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659:宝物庫

「フゥ~! これでおいら達は大金持ちだぁあっ!!」


「ガッハッハッハッハッ! 宝じゃ宝じゃっ!!」


 積み上げられた金銀財宝目掛けて、一目散に走り出す カービィとテッチャ。

 もう……、恥ずかしいったらありゃしない!


 騎士団メンバー達は驚きながらも、各々にゆっくりと台座を離れて、それらの側まで歩く。

 皆じっくりと辺りを見渡しながら、注意深くそれらを観察していて、特に浮かれる様子もないのはさすがである。


 俺はグレコと一緒に、一番近くの宝石の山まで歩き、そこにある特大の真っ赤な宝石を見つめ、そのあまりの輝き、あまりの美しさに、二人同時にホゥ~っと溜息を漏らした。

 ギンロは、近くに立っている黄金の甲冑を見上げて、顎に手を当て、何を想像しているのか、ニヤニヤと厭らしく笑っていた。


「ここは宝物庫でしょうか? 何故このような場所が、塔の中に……??」


 訝しげに頭上を見やるインディゴ。

 洞窟の延長のような岩肌が剥き出しの天井までは、地面からおよそ10メートルといったところだろうか、めちゃくちゃ高い。


「理由は定かではありませんが、ここは間違いなく宝物庫ですな。しかしながら……、いやはや恐れ入った。幻影か、はたまた現物かは定かではありませんが、ざっと見る限りでは、ここにある物は全て、歴史的価値の高い物ばかりです、はい」


 目の前にある、俺なら中にすっぽりと隠れられそうなほどの大きさの、表面がツルンとした青い壺を繁々と眺めながら、パロット学士がそう言った。


「それにしても……、ノリリア副団長。何故ここが安全だと分かったんです? 初めて来た場所だというのに、迷う事なく台座に炎を灯せだなんて……、どうして分かったんですか??」


 炎を灯した張本人であるマシコットが、ノリリアに尋ねた。


 確かに、ノリリアはさっき、「思った通りポ」って言ってた。

 つまり、台座の中央に炎を灯すと、周囲に点在している別の台座にも炎が灯る仕掛けになっているという事を、ノリリアは事前に知っていた……、或いは予測出来ていたという事である。

 それに、迷わず台座に炎を灯したという事は、洞窟内でわんさか寝ていた小鬼がここにはいないという事、ここは安全だと確信していたが故の選択だったはず……

 ノリリアは何故、全てを知っていたのだろう?


 ……てかマシコット、その質問は、炎を灯す前にするべきでは?

 もし万が一にもここに小鬼がいたならば、君の炎で奴らを起こしてしまっていたわけだからね。

 ま、結果オーライだからいいけどさ。


「ポポ、実は……、気付いたのポ。第一階層の第一の試練と、この第二階層の第二の試練は、ある絵本を題材に創られているんじゃないポかって」


 ほう? 絵本、とな??


「あ! それ、おいらも思ってた!! あれだろ? 『少年プッカと七つの試練』!!!」


 金銀財宝の山に埋もれながら、頭に金ピカの王冠を被り、両手に指輪やブレスレットをジャラジャラとつけた品の無い格好で、遠くからカービィが叫ぶ。

 

 お馬鹿なカービィはさておき……

 少年プッカと七つの試練、とな???

 なんだその、締まりの無い題名は。

 (この小説の題名と大差ない幼稚さだな!)


「それならば、私も聞いた事があるな。内容までは知らないが……。確か、完全なる子供向けの書物ではなかったか?」


 ロビンズは腕組みをしながら、かなり厳しい表情でそう言った。


「そうポ。小さな子供に、物事の良し悪しを教える為の教育絵本ポね。あたちがまだフーガに渡ったばかりの頃、文字の勉強の為に読んだ事があるのポ。物語の詳細まではよく覚えていないポが……。確か、主人公の少年プッカが、不思議な塔に登って、七つの試練に挑戦するのポ。一つ目がグリフォンの試練、二つ目がゴブリンの試練だったはず……。そのゴブリンの試練のお話に、ここと同じような仕掛けの宝物庫があったのポよ」


 ふむ、つまり……

 この封魔の塔の試練は、その絵本をモチーフに創られている可能性が高い、という事か……?


「とすると、この先の試練も、その絵本と同じような試練が待ち構えとる……、という事でさぁ?」


 何故そうなっているのかは分からないが、小さな小さな手鏡を両手に一つずつ持ちながら、ライラックが尋ねた。

 

「もしかすると、そうかも知れないポ。だけど、さっきも言ったポが、物語の細かな部分は覚えていないポよ。もう随分と昔に、一度だけ読んだ絵本ポからね……。この第二の試練、ゴブリンの試練においても、主人公が何をどうしてどうなったのか、全然覚えてないポ」


 両手を上げた降参ポーズで、ノリリアはそう言った。


「おいらの記憶が正しけりゃ、プッカは確か、小鬼に追い駆けられてたぞ~」

 

 今度は高そうな絨毯の上で大の字になって寝転びながら、ヘラヘラと話すカービィ。

 よくもまぁ、こんな場所で寛ごうと思えるものだ……


「何をして追い駆けられたのよ?」


 尋ねるグレコ。


「それは~……、なははっ! 覚えてないっ!!」


 肝心なところで役に立たない変態ピンク。


「とにかく! この宝物庫の何処かに、あたち達が求める上階への鍵が隠されているはずポ!! リブロ・プラタは、色こそ違えど、同じような宝玉だと言っていたポね。手分けして探すポよ!!!」


 ノリリアの指示で、騎士団メンバー達は一斉に辺りを捜索し始める。

 俺とグレコも、目の前の宝石の山をそっと掻き分けながら、上階へ向かう鍵となる宝玉を探した。

 

 しっかしなぁ~……、この宝物庫、めちゃくちゃ広いぞ!?

 この中から小さな宝玉一つ探し出すのは、至難の業じゃないかっ!??

 いったい、何時間かかる事やらっ!?!?


 と、心の中でぶつぶつ思う俺。


 この時の俺は、目の前の宝石の山を掻き分けるのに必死で……

 背後で何やら怪しい動きをしているテッチャの事など、まるで気にしていなかった。


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