、動物の霊魂を自身に憑依させたり相手に憑りつかせたりして戦う。」
「菖蒲が従えてた虎は霊魂で必要に応じて自身に憑依させたり相手に憑りつかせたりするんだな?」
菖蒲「そう。」
「で、お前の相棒の虎は白虎なのか?」
菖蒲「ただの子供の虎だったよ。」
「もう一緒には・・・居ないよな。俺菖蒲の傍に虎が居るの見たこと無いもん。」
菖蒲「その虎はボクが死んで霊魂になった時に融合した。」
「なぜ融合した?」
菖蒲「復讐のため。」
「里を襲った前田ナントカに復讐するためか。」
菖蒲「そう。」
・死してなお
「復讐は果たせたか?」
菖蒲「果たせなかった。」
「そうか・・・。」
菖蒲「前田 勝家の家臣に負けた。」
「負けて・・・どうなった?」
菖蒲「勝家の家臣の部下の術師に実験材料にされた。」
「何をされた?」
菖蒲「思い出したくない・・・。」
「すまん、質問をずらそう。」
「菖蒲が白虎の化身になった経緯が知りたい。」
菖蒲「・・・、先ず融合した相棒の寅丸を引きはがされた。」
「うん。」
菖蒲「その後様々な実験という名の拷問をされた。」
「・・・、大丈夫か?」
菖蒲の顔色が悪くなる。
菖蒲「がんばる・・・。」
「無理するなよ?」
菖蒲「いつかは話さないとって思ってたから。」
「・・・そうか。」
菖蒲「それでいよいよ廃棄される寸前で術師が霊獣と融合させてみようと言った。」
「うん。」
・融合
菖蒲「その霊獣は白虎だった。」
「そこで白虎登場か。」
菖蒲「ボクは白虎の餌になるはずだった。でも寅丸が助けてくれた。」
「寅丸は菖蒲から引きはがされてどうしてたんだ?」
菖蒲「ヤツらから逃げてヤツらに気づかれないようにボクを見てた。」
「それでいよいよ菖蒲の存在が無くなりそうになって寅丸が助けに来たのか。」
菖蒲「そう。寅丸は敵わない相手に一歩も退くことなく立ち向かった。
ボロボロにやられても寅丸は立ち向かった。
そしてついに一矢報いた。
すると白虎は
『面白い、喰うのはやめた。お前達と融合してここを出よう。』
と言ってボクと寅丸を一呑みにした。」
「うん。」
菖蒲「融合の過程でボクは白虎の一部になるはずだった。
でも白虎はボクに身体の主導権をくれた。」
「どうして?」
菖蒲「『小娘だがヒトなら知恵もあるだろう。』と言って。」
「なるほど。」
菖蒲「そうしてボクは白虎になった、体はヒトの白虎。」
「白虎の魂を持つ少女か。」
・三位一体
「それで菖蒲は白虎と寅丸を吸収して今の姿になったのか。」
菖蒲「そう。もう白虎の声は聞こえないけど寅丸とはいつも一緒だよ。」
そう言うと菖蒲の肩にいつの間にか白い子供の虎が乗っている。
「はじめまして寅丸。こんな相棒が居るとは知らなかった。」
菖蒲「寅丸を出すとボクは並みの女の子になっちゃうから。」
「白虎は寅丸と融合したのか?」
菖蒲「ボクの魂と親和性が高いからね、寅丸はいわば触媒になってる。」
「白虎は存在が無くなった・・・訳じゃないよな?」
すると菖蒲の傍に彼女の倍以上の大きな白い虎が出てくる。
「これが白虎か。お前の髪、黒くないか?」
菖蒲「こうなるとボクはかなり力が落ちる。」
大きな虎と小さな虎は菖蒲の背後に消える。
すると菖蒲の髪はみるみるうちに白くなった。
「いつもの菖蒲に戻った。」
・使い魔になったきっかけ
「じゃあ俺を見付けたきっかけとか聞いてみようかな。」
菖蒲「ヤツらの所から脱出したボク達はとてもお腹が空いていた。
何でもいいから霊魂を食べたかった。
そしたら黒い霊魂が集まってる場所を見付けた。」
「あの頃は大変でした。」
菖蒲「取り巻きを粗方食べたあとふと群衆の中心に目をやったらあなたが居た。」
「そうなんだ。」
菖蒲「その時思った、この人の所に居れば食事に困らないのでは?と。」
「そう思ったのは菖蒲かな?」
菖蒲「ボクの中の白虎が。
そうしたらあなたはボクに仲間になれと言う。
その後は覚えてるよね?」
「散々主に相応しいか試されたな・・・。でもあの頃の菖蒲は弱かったよな?」
菖蒲「まだ三つの魂が完全に同化していなかったからね。」
「主に俺を試してたのは白虎かな?」
菖蒲「いいや、三人で試してた。白虎もボクを試してた。」
「白虎に認めてもらえたか?」
菖蒲「あなたもボクも認めてもらえた、今ではボクに従順。」
・コーヒー冷めちゃった・・・
「菖蒲の事、よく知れたよ。」
菖蒲「話せてよかった。」
「途中辛い事思い出させて悪かったな。」
菖蒲「ヤツらはもう居ない、大丈夫。」
「コーヒー・・・、冷たいな。」
菖蒲「冷たいコーヒーも二人で身を寄せ合えば温かい。」
「いや・・・、冷たいっすね・・・。」
菖蒲「そこは乗ってよ。」
そう言って白髪の少女はむくれた。




