表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。

咎人

作者: アーティ

かなりダウナーな感じです。グロとかホラーはない。

ある日、大量殺人をニュースで見た。道脇には花束が置かれ、多くの近くに住む人々から悼まれていた。


母は言った。

「周りの大勢を巻き込むくらいなら、自分ひとりで死んでしまえばいいのにね。何を考えているのかしら」

父は、全くだと同意した。

僕もその通りなのだろうと、同意した。


別の日に、若い子供が自殺をしたニュースを見た。この両親が記者会見で、涙を滲ませ子供の死を悼んだ。


父は言った。

「子供が親より先に死ぬなんて許されない。逃げてもいいんだ。それなのに死ぬなんて、何を考えているんだ」

母は、全くだと同意した。

僕もその通りなのだろうと、同意した。


ある日、共通の友と呼ぶものへの悪口を当たり前に口にする友人を見た。

あまりにも自然に言っていたので、この国ではそんな光景がごく当たり前のものなのだと思った。

ちっぽけな倫理観。

悪意を容認することへの拒否感。

子供の頃から成長出来ず、ある種の潔癖さを捨てられなかった僕には。

少し。ほんの少しだけ。つらい。


現実から逃げ出したくなる。

夢に逃避したくなる。

眠りの中に現実はない。

そこは、現実より少しだけ、死に近いヒュプノの世界。


死の世界へ逃げてはいけない。

「子供が親よりも先に死ぬのは許されないことだ」

言葉がのしかかる。

だからせめて、眠りに逃げさせて。


僕が世界に反発しないように。

僕の怒りが形を持って現れないように。


僕は馬鹿だから。

破壊とか、暴力とか。そういった形以外で、上手に怒りを表す方法を知らない。怒りを昇華して、生きるばねにする方法を知らない。あと、周りに上手に頼って、怒りを発散する方法も知らない。そもそもこの怒りの原動は、友人が友人への陰口をしている、というささやかな光景が底にある。友人に頼れるはずもない。友人を信じる方法を知らない。


せめてひとりで、ちっぽけな自分を抱えて沈んでいけたら良いのに。死の底まで。

「子供が親より先に死ぬのは、許されないことだ」

現実から逃げて、死の世界へは逃げてはいけない。

眠り続けては、現実では生きてはいけない。

生きていけない。


ああ。もう。むりだ。

苦しさに現実を巻き込み、生き延びるか。

苦しさを周囲へ押し付け、逃げ落ちるか。

暴力か。

死か。


悪意を容認できなくて。

現実は悪意にあふれていて。

だんだんと眠りの時間は伸びていく。


それでも死人でない僕は。

現実に生きる僕は。

少しずつ受け入れがたい悪意を受け入れ。

受け入れてしまっているという現実に心が苦しみ。

少しずつ狂っているような。

そんな気がして。思考が麻痺する。

悪意を受け入れられない僕は、狂人に近づいているような気がする。なんの言い訳にもならない。


全ては僕が悪いんです。

咎人は言う。


いつか本当に狂ってしまうとき。

現実を巻き込まず。周囲に責任を押し付けず。

誰も傷つけないように。

ひとりで逃げ落ちることができるだろうか。


今はとりあえず、本当に狂ってしまわないように。

願い。祈り。眠り。

未来の不安は、未来へと押し付け。

そんな無責任に、心を苛み。

それでも、生きよう。


全ては僕が悪いんです。

咎人は言う。傲慢な言葉を。


まともに現実を生きる方法を見つけられたら。

咎人は思う。夢見がちな思いを。


誰もが誰もに優しくいられますように。

咎人は願う。途方も無い願いを。


せめて狂ってしまうまでは。

咎人は祈る。都合のいい祈りを。


差し伸べられた他の掴み方を教えてください。


咎人は泣く。

「この手は何も掴めていないんだ」

だから。


全ては僕が悪いんです。

持たざる者の卑屈な話。

久々過ぎる…。

また、投稿済みの小説を整理するつもり。


剣道少女と思い出の味以外は一度消そうかと。

そう思いながら、一年近く。

気持ちが載っているわけではないことが丸わかり。書きたいことはあるのだけれどね。やる気と、継続力がなさ過ぎ。文章力?底の底まで探せば、砂つぶくらいはあると思う。うん…そう思おう。


おやすみなさい。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