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765:魔法王国フーガと五大貴族

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●魔法王国フーガ●


 アンローク大陸中部に位置する大国で、主に魔法を使う者達が暮らす王国。

 多種多様な種族が暮らすこの国では、何よりも国民の自由と平等が尊重されている。

 建国はヴァルドラ暦300年で、国独自の暦は存在しないが、現在は建国より2515年目となる。

 建国者はフーガ・クレイマン、遥か昔、『荒れ狂う稲妻』という異名を持った伝説の竜、【銀竜イルクナード】の血を引く竜族であった。


 王位は世襲制ではなく、その時々によって選定方法がバラバラであったが、第74代国王ゾロモンの乱心の後、「真の王とは民に身命を賭す者なり」という信条の元、5年毎に真の王を決定する為の【国王決定戦(キングトーナメント)】を開催し、その優勝者が王位に就くようになった。

 しかしながらそれでも、過去の出来事より、一人の国王に国の全権を委ねる事は余りに危険と見做され、国王決定戦の優勝者に続く上位四名が、第二国王~第五国王といった、謂わゆる副国王の地位に就き、国王の治世を支える仕組みとなっている。

 いつ如何なる場合においても、国民に対し、この四名の副国王の同意無くして、国王の命令が下る事は無い。

 また、国王とその他四名の副国王の補佐兼監視役として、国の根幹を担う【政界】と【学界】より三名ずつ、計六名が国務大臣の任に就いている。

 

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●五大貴族●


 フーガ建国の礎となった、五人の魔導師達を祖に持つ、五つの名家。

 古代史より紡がれる神族の家系【ビダ】。

 フーガの地の先住種族、蟻型の虫人(インセクター)ミュルミドン族の家系【アド】。

 森の女神ニンフより加護を賜った、錬金術を極めし家系【パラ】。

 巨人の血を引くギガース族の家系【ジウ】。

 半人半魚の有翼人種セイレーン族の家系【レテ】。

 それぞれに長い歴史と膨大な富を持つ五大貴族は、今も昔も、あらゆる形でフーガを支えている。

 フーガには、この五大貴族の他にも、全部で二十の貴族家が存在する。


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●ビダ家●


 フーガ建国の礎となった、魔導師ビダ(ビディータ・ユピテル・シーラ)が始祖。

 ビダ家の者は皆、褐色の肌を持つ人間の姿をしているが、天変地異を引き起こすような桁違いの魔力を有する者が産まれる事がしばしばある。

 出自は不明だが、ビダの名に《シーラ》が入っている為に、古代アストレア王国の民であった神族、シーラの一族の末裔である可能性が高いと考えられているが、歴史に空白の数百年がある為に定かではない。

 現当主は国王であるウルテル・ビダ・フーガ。

 フーガの国王になった者は《フーガ》の名を授かる為、ウルテルの本当の名は、ウルテル・ビダ・シーラである。


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●アド家●

 

 フーガ建国の礎となった、魔導師アド(アンドリアン・アンドレディン)が始祖。

 小指ほどの大きさしかない(およそ5センチ)蟻型の虫人、ミュルミドン族の家系。

 ミュルミドン族は、フーガで最も数が多い種族ながらも、他種族に比べて非常に体が小さく、また普段から地下で暮らしている為に、その存在はあまり知られていない。

 現当主は、副国王である第四国王、ヤオン・アド・ディディディン。


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●パラ家●


 フーガ建国の礎となった、錬金術師パラ(パラッシオ)が始祖。

 古代より伝わる科学と魔法学を合わせた学問錬金術を研究する錬金術師の家系。

 錬金術は魔法とは似て異なるものである為に、始祖であるパラは魔法使い達から嫌煙されていた。

 それを哀れんだ森の女神ニンフより加護を賜った結果、パラは寿命が普通の人間の3倍となり、それが現在の子孫にも受け継がれている。

 現当主は、副国王である第三国王、キルシュ・パラ・ケルーススで、ニベルー島で出会ったアルテニース・パラ・ケルーススの祖母に当たる。


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●ジウ家●


 フーガ建国の礎となった、魔導師ジウ(ジーク・レイニーヌ)が始祖。

 巨人族の血を引くギガース族の家系。

 ギガース族は、昔の名残からアレッド族(アレッド地方で発生した種族である為)と呼ばれる事もある。

 始祖ジウが、古来の風の民と懇意であった事から、風神より加護を賜った一族。

 現当主は、副国王である第二国王、ジェイル・ジウ・ロット。

 ジェイルは、政界No.2のミシェル・ジウ・ロットの双子の兄である。


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●レテ家●


 フーガ建国の礎となった、魔導師レテ(レテーナ・ブルーム)が始祖。

 妖艶な翼の生えた人魚の姿をした、セイレーン族の家系で、一族に男性はいない。

 200年前、当代当主であったピアニー・レテ・コーネリアが、フーガ南西に位置するボボバ山、その頂きにある《無限迷宮:クレイマンズ・ダンジョン》の下層禁区より、銀竜の卵を持ち帰った。

