鏡の国は、もうコリゴリっ!ロリコン男は、このアリスが三月ウサギに代わってお仕置きですわっ。
黄金色の昼下がりに、小舟は、アイシス川に浮いていた。
アリスの向かいには、ドジソンおじさんが、座っている。
ロリーナ、アリス、イーディスの3姉妹のうち、7歳とちょうど半分のアリスだけがドジソンとピクニックにお出かけ。
川に浮かんだ小舟の上で、ドジソンが即興で作ってくれるお話を聞いている。
―― 昔は面白いと感じたけれど、おじさんの話って、脈絡が無いし、論理的じゃないのよね。
純粋で曇りのない表情のアリスは、そっと水面を見つめた。
舟の上のアリスの右手には、オレンジがあり、水の中の女の子は、左手にオレンジを持っている。
―― 私が川の中に入ったら、オレンジは右手にあるんじゃないかな?
そんなことを思うアリスの前で、ドジソンの新しい話が始まった。
暖炉の前で糸を繰っていたアリスが、猫のキティと遊んでいるうちに、鏡を通り抜けて鏡の世界に入り込んで女王になるお話・・・。
―― 小さな子供向けのお話よね。
あくびをかみ殺しながら、水面を見つめる。
舟は、ゆるりと浮かび、岸辺の浅い部分を進んだ。
その時であった。目の色を変えたドジソンが、アリスに覆いかぶさってきた。
「きゃっ。いやぁ。やめてっ。」
揺れる舟。暴れるアリス。必死でもがくアリスの手が掴んだものは、オールであった。
ゴンっ
柄の部分でドジソンの頭を強く殴る。
―― 助かった。
ドジソンが、意識を失い倒れたのだ。そっと、岸辺に着いた小舟。服の裾が水に濡れてしまわないように気を付けながら、陸に上がる。
―― あっ、オールも回収しておかなきゃ。
アリスは、2本のオールを回収した。これで、舟はコントロールは出来ないだろう。
―― ロリコンは、絶滅すればいいのよっ。
左足で、そっと舟を押し出す。川の流れに乗った舟は、下流へと流れていった。
その時である。頭の上で羽音が聞こえた。
ぶーん
―― あら、危ない。何か覆いかぶさって守ってくれるようなものが必要ね。
現れたのは、カツラをかぶったような、派手な黄色をしたスズメバチ。スズメバチに刺されぬよう気を付けながらオールを茂みに投げやった時、アリスは、蜂のため息を聞いたような気がした。
都合よく、茂みの小道は家へと続く。気を取り直したアリスは、前へと進むことにした。
―― そうよ。わたしは、女王になるのだから。
その場を離れ、アリスは家路を急いだ。
プリぃぃズ ヘぇぇルプ ミー
気のせいだろうか?その時、アリスの背の向こう・・・遠くの方から、何やら叫び声が聞こえた。
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こちらは『第3回「下野紘・巽悠衣子の小説家になろうラジオ」大賞』用、超短編小説です。




