むし顔の学園日常
いつもの学園日常。
俺は、現在、中学生2年生。
退屈な日々が、いつも続いていた。
だけど、最近、すこし変わってきたことが、ある。
みんな気づいてないけど、最近、生徒の何人かが、虫顔になっていっているのだ。
学校の中だけじゃない、外の人間も、虫顔の人間になっている。
クワガタ、カミキリ、カマキリ、バッタなど、体は、人間で、頭は、虫。
そんな虫人間が、増えていっていた。
最初は、2・3人だったけど、今じゃ10人くらい虫人間がいる。
クラスの3分の1が、虫人間だ。
ただ、なにかをしてくるわけでは、なく。
行動は、普通の人間だ。
普通に、しゃべるし、普通に、給食も食べるし、普通に、勉強する。
ふつうにしているから、誰も気にしない。
先生たちも、何も言わない。
そう、俺以外は、だれひとりとして、この異常事態に気づいていないんだ……
だが、俺は、無視をした。
たいして、人に興味が、なかったからだ。
だが、ある日にことだった。
「なんだこれ」
生徒の一人が、叫んだ。
「くるなあああ」
その姿は、混乱しているようだった。
教室の中が大騒ぎになった。
パニックになっている一人の生徒を虫人間達が、取り押さえる。
そして、教室の外へと連れて行かれた。
その日、その生徒は、早退したようだ。
そして、次あの日、来た時には、虫人間になっていた。
どうやら、虫顔の人間を知ってるのが、ばれると、自分も虫顔にされるようだ。
そんなのは、ごめんだ。
さらに、次の日には、一人、また、一人と、虫人間は増えていった。
学校の中じゃなくても、帰り道など、たまに、パニックになっている生徒がいる。
しかし、それでも俺は、無視を続けた。
「なんで、あんたは、いつも一人でいるの」
ツインテールの女が、話しかけてきた。
こいつは、幼馴染み女だ。
家が近くて、小さいころから知っている。
同じクラスで、よく小学校の時から、同じクラスになる。
まあ、友達ってほどでもない。
「別にいいじゃんかよ」
俺は、適当に答えた。
正直、興味がない。
こいつなりに心配してくれているのはわかるが。
「なんかあったら相談に乗るわよ」
そう言って、離れていった。
俺には関係ないことだ。
それから数日たったある日のこと。
幼馴染の女が、パニックなっていた。
「助けて」
おれの顔を見ながら、そういった。
俺には関係ないことだ。
俺は、無関心を貫き通すことにした。
それが、一番安全だからな。
次の日、幼馴染の女も虫顔になっていた。
ツインテールだったからか、カミキリの触角が、あいつに見えた。
それから数日たったある日のことだった。
おれ以外のクラスの人間が、虫顔の人間になっていた。
そして、担任の教師までもが、虫顔の人間になってしまった。
ついに、俺だけが残された。
まあいいや、俺は、他の人間達とは、違う。
それから数日後のことだった。
教師がある一言をいった。
「このクラスに、仲間はずれに、なっている子がいます」
汗が、額に流れる。
クラスの虫顔の人間が、こちらを見る。
くそっ!
そう思った時には、教室を出て走り出していた。
後ろの方で、「おい待て!」という声が聞こえたが、振り向かずに走った。
なんで、こうなった。
とにかく逃げないと……
俺は、階段を急いで降りていく。
だが、一段踏み外した。
しまったと思ったときには遅かった。
俺は、そのまま落ちてしまった。
地面にぶつかる衝撃が来る前に、見えたのは、床だった。
顔が、つぶれたのだろう。
俺の意識は、そこでなくなった。