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彼が妹を理由にデートをドタキャンするので、病弱な妹君によく効く薬をプレゼントした

作者: 下菊みこと
掲載日:2024/07/22

「あの、すみません。その…」


「妹君が熱を出した、ですか?」


「ええ…そうなんです」


いや、そうなんですって何回目だよ。


前も同じ理由でデートの約束ドタキャンしたやろがい。


「あの、マジで言ってます?」


「その、本当にすみません…でも…」


「あー、いいですいいです。帰ってどうぞ」


「…すみませんでした」


申し訳なさそうにしつつも帰った彼。


なんて面倒な男と婚約してしまったのか。


両親の勝手に決めた許嫁だがクソすぎる。


「…まあ、私も口が悪い上に性格も悪いから割れ鍋に綴じ蓋なのでしょうけれど」


さてさて、これからどうしようか。


家同士のメリットのある婚約。


婚約破棄はあまり美味しくない。


それなら私の不満を解消するには…あの男を変えるか私が変わるかのどちらか、あるいは両方。


あの男を変えるには…それこそ、あの男の妹をどうにかするしかない。


「…ふふ。良いわね、それ」


さてさて、国でも一番と言われている錬金術師を呼びましょう。


我が家は成金、商人である曽祖父が爵位と領地を買って貴族になったような家。


私だって、そんじょそこらの貴族なんて目じゃないくらいのお小遣いをもらっている。


彼の実家も、私の支度金目当てで婚約を決めたくらいだ。


我が家も彼の家の爵位目当ての婚約ではあるが。


「あの錬金術師は、どんな病にでも効く薬を作れるというじゃない。その薬を買ってやるわ」


妹君にプレゼントして差し上げるわ、婚約者さん。


お楽しみにね。












そして、その日が来た。


錬金術師を伴って、彼の屋敷に行く。


すでに彼と彼の両親には、私が大枚を叩いて国一番の錬金術師から薬を買ったと説明した。


彼らは喜び、私と錬金術師を招いた。


「ということですから、この薬を飲んでください」


「…っ」


彼の妹は私を睨む。


そこで感謝しないというのは、そういうことだろう。


「さあ、飲みなさい」


嫌がる彼女だが、私が圧をかけると飲む。


身体から黒い靄が抜けた。


「今のは…」


「お嬢様の中の悪いものが抜けた証拠です。医者にみせてください」


「はい!」


そして彼女の病弱体質は治った。


「さて、これからどうなるかしら」


楽しみで仕方がない。













「あの、すみません」


「いえ、いいんですのよ。行きましょうか」


彼はデートをドタキャンすることは無くなった。


そのかわり、彼女の妹がデート中付きまとうようになった。


しかし私は気にしない。


「お兄様から離れて!」


「こら、いい加減に…」


「もう、私に集中してください。妹君は無視なさって」


「あ、え、ええ…そうですね」


彼は今では病弱でもなんでもない妹を甘やかさなくなった。


…いや、今の状況を許しているのはだいぶ甘やかしているだろうか。


けれどデートをドタキャンして欲しいというおねだりは無視しているし、今も彼女の存在を無視している。


彼女はといえば、病弱体質こそ改善したがそれ以外はそのまま。


結果良識などないわがまま娘という評価だけが残った。


「けれど、妹君はもう少し性格をなんとかした方がいいですわね」


「ええ、そうですね…」


「あの性格ですから、婚約も決まらないですしね」


「はい…」


「そこで私、提案があるんですの」


私の言葉に彼は首をかしげる。


「私の従兄と婚約させたらどうかしら」


彼はそれは名案だと頷いた。












彼の妹君と私の従兄の婚約が決まった。


従兄の家は表向きは普通だが、蓋を開ければ今時珍しい男尊女卑っぷり。


私も女だからと色々言われて不快にさせられたことが何百回もある。


なので、あの妹は花嫁修行と称して従兄の家に何度もお世話になるうちに心を折られた。


今はかなり従順な素直な性格となった。


「モンスターにはモンスターをぶつけろということね」


紅茶を飲みつつのんびり過ごす。


「次は彼自身ね」


私好みになっていただきましょうか。
















「え、僕との婚約を考え直したい…?」


「ええ、そうなんです。妹君のことで散々苦労しましたし、もうやめたいなって」


「そんな、そんなことを仰らないでください!」


「でも…」


「すみませんでした!これからは心を入れ替えます!何よりも君を優先しますから!」


まあ、そんなのはもちろんハッタリで根回しとかもしていないので安心して欲しい。


彼自身にそれを伝える気はないけれど。


「まあ、私を優先してくれるんですか?本当に?」


「ええ、もう優先順位は間違えません!君が第一です!」


「誓ってくださいます?」


「もちろんです!」


必死な様子に笑ってしまいそうになる。


頑張れ腹筋。


耐えろ。


「…で、では、私との約束ですわよ」


「ええ、約束します!」


それ以降彼は本当に私を大事にしてくれるようになった。


我が家の私のために用意した支度金の額はとてもとても高いので、逃したくないんだろう。


「まあ、破談を盾にするのはリスキーですしご法度ですから親には怒られましたけれど」


全ての問題がなんとかなって、私としては一安心。


怒られるのも想定内だからまあ大丈夫。


誰に頼れる話でもないのだから、自分で解決するのは当然。


怒られたところで、こちらとしては仕方がなかったとしか思わない。


ただまあ、その分…これから先は破談や離婚は盾にはできなくなったけれど。


でもあのまま反省もせず後悔もしないでのうのうと婚約を続けられるよりよほどいいだろう、うん。


あとは喉元すぎればにならないように躾もこれからは頑張ろう。


まあ大丈夫だと安心した頃が、あの男は一番危ないだろうから。

ここまでお付き合い頂きありがとうございました!


楽しんでいただけていれば幸いです!


下のランキングタグに連載作品いくつかのリンク貼ってます!


よろしければご覧ください!

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― 新着の感想 ―
[良い点] ラストの一行にうんうんとうなずいてしまいました。 いいぞもっとやれ!!って応援したくなる主人公ですね。 [一言] 妹ちゃんを折ったのはいいけれど、いつかそのうち従兄んちも…頑張ってね。
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