現実逃避は現実との戦いだ
記憶喪失・特別な装備なし・日の出までの制限あり・スキル吸収……と言う持ち札で森林探索に出掛けた。
道程は順調だった。マップは優秀であるの一言に尽きる。
RPG知識のある現代日本人が、視界右上のマップで、赤点が自分の進行方向からこちらへ向かって進んで来たのを把握出来たらどうするか。もちろん回避に決まっている。
通常は道なりに行き、道の途中に赤点が見えれば道を外れて森の中を迂回して道に戻る。つまり戦闘を回避して行くだけだ。赤点の密度もスッカスカだし当然だと思う。
一般的な日本人がそうそう簡単に命の危険に飛び込める訳がないだろ。怖いんだよ!
だが、森の端に来て詰んだ。
なぜか? バリアだ。森と村を繋ぐ間道との間にバリアが張っている。進行の都合がそこにあった……。
なぜ、ここに、商業的なものが。
バリアを見つけた時に膝と顔面を負傷した上にその事実を理解して、頭の中でやる気くんがふて寝したいと訴えて来る。顔部分にやる気と書いてある、全身タイツ状のアニメ調の絵が思い浮かぶ。イモムシのように肩と膝でうにうにと這っている絵が。
いや、そんなことを考えている場合じゃなかった。そうだな、顔面強打した時の格好悪い姿を誰にも見られてなかったのがせめてもの救いと言うかなんと言うかいやそれ救いか??
そもそも何故バリアなんて……ズルして戦闘回避して来たから天罰が下った、とか? いやいや、モンスターが出て行かないように人間が張っているのかもしれないよな。やる気を削がない為にも悲観はいけない。
バリアの切れ目を森に沿って探ってみたが、残念ながら5分歩いても途切れもバリアの弱まりも見つからなかった。5分間バリアを突き続けた所為で手がしびれたし、スキルでも吸収出来なかったから、バリアの迂回は諦めた。
となると、必要になるのが戦闘力か。
最低限、逃走の機会を作られる程度の戦闘力を持たないと、赤点の跋扈する森で生きていけない。ついでに赤点の戦闘能力を把握しておく事もいるか。
日の出予想時刻まであと4時間半。24:30と言う初めての時刻を目にしながら人生(吸血鬼生?)初の戦闘の為、弱そうな赤点を探す事にした。
ああ、モンスター見たらさすがに外国設定は終了だな。
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