【4】放るモン (エッセイ)
ホルモンほんと、たち悪い。
噛んでも、噛んでも、噛み切れない、切れない切ないきれないせつない。
そして、ホルモン入れといて冷やしたタッパーとかにもさ、脂が大刀悪くこびりついているんだよ、うん。
今、ホルモン何回も加熱して、冷やして、最終的には柔らかく食べられる様に、繰り返し加熱・冷却をやるためにタッパーに入れてレンジで使っていた奴を洗っていたのだけれどもさ。
ホルモンって食材を見るにあれは、人間の業みたいであり、食材ってか、贖罪の象徴に見えるのだよね、小腸だけにさぁ。
割り切れない思い、こびり着く思い、そんな象徴だって。マジでさぁ。
噛み切れない、そして冷えた脂は落ちない、ネットリと未練たらしくタッパーにこびり付く。
ホルモンは噛んでも噛んでも噛み切れない かみきれない きれない 切ない 切れない 切ない 切れない 切ない………
他方、ホルモンの脂はさ、冷えたらいつまーでも、こびりついて、洗剤とお湯を使って何回も洗っても落ちない。
粘り付いている。
地に縛られた地縛霊みたいにさ。
浮かばれない、人間の、囚われた思いみたいなんだ。
その思いが重くて、胸焼けしそうさ。
でもさ。
その業がまた、美味いから始末が悪いのさ。
これもまた、ホルモンが人間が抱えている矛盾やなんかとさ。
重なっては見えやしないかな?
放るモンを、素直には放り出せない次第だよ。
ホルモンの味はだから、業の味で。
割り切れない10÷3の、あの、悪夢の「3」の大行進とゆー訳さ。
その延々割り切れない割り算を解いている最中にきっと、人間はすっかりと疲れ果てて、摩耗して、やがては酸化するんだろう。
疲れ果てて、酸化して、もう、3と一緒になっちゃえとさ。
3と化して3化だね。
そうやって、割り切れない10÷3と、もぅ、一体化しちゃうのだろうかなぁ?
酸化して3化して、そして10÷3の世界へ参加。
加熱してー 冷却してー
また
加熱してー 冷却してー
そうやって繰り返して。
切ないホルモン、噛み切れる様になって。
飲み込む、腹の腑に落ちる。
そんで、ようやくホルモンと和解する日にさ。
その時に見える景色とは、
果たしてどのようなモノだろうかねぇ?
ねぇ、
キミはどう思うかね?