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魔王様の完璧な誘拐プラン

「諸君、我は恋をした。」

古びた洋館の大広間で一人の男が高らかに言う。中央に弧を描く二つの階段の先を見れば有象無象の人とは啓上しがたい者たちが歓声を上げている。

床一面に血で染まったかのような真っ赤な絨毯、上を見れば埃被ったシャンデリア、そしてそこにいる者たち。

ここは魔族、妖怪、化け物、人それぞれ呼び方は異なるものの人間とは違う生き物が住まう館。


館を囲む広大な森を境に人と魔族はお互いに干渉せず生きてきた。


「こんな気持ちは初めてだ、寝ても覚めても彼女のことを考え食事も喉を通らぬ、もうここ何日も血を吸っていない、私も何百年と生きた身だお肌の曲がり角が気になる年頃である。そこで諸君私は一つの結論を出した、我らと人は長らく干渉せず争いごとを避け生きてきた、今私が外界に行き彼女に会おうとしても混乱を招くだろう、ならば人知れず速やかに………彼女を誘拐するのだ」

一際大きな歓声が上がり館が震える、どうやら先ほどまで演説してた彼はこの館の主、つまりは魔王なのだろう。

「諸君聞いてくれ」

魔王の声で歓声がピタリと止む。

「事を荒立てないために各自彼女の近辺捜査をしてほしい、以上だ」

魔王はクルリと翻し大広間を後にする、部屋までの道にて先ほどから隣に立っていたメイド服姿の女性らしき者が声をかける。

「我ら魔族と人間が本当に相容れると思われているのですか?」

「無論だ、これは魔族と人間ではなく我と彼女のことだからな」

「名前も知らず他力本願なのによくそこまで自信満々になれますね、魔王様の自信みたいにお金が湧き出てきたら人間も戦争などせず平和な世の中になりそうですね」

「相変わらず手厳しいなマリエッタは、しかし我はお前のそういうとこを高く評価しているぞ」

「魔王様は真正のマゾヒストなのですね、最高に気持ちの悪いお褒めの言葉ありがとうございます。」

マリエッタと呼ばれたメイドらしき者は深々とお辞儀をし魔王の部屋を後にする。


それから何日も魔族による麗しの彼女の調査が続く。


「魔王様、どうやら姫様は外界でも有数のお金持ちの娘らしいです、金色の長い髪がとても美しかったです。」

「なるほど我と同じ高貴な生まれの者か、運命を感じるな」


「魔王様、姫様は学業のみならず運動、教養にも優れ学校を越え街でも憧れの的らしいですぞ、立てば芍薬座れば牡丹歩く姿は百合の花というやつですな」

「素晴らしい、彼女に見合う男は外界、魔界含めても我だけだろうな」


「魔王様、どうやら姫様は度々家出なるものを行っているらしいです」

「なるほど、彼女は今の暮らしに不満を抱えてるのだな、我が捕まえて薔薇色の生活を与えようぞ、……いや、もしかすると彼女は我を捜して外にでてるのでは、こうしてはおれん、皆のものを集めよ」

どうやら魔王はみんなに彼女のことを姫様と呼ばせているらしい。

またもや大広間にて魔王の演説が始まる。

「皆のもの聞いてくれ、なんと彼女は我を捜しているのだ」

ザワザワと階下がどよめく、いくら忠誠を誓っている彼らでもこの魔王の突拍子もない戯れ言じみた妄言には対応できないようだ。

「決行は次に彼女が家出した日、つまり我を求める日だ、メンツは人間に似た姿の狼男、雪女、フランケンシュタインの三人で行う、それでは健闘を祈る。」

幾ばくか控えめな歓声が上がる中呼ばれた三人は互いを見合い動揺を隠せないでいる。


「クソみたいな妄言を喚き散らすだけでは事足らず無関係な三人を巻き込み意気揚々と部屋へと帰るまるで自慰行為にも似た所業を間近で見せつけられて私は怒りを通り越して殺意が芽生えています。」

「相変わらず手厳しいなマリエッタは、しかし我は妄言など一言も言ってはおらんぞ、決行日に我が言っていた言葉が真実であるということが証明できると思うと楽しみがまた一つ増えたな」

「魔王様は人間からいけない薬でも貰ったのですか?もし素面での発言だとするならば魔王様の頭の中はお花畑なのでしょうね、焼き払ってゴルフ場にしてやりたいですわ」

主従関係とは思えない言葉のキャッチボールを終えマリエッタは深々とお辞儀をし部屋を後にする。




「魔王様、狼男たちが帰ってきました。」

魔王は燕尾服を翻して足早に玄関へと向かう、かつてこれほど廊下を長く感じたことはあるだろうか、まるで地平線の如く果てしなく続いてるようだ、しかし慌てて走るわけにはいかない近辺捜査でわかっているのだ彼女は紳士が好みなのだと。


「よくぞ来てくれた、我が愛しの花嫁よ」

両手を広げ歓迎の意を示す魔王、しかしそこに彼女はいないいるのはボロボロになった狼男とフランケンシュタイン、そして怯えて震えている雪女。

「マオウサマゴメンナサイ、オレタチデハツレテクルノデセイイッパイダッタ」

ボロボロに這いつくばったフランケンシュタインがカタコトで状況を説明する。

「ココニツレテクルノガヤット、スグソコイマス」

ツカツカと玄関の外から女性が歩いてくる。

「誘拐しといてよくぞ来てくれただぁ?テメェふざけんじゃねぇぞ」

ヒュッとボディブローを繰り出す彼女、両手を広げたまま硬直してた魔王はモロに喰らい膝から崩れ落ちた。

好きな食べ物はコロッケの西東上下です。

先日PS4を買ってリアルが充実しまくりでやばいです。

初の連載ということで変な緊張と戦いながらマイペースに書いていきたいと思います。

Twitterやってますけどゲームのことばっか呟いててごめんなさい。

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