プロローグ
『幼馴染と両想いになれますように』
天の川が夜空を流れる夜、願いを描いた短冊を天野袈裟喜は神社にぽつんと生えている背の高い竹に結び付けた。袈裟喜の結んだ短冊の他にもいろんな願いが書かれてあって、竹をカラフルに彩っている。
『会いたい。』
そう書かれた短冊が袈裟喜の目を魅きつけた。普段、字がきれいではない人が全力を出して書いた。そんな字だった。対する袈裟喜もそんな字で書いた。なんとなく。そんなやわな気持なんかじゃない。本気でそうなりたいと思った。そうなるべきだと思った。でも、その意識の割には確固たる根拠という根拠はなくて。だからこそ、自分でもなぜこんな短冊を書いたのか疑問だった。
「あ……」
袈裟喜は、そんな声を漏らしたと同時に、水滴を地面に落とした。その水滴はとめどなく自分の目から溢れ出て、止まらない。その水滴は美しく、星の光を受けキラキラと光り落ちていく。
「きっと、あの記憶だ」
袈裟喜は不思議な記憶を持っている。これは夢の中の記憶なのか、はたまた自分の前世の記憶なのか、宇宙人に植え付けられた記憶なのかは定かではない。その記憶は、星のきらめくきれいな記憶だ。でも、とても悲しくて寂しくて……愛しくて。そんな感情が眠っている記憶。でも、思い出すのは感情ばかりで何が起きていたのか。そんなもっとも重要なところがかけていた。その記憶の世界で何が起きて、何をしたのか。袈裟喜は知らない。




