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ソート・オブ・テオス  作者: どうも
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手紙と決意

午前7時。アラームの音に起こされ東雲如春(しののめはる)は目を覚ました。

如春は心底眠そうな顔をしながらベッドから這い出た。時刻を確認するとベッドの側に置いてあるスリッパを履き、リビングに降りていく。

階段を降りていく途中で小鳥のさえずりを聞き、生まれるなら動物が良かったなー出来ればナマケモノあたりがいいなーなど毎朝頭の中で呟いている決まり文句を今日も頭の中で呟く。

リビングのドアを開けると母さん、親父、姉貴の姿があった。

「あら、如春。今日は早いわね」

と母さん。

「おお、如春。今日は早いな」

と親父。

「おはよう如春。今日は早いじゃない珍しい」

と姉貴。

三人揃って開口一番今日は早いなと、言ってくる。

「ほっとけ。今日早いなら明日は遅刻だ」

「そうね。じゃー明日起こしてあげようか?」

姉貴こと東雲成美(しののめなるみ)はたまに如春を起こしにくる。

だが、成美の起こし方はとてもバイオレンスで、まずほっぺを引っ張り、朝ですよ~と言いそれで起きなければグーで顔を殴る。それでも起きなければ男の子の大事なところを加減なしにおもいっきり蹴ってくる。

成美の起こし方はバイオレンスだが必ず起きることが可能だ。まあ、代償としてしばらくベッドから出ることが出来ないが。

体育祭や修学旅行のときにやってもらうことはあったが、明日は特に学校行事がないので

「いや、遠慮しとくよ」

学校行事や大事な用事もないときにあれを受けるのは殺して下さい、と言っているようなものだ。

「そう。明日遅刻確定なら花純ちゃんにちゃんと言っときなさいよ?」

「ああ、分かってるよ」

成美との会話を終え、如春は朝食をとりはじめた。

「いただきます」

今日の朝食はトースト一枚。めんどくさいのでバターはぬっていない。

如春は五分程でトーストをたいらげると、皿を流しに置き、

「ごちそうさま」

と言ってトイレで用を足し、自室で制服に着替える。あと5分もすればお迎えがくるので少し早く着替えなければならない。

如春は二分で制服に着替え、歯ブラシを口にくわえながら学校用のカバンに水筒と弁当を入れると、洗面所に行きうがいをする。

カバンを肩にさげると同時に家のインターホンが鳴った。

「如春ー!花純ちゃんきたわよー!」

「知ってるよ」

如春は靴ひもを結ぶと玄関のドアを手に持ち

「いってきます」

と言って家を出ていく。

玄関の真正面には遅刻しない日以外はほぼ毎日見る顔があった。

「おはよう。今日はちゃんと起きれたのね。毎日そうやって起きてくれたらこっちは嬉しいんだけど?」

開口一番家族と一緒のことを言ってくる彼女は朝霧花純(あさぎりかすみ)。彼女とは家が隣で同級生で幼なじみだ。

小、中、高と一緒で小学校では五回、中学校では三年連続同じクラスになっている。

高校一年の入学式の時のクラス分けでまた同じクラスになったので中学校からのとを合わせると四年連続同じクラスになっている。

「それが出来ればこっちも苦労しないよ」

「昔みたいに起こしに行ってあげようか?」

「やめてくれ。もうガキじゃねぇーんだからよ」

「冗談よ」

小学校の頃、朝起きれない如春は花純によく起こしてもらっていた。その頃まだ成美は現在の如春の起こし方をしてなかったので、東雲家に如春を起こせる者はいなかった。ある日、花純が如春を起こすと言って家にあがり如春を起こしたことにより東雲家全員から朝の如春起こし係を頼まれた。

中学校になってからは頻度は減ったがある程度花純に起こしてもらっていた。高校になってからは一人で起きる練習をすると如春が言い出し、花純が起こしには行っていない。

如春の家族からは花純ちゃん、如春キラーと呼ばれている。如春キラーは如春を起こした時によく言われるため普段は花純ちゃんとよばれている。

「んじゃ行くか」

「ええ」

短いやり取りをし、如春と花純は通学路を歩き出した。高校までは徒歩十分なので徒歩通学だ。

如春と花純の通っている神城高校は徒歩三十分以上かかると自転車通学、徒歩三十分以内なら徒歩通学だ。

バカも多少いるが、県内では賢い方の高校だ。それなりに賢い奴がたくさんいる。

まわりの景色を見ているといつの間にか学校についた。

如春はロッカーを開け下履きを入れ、上履きを中から取り出す。

「如春。中になんかあるわよ」

如春がロッカーをしめようとしたときのことだった。

如春は気付きもしなかったが、中には一枚の手紙が入っていた。

「これは俗に言うラブレターってやつか?」

「え、ええ多分ちょうだわ」

今、花純が噛んだ気がしたが気のせいだろうか?と思いながら如春は綺麗に折られている手紙を開く。

手紙には簡潔にこう書かれていた。

放課後屋上に来てください。

と。

高校生ならこれを見るとほぼ百パーセントラブレターだと思うだろう。だが東雲如春は違った。如春は自分にラブレターなど届くことがないと思っているのでこの手紙はただの呼び出しだと思っていた。

ただし、隣の花純は違った。

「ねぇ?如春あなたって小、中ってラブレターもらったことある?」

「ラブレターどころかチョコすら貰ったことないぞあーチョコはお前に貰ってるっけか?」

「えっ?あっ、うん」

花純は少し顔を赤らめていたが如春がそれに気付くことはなかった。

「まっとりあえずいくか放課後」

「そうね行くだけ行ったら?」

このとき花純は決意した。

もし、この手紙がラブレターだった場合乱入してW告白にしてやろうと

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