雪山の新雪でスキーを楽しむ
私の趣味はスキー。
スキーが趣味と言ってもスキー場では無く、人里離れた山奥の雪山で新雪にスラロームの跡をつけて滑るバックカントリースキーが趣味なのだ。
人里離れた山奥の雪山で1人スキーを行っている事もあって、今まで5〜6回山岳救助隊のお世話になった。
その都度、山岳救助隊の人たちや家族に人里離れた山奥で1人スキーを行うのは止めて、人里に近い雪山のスキー場でスキーを行うように注意される。
山岳救助隊の人たちや家族の言っていることは真っ当でその通りなんだが、新雪の上に跡をつけながら滑り降りる快感を一度体験すると止められないんだな。
なんて事を言ってたが、前回山岳救助隊に救助された時を最後に止めておけば良かった。
初めて来た雪山を滑り降りている途中、一瞬地吹雪で一寸先が真っ白になる。
直ぐ見えるようになったけど、見えたのは地吹雪で一寸先が真っ白になる前に滑り降りていた山じゃ無かった。
私が滑り降りていたのは、雪で真っ白になっている山々が連なって見える山奥の雪山。
今眼下に広がって見える景色は、見たことの無い遥か彼方まで広がる大雪原。
此処何処だ? 小説の中で語られる異世界か?
止まって周りを確かめたい。
確かめたいのだが、直ぐ後ろから咆哮を上げ牙がズラリと並んだ大きな口を開けている、見たことの無い狼と熊を合わせて2で割ったような巨獣が追って来ていているんだよ。
私を餌と認定してるんだろうな。
だから止まれないんだ……。
「もう二度とバックカントリースキーなんてやらないからー! 誰かー! 誰かー! 助けてくれー!」