起き抜けの頭には現実逃避が装備されている
『異世界人をポップしました』
――……せ、かい? ポップ……?
頭がふわふわとして、水に浮いてるような柔らかい感触に包まれながら目が覚めた。
うん。俺、立ちながら眠っていたらしいな。いつそんな器用な技を習得したんだ。ってかここどこだ。思いっきり森とか林の中じゃないか。遭難なの? 家、帰れるの? と言うかさっきまで台風じゃなかったか? いつの間に夜になった。駅どこ。
目の前に広がる一面の森ににわかに混乱する俺の心中と比例するかのように、側から困惑の声が上がった。
「おい、いつものモンスターと違うぞ?」
「ビビってんじゃねえよ。初見でもどうせアンデッドしか出てこないんだ。いつも通りやれ」
月明りの森の中に、RPGに出て来そうな棍棒やら両手斧やらを持ったがっしり体形のおっさん2人組。斧のおっさんはまっさらな頭だ。
「おら、ボーっとしてんな。先制で一発当てろ!」
斧のおっさんに促された棍棒のおっさんが、チッタチッタと独特な舌打ち音を立てる。寝起きの人の前で喧嘩するなよ、おっさん。なんて思っていたら、突然強い光に照らされた。
なにこれ眩しい、こっちは寝起きだぞやめい。
「くそっ、効きが悪いな」
「なら物理でどう、だっ!」
おっさん達がモソモソ話しているのをモブっぽい顔してんなあなんてぼんやりと眺めていたら、斧のおっさんが俺に向かって突っ込んで来た。ぴくりとも出来なかった。うん、俺完璧に寝ボケてるな。ってか夢か、これ。しかし、夢であってもおっさんには襲われたくない。モチ肌美女(好意的)がいい。
やばいと感じつつもそんな事を考えて呆けている内に、斧のおっさんは俺の頭に斧を振り切っていた。
「……な、なんだと!?」
斧の柄を持ったまま、おっさんが目を見開く。
あれ? 助かった、のか?
状況がよく解らない。衝撃は何もなかった。あれ、夢だからそれで正解なのか?
「お、ぉ、おい! 早く離れろ!」
「斧が抜けねえ!! ちっ、しょうがねえな。逃げるぞ!」
おっさん達は殺人未遂の件は放置して慌ただしく去って行った。
変な夢だ。
「……つか、現実逃避し過ぎか」
これ、多分夢じゃないわ。
どんどん頭がさえてきてるし、今更手が震えて来た。
何あのおっさん達、怖い! 突然斧振り上げて来るとか思考が危なすぎる! しかもコスプレ!!
現実だと自覚した所為か、さっき一発食らった頭が痛くなって来た。多分アドレナリンで痛覚なんて感じなかったって奴だな。いや違うのか?
まあとにかく、はよ斧抜かないと脳出血とかで死ぬ。絶対頭蓋骨割れてる。
ゴリッと頭から離れた斧はそのまま手からすっぽ抜け、いやに重量級な音を立てて地面へと減り込んだ。
なろう初投稿。誤字脱字などあれば報告よろしくお願い致します。
文レイアウト変更と2人組について少々追記。