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第8話 ロベルトに与える答えは ない

挿絵(By みてみん)


私は目を固く閉じた。

私は、あまりにも辛い経験に遭って、幻を見ているのだろう。

自分が一番会いたい人の幻を。


目を開けたら、ロベルトの姿が見えるだろう。

それなら、目を閉じたまま、このことに彼を重ねれば…


しかし、もう一度、手を握りしめる感覚を感じると、

「神牛ロベルト!」

という声と共に、私の身体に動きが戻った。


私はおそるおそる目を開けた。


青い光の中で、シリウスが、私を縛り付けている鎖を、片手で引きちぎって粉砕している。


その瞬間、私は飛び上がって、その背中の後ろに回った。


マントが手に触れると、ようやく実感がわいてきて、ただ「シリウス…」と茫然と呟いた。

シリウスは振り向かずに、黙って頷く。


ロベルトは、シリウスから伸びている青い光の鎖でがんじがらめになっている。


と、その時、シリウスはパッとテオ様のところに飛んで行くと、

なんと、テオ様の顔をパアンッパアンッと往復ビンタし始めた。


「いつまで寝ているんだ!!!!起きろ!!!」


すると、死んだように倒れていたテオ様が「う…」と呟いて目を開けた。


「どうも、おはようございます?」


「馬鹿者が!!!!!!」


シリウスはテオ様を掴んで私の方に吹っ飛ばす。


テオ様は、私がいる石の台にベチャリとぶつかったが、

何事もなかったかのごとく、蛇のようにスルスルと起き上がった。


「リヒトさんを守れ。」


「大王様に言われたないなァ…」


「黙れ。」


シリウスは、ロベルトに向き直る。


「お前が何をしようとしていたかは、全部聞いた。」


シリウスが手を前に差し出すと、

彼の耳の辺りにいた透明の独楽鼠(こまねずみ)がスルスルと降りてきて、

空気に溶けていく。


独楽鼠(こまねずみ)が、計画の内容を報告していたとは…

まったく、器用に神通力を操作なさる。」


ロベルトは、縛り付けられたまま、感心したように微笑む。


「念のため、お答えを頂けますか?」


シリウスは、ゆっくりロベルトに向かって歩き出した。

アクアマリンの眼光が残像を残す。


一歩。


「殺人」


一歩。


「殺人教唆」


一歩。


「殺人未遂」


一歩。


「死体損壊」


一歩。


「内乱」


一歩。


「不敬」


一歩。


「強姦未遂」


ここでシリウスは歩みを止めた。

アクアマリンの瞳が光を放つ。


「お前に、

与える、

答えは、

ない。」


ロベルトは青い光の鎖に縛られたまま、呆れたように言う。


「仮にも、幼いころから貴方の世話をして、

貴方を誘拐から救い出し、

貴方とリヒトさんの幸せを願って動いた私に、

弁解の余地もないのですか?」


シリウスは青い光の中で、ロベルトを凝視する。


「お前が今述べたことは、酌量の理由にならない。」


光の鎖がビビッビビッと音を立てて、ロベルトを締め上げる。

ロベルトの口から血が噴き出し、顔が歪む。


すると、青い光の鎖がパッと消えて、ロベルトがドサリと床に落ちた。


ロベルトは肩で息をしながら、起き上がろうとするが、それ以上は動けない。


「大王は、手を下さない。」


シリウスは瞬き一つせずに、大きな瞳をロベルトに向けている。


「神蛇テオ!」


テオは、無言で私のそばを離れ、ロベルトに飛んで行った。


「神路開門 神通力 【蛇蝎斬(だかつざん)】!」


その瞬間、


ロベルトの身体は二つに斬り離され、鈍い音をさせて転がった。

その光景が目に残る前に、飛びずさったシリウスのマントが私の目の前を覆う。


あまりにもあっけない終幕だった。



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