 それより生まれたのが、白薔薇の騎士団団長のローズ・コーネリアである。

 現当主は、副国王である第五国王、ダリア・レテ・コーネリア。


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「てなわけでだ……。どうだ? 分かったか??」


 ヘラヘラと笑いながら、俺に向かって問い掛けるカービィ。


「………………いいえ」


 俺は、心底不快感を露わにした表情でそう答えた。


 何? なんなのさ??

 そんな、一気に説明されて、俺が全て理解出来るとでも???

 

 頭の中では、聞いた事の無い単語、意味不明な文字の羅列が、グルグルと回っている。

 それらはまるで、俺を小馬鹿にするように、カービィそっくりのヘラヘラ具合で回っていて……


 え? は?? ほ???

 だから、えっと……、えっとぉ………、あん????

 何が何なのさ?????


「まぁの、国の成り立ちや、それを形作っている者達の存在を知っておく事は大事な事じゃが……。モッモ、無理はするな。お前さんには、ちぃ~とばかり難しいじゃろ?」


 テッチャが、さも自分は理解出来ているって顔で、俺を見てニヤニヤする。


 あん? なんだよテッチャ、話し掛けないでよ。

 俺は今、必死に頭の中を整理してるんだ、邪魔するな。


「ふむ、つまり……。フーガには五人の王がいる、という事であろ? 我はしかと理解した」


 うんうんと頷きながら、ドヤ顔をするギンロ。


 絶対分かってないだろっ!?

 てか、五人の王様じゃねぇしっ!!?

 王様一人と、副王様が四人だしっ!!!?

 ……だよね?


「……………?????」


 ティカはたぶん、そもそもカービィの言葉を全部理解出来ていなさそうだ。


 ほっ、良かった、俺より理解出来てない奴がいて。

 

「まぁまぁ、なんとな~く知っときゃいいさ。ほんで、おいらはその、五大貴族アド家の養子に入ってんだ!」


 キラーン☆っていう感じのキメ顔で、目元にピースサインを作るカービィ。

 

 あぁ~……、そうなんだ、へぇ~~~。

 

 もう、理解するのすら面倒になってきた俺。

 今聞いた情報が、今後の旅に関係あるのかどうかといったら、たぶん関係無いだろうから。


「どういう経緯でそうなったんじゃ?」


 興味津々な様子のテッチャ。

 その目の輝き具合から察するに、何か金目の事を考えているに違いない。

 アド家は、フーガの五大貴族だから……


 このぉ〜、万年守銭奴めぇえっ!

 卑しいにも程があるぞっ!!


「話すと長くなるんだけどぉ……。あれは、遠い昔……、おいらが初めてフーガの地に足を踏み入れた時の事。ジャネスコからの長い船旅の末、フーガ最東端の港町に到着したおいらは、期待に胸を弾ませていた」


 何やら渋めな声を出し、自分語りを始めたカービィを他所に、俺は視線を巡らせる。


 ここは、白薔薇の騎士団のギルド本部、その一階にあるメインエントランスホールより直通の、お客さま専用ラウンジ。

 俺とカービィ、ノリリアと団長ローズは、クリスタル城での国王謁見の後、諸々の手続きをする為にギルド本部へと帰ってきた。

 そして……


「え~、こっちもいいわねぇ~♪」


 少し離れたテーブルの一席で、女子丸出しの甘い声を出しながら、ルンルン気分で薄い書物をめくるグレコ。


「でしょう? きっとグレコに似合うと思うわ♪」


 此方も、今までの様々な凶行が嘘のように、可愛らしい笑顔でグレコの隣に座るローズ。

 そんな二人の姿は、まるで学校の休み時間に、ファッション雑誌を片手にキャッキャッと盛り上がる女子高生のようで……


 なんで? なんでそんなに打ち解けてるわけ??

 ねぇ、どうしてなの???


 グレコの凄まじく高いコミュ力と、ローズの余りの変貌ぶりに、俺は一種の恐怖を感じて身震いした。

 

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