【21】腹黒い私〜さんぽ市エピソード (短編小説)
私は腹黒い。
清純の装甲に愛嬌を塗装加工して、無垢仕上げに丹念に仕上げている。
それを悟られぬ為に、猫の上から更に猫を被って、それが十重二十重と連なる地層みたいだ。
チバニアンなんて地層があるから、ブリニヤンとでも名付けようか?
ぶりっこ地層は何層もの猫が被さっているのだ。
あの瞬間。
振り向いて、あのノボリを見てから再び視線を彼等へと向けた瞬間。
「これで、私の策謀は完成した!」
と、思った。
振り返って見回した彼等の視線にはある種の決意に満ちていた。
私を守ろうとする気配に満ちている。
後は簡単だ。
話題は話題を呼ぶし、この商店街は復活すると思お。
昔、まだ私が本当に無垢だった頃に。
大型ショッピングモールとの集客争奪に敗れて経営が右肩下がりに悪化して、借金を返済できずに苦しんでいた父。
ある日、灰色のスーツの男がやってきて告げた。
「すみませんが…もうこの店舗は貴方がたのものでは有りません。此方が提案させて頂いた『再生計画書』の提案にもお乗り頂けないようでしたので、然るべきお方に売却致しました。」
父は、直後、呆然と信号の無い国道を幽鬼みたいに歩いていたところをトラックに跳ねられたのだった。
まだまだ父は若かったのに……
私は、私の復讐を、彼等と共に果たすつもりだ。
そのためならば下種な手段を避けないし、下品な手段くらいなら可愛いものじゃないか。
「ち○ぽ」でも何でも、ネタにされて騒がれて、それで経済活動として使えるならば何でも使ってやる!
そして、そんな下ネタを、まったく知らないみたいに振る舞ってやる!
十重二十重と巡らせたブリニヤン地層と。
そして、彼らがそれを守ってくれるのだから!
さぁ、戦いだ!
今日はテレビ局の取材だ。
うん、旗は計画通り、裏返っている。
さぁ、私の戦いはいよいよ始まるんだ!
最後には皆で、下ネタで笑おう。
猫地層ブリニャン。
それを外すときまでは、
私は聖女で無垢になり続ける。